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2006年2月24日 10:00

届かないモバイルメール

モバイルマーケティングの主なツールは、サイトとメールの2本柱である。後者のメールには一見地味な印象があるのだが、プッシュ型で顧客の懐に届くというメリットに着目して活用する企業が増えてきている。

ところがそのメールが、「送ったつもりでも届いていない」かもしれないのだ。今回はメール配信システムに詳しい株式会社エイジア(東証マザーズ上場)のえとう社長にお話を伺った。

●SPAM(迷惑メール)と勘違いされる企業メール

西田:モバイルのメール配信はシステム的な難易度が高いと言われるのですが、その理由はどこにあるのでしょうか。

えとう社長:まず背景として押さえておくべきことは、日本では SPAM(迷惑メール)はモバイルが主体だということです。ドコモ、au、ボーダフォンの3キャリアはメール配信元が SPAM 業者であるリスクに極端に敏感なのです。その結果、ちゃんとした企業からのメール配信が SPAM と勘違いされてブロックされてしまうケースが多発しています。

西田:どんなメールの送り方をすると SPAM と勘違いされやすいのでしょうか。

えとう社長:キーワードは「大量」「高速」です。理論値としては1時間に3,000件程度までであれば大丈夫なのですが、実際には1時間に1,000件を目安とすることをお勧めします。それ以上の「大量」「高速」配信は特別の配慮が必要と考えて下さい。

西田:思っていたよりも厳しい数字ですね。1時間あたり1,000件もしくは3,000件という目安は、大企業であれば多くの会社にあてはまりそうですね。

えとう社長:その通りです。あともう1つ、SPAM と勘違いされる要素があります。それは「存在しないアドレス」です。SPAM 業者はランダムに組み合わせたアドレスを自動生成して送るためです。もちろんまっとうな企業がそんなことをするわけが無いので、実際にはアドレス収集時のミスがそれにあてはまります。例えば正しいアドレスは「toru_nishida@xxx.ne.jp」なのに、打ち間違いで「toru-nishida@xxx.ne.jp」としてしまった場合です(アンダーバーとハイフンの間違い)。また、何らかの都合でアドレスが変更された場合もこれにあてはまります。

●送ったつもりが届いていない!

西田:キャリアに SPAM 業者と勘違いされてしまうと、どうなるのでしょうか。

えとう社長:3キャリアそれぞれが独自に持っている「ブラックリスト」のようなものがあり、それに載ってしまうと当該のドメインからのメールが一切届かなくなります。そのリストに載ったことを教えてくれれば良いのですが、そうでないケースが多いですね。

西田:では、自分ではメールを送っているつもりでも、実は全く届いていないことがあり得るわけですね。

えとう社長:実際に誰でも知っている著名企業で「知らないうちにブラックリストに載っていた」というケースがあります。

西田:たとえブラックリストに載らなくても要注意と聞いたことがあるのですが。

えとう社長:それは「間違ったアドレス」に対してエラーメッセージが返ってこないことを言っていると思います。PC のメールならエラーが返ってきて「届かなかった」ことがわかります。それがモバイルでは無い。1年前に集めた古いアドレスに配信を始めたところ、約半分が届かなかったというケースも珍しくありません。そして、そのことに自分では気づいていない企業が多いのです。

●専用の配信システムを使う意義

西田:では各企業はどうすれば良いのでしょうか。

えとう社長:メールアドレスを集める際の間違いを極力無くすことです。例えばダブルオプトインのような形でしっかり確認する。紙からの情報を入力する場合も2回入力してつきあわせるなどが必要です。そのようなリストを1時間に1,000件程度のスピードで送ればまず大丈夫でしょう。

西田:もっと大量に、高速に送りたい企業も多いと思われるのですが。

えとう社長:そうなると専用の配信システムを使うべきですね。当社を含めて数社の企業がそういった仕組みを提供しています。

西田:その専用の仕組みとは、どんなメカニズムで動くのでしょうか。

えとう社長:多少専門的になりますが、「メール配信の際にセッションを切らない」という点がポイントです。通常はメールを送ってしまえばそれでセッションを切ります。そうなるとエラーメッセージが返ってこないため、どのアドレスが送れてどのアドレスが駄目だったか分かりません。セッションを繋いだままにすることで、その情報がわかるわけです。

西田:なるほど。専用の仕組みを使えばどのアドレスが届かなかったかわかる。であれば、次回以降はそこには送らなければ、SPAM 業者と勘違いされにくいのですね。

えとう社長:その通りです。あと、1つの配信エンジンだけで沢山送るのではなく、複数の配信エンジンを同時に動かすということもやっています。1つ1つはゆっくりでも、集めると大量高速配信が可能になるというわけです。それ以外にもいろいろとコツがあるのですがそれは企業秘密とさせて下さい。

西田:そういったシステムを使うとどの程度の速度の配信が可能になるのでしょうか。

えとう社長:当社の例をあげると、ドコモと au では1時間に50万件程度まで可能です。ボーダフォンの場合は1時間に7万件程度です。ボーダフォンでは異なる仕様のサーバーが併存しているようで、それが原因で他の2キャリアまでの速度が出せないのです。

西田:大量高速という以外に専門システムを使うメリットがありますか。

えとう社長:同様のシステムを各企業が自社開発をすることは不可能では無いのですが、労力に見合わないと思います。3キャリアのメール配信に関する仕様は刻々と変化してゆきます。それに追いついてゆくためには多大なコストが必要です。これは専門企業のシステムを使ったほうが結果として賢い選択だと思います。

西田:本日は貴重なノウハウを伺えました。ありがとうございました。

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