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2002年12月19日 00:00

あなたは「ケータイユーザー」を読み違えていませんか?

はじめまして!今回から携帯・ワイヤレス分野でコラム連載させていただく、モバイルジャーナリスト・プランナーの三田隆治です。
フリーとして、携帯電話やモバイルビジネスの記事を雑誌などに寄稿するかたわら、CPやキャリア、時には端末メーカーなどにもあれこれ顔を出しているわたしですが、このコラムでは特に、モバイルソリューションやケータイビジネスに関わっていこうという方のために、「ケータイビジネスお役立ちコラム」をお届けしていきたいと思います。
コラム第一回は、まずは「おさらい」として「ブラウザフォンサービス・コンテンツ特有のユーザー像」について再度検証してみましょう。


◆ケータイをもっとも使うのは「パソコンを持っていないひと」である

「ケータイユーザーとはどういう人か?」
この問いに対して、皆さんはどういうイメージを持っているだろうか?
女子高生?女性中心?それとも最近では意外にシニア層も増えてきている?
上記はすべて事実だが、それではケータイユーザーの特質を捉えているとは言いがたい。普及率という観点で見るならば、「ケータイ」は、性別・世代を超えて、かなりまんべんなく普及しているからだ。
では、携帯サービスを手がけるビジネスマンにとって留意すべき、ケータイユーザーのもっとも特徴的な傾向とは何か?
もっとも重要なキーワードになるのは、実は
  「パソコンを持っていない人がケータイを多く使う」
という原則である。

2000年に電通が行った統計によると、ブラウザフォンユーザーのうち、実に6割が、まだパソコンを所有していないユーザーだった。2000年だからちょっと古いが、この比率は当分の間大きく変わることはないだろう。なぜならこの2年間、パソコンの普及率は頭打ち傾向が顕著(※注)だったが、ブラウザフォンの普及率は大きく伸びたからだ。実際、こうした事実を裏付けるように、コンビニで売られているような携帯電話やコンテンツの情報雑誌も、読者の6割以上がパソコンを所有していないそうだ。

そして、大切なことは、iモードをはじめとするケータイを実際に利用する比率だ。先日僕が手伝った、3G(第三世代携帯電話)に関するユーザー動向調査では、PCを所有しているケータイユーザーと所有していないケータイユーザでクロス集計してみると、ブラウザフォンに対して支払うパケット料金が大きく異なるという結果が出た。平均すると、非PCユーザーは、PCユーザーの実に倍以上のパケット料金を支払っていたのだ。特に、月額2〜3万円以上もパケット代を支払っている、「ヘビーユーザー」は、PCユーザーにはほぼ皆無なのに対し、非PCユーザーには10%程度も存在した。
つまり、平均すれば「ケータイを多く使ってくれる人」とは、パソコンを持っていない人のほうだ。ということになる。

ここまで読んだあなたは、もしかしたら次のような疑問を抱くかもしれない。「でも、パソコンインターネットは今後ますます普及していくだろうし、PCとブラウザフォンが連動するサービスも増えるだろうから、今後はそうでもないんじゃない?」
しかし必ずしもそうとは言い切れないのだ。「PCユーザーがケータイを使わない」という傾向は、むしろ今後ますます加速する可能性すらある。その最大の理由は、ブロードバンドによる定額常時接続の普及だ。

そもそも、普通の人が支払える月々の「情報エンゲル係数」には当然限界がある。ダイアルアップ接続が一般的だった頃と比べ、定額常時接続の普及で、自宅PCからアクセスできる情報は質量ともに飛躍的に増えたが、情報支出の平均値は定額制になって減ったわけではない。むしろ増える傾向すらある。
すると、PCユーザーにとっては、従量課金されるiモードなどのサービスとは、むしろ「なるべく使いたくないサービス」と位置づけられるようになっていくのだ。「自宅で定額料金払っているんだから、自宅で使えるサービス・コンテンツはなるべく自宅で使うようにしよう」と考えるのは自然なことだろう。

一方、今後3Gの伸びに伴って、ブラウザフォンのパケット料金体系は、「使えば使うほど単価が安くなる」というボリュームディスカウント制が一般的になっていく。auのCDMA2000 1Xで導入された「パケット割」にしても、FOMAの「パケットパック」にしても、最初から基本料を多めに払っておけば、パケット単価は、かなりオトクになるのだ。
自宅のPC通信料として、毎月定額で数千円を支出している人が、ケータイに対して毎月4000円や8000円のパケット基本料を支払うだろうか?こうしたボリュームディスカウントを契約するユーザーは、結局「自宅にパソコンを持っていない人」中心となっていく可能性が高い。事実、先ほども例で挙げた3Gユーザーの動向調査では、パソコンを持っていないユーザーの方が、圧倒的に、こうしたブラウザフォンのパケットボリュームディスカウントを利用する率が高かったのだ。

これから、ブラウザフォンを使ったサービスやコンテンツを考える事業者は、自社が手がけるサービスやコンテンツのユーザー層を想定する場合、年代や性別・職業などのプロフィールはもちろんのこと、この「PC所有の有無」についても真剣に検証する必要がある。自宅に常時接続環境を持っているケータイユーザーと、「ケータイだけが情報源」というケータイユーザーでは、サービスの利用率も、その量も多く異なるのだ。


*(注) 「パソコンの普及率」と、「インターネットアクセス普及率」は、実は同一ではないことに注意する必要がある。パソコンを使ってインターネットにアクセスする人や、自宅のブロードバンド比率は順調に伸びてはいるが、「自宅にパソコンを買う人の数」そのものは、実はそれほど増えていないのだ。つまり、「パソコンなど別に必要じゃないよ」という人は、相変わらず世の中に相当数存在していて、そうした人々は当分の間減るわけではないのだ。

記事提供:三田隆治(モバイルジャーナリスト・プランナー)

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