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2006年8月25日 09:00

「因数分解」

「モバイルマーケティングが成功している!」という会社は、その成功要因を知って、さらなる大成功へと発展させたいことだろう。また、「モバイルマーケティングがどうも駄目だ…」という会社であれば、その失敗要因を洗い出して手を打つ必要がある。

成功要因や失敗要因。言葉にするのは簡単だが、実際にそれを見つけ出すことは容易ではない。オーナー社長が直々に見ている場合は、「ワシの勘では○○が問題だと思う」といった直感に頼ることも悪くはない。問題は一定規模以上の会社であり、かつオーナーではない人が意志決定する場合である。「○○が問題だ!」という発言に説得力がない限りは、会社トータルでの意志決定につながらない。仮に強引に意志決定したとしても、周りの人たちがついてこない。

そんな時に有効な手法がある。それは「因数分解」。カッコ付けで表記したのは、数学で言う因数分解に似てはいるものの、厳密には異なる概念だからだ。ポイントは、目指すべき最終成果の数字を定量的に分解して分析し、「○○が問題だ!」を数字で洗い出す手法である点だ。

モバイルマーケティングの様々な場面に応用可能であるが、飲食店などにモバイルクーポンで再来店を促す流れを例にとって解説しよう。

● 最終成果を「因数分解する」

企業が目標とする数字には売上や利益などがあるが、ここでは売上をその指標と置いてみる。モバイルクーポン施策の場合は以下の数式があてはまる。

モバイルキャンペーン売上 = クーポン利用者数 × 顧客単価

ここまでは当たり前の分析である。これから行う「因数分解」のポイントは、クーポン利用者数の分子と分母に同じ数字を掛け合わせ、これを分解してゆくことである。ここではクーポンダウンロード者数を使ってみた。

モバイルキャンペーン売上 = クーポンダウンロード者数 × (クーポン利用者数/クーポンダウンロード者数) × 顧客単価

次にクーポンダウンロード者数を分解する。モバイル会員数を使ってみた。

モバイルキャンペーン売上 = モバイル会員数 ×(クーポンダウンロード者数/モバイル会員数) × (クーポン利用者数/クーポンダウンロード者数) × 顧客単価

さらにモバイル会員数を分解する。仮に、今までの1か月間の来店者がその源になっていると想定し、1か月間来店者数という数字を使ってみた。

モバイルキャンペーン売上 = 1か月間来店者数 ×(モバイル会員数/1か月間来店者) ×(クーポンダウンロード者数/モバイル会員数) × (クーポン利用者数/クーポンダウンロード者数) × 顧客単価

これで「因数分解」そのものは完成である。しかし分析としては、むしろこれからが本番である。

● それぞれの「因数」の意味を特定する

上記の例では、モバイルキャンペーン売上という数字を5つの「因数」に分解した。分析の最初のステップは、モバイルキャンペーン売上が不振な店と、それ以外の店で各「因数」を比較することである。次に、その「因数」が何を意味しているのかを特定することが必要になる。

・ 1か月間来店者数

仮に不振店Aが、他の店と比べて1か月間来店者数が少なく、それ以外の4「因数」は他店と大きくは違わないと仮定しよう。

その場合のA店の不振要因は明らかである。モバイルうんぬんの前に、店が繁盛していないのである。モバイルクーポンによる再来店施策は、既存顧客の維持(リテンション)の手法である。そもそも既存顧客が少なければ、モバイルキャンペーンによる売上が小さくなるのも当然だ。

この場合の打ち手としては、モバイル関連ではなく、従来からの店舗運営努力を土台として固めることが必要だと見えてくるわけだ。

・ モバイル会員数/1か月間来店者

仮に不振店Aで上記指標が悪く、それ以外の4「因数」は他店と大きくは違わないと仮定しよう。問題は明らかである。せっかくの既存客をモバイル会員に転換できていないのだ。その場合の打ち手は、前回のコラムで紹介した「店舗でのモバイル会員募集」を参照していただければよいだろう。

・ クーポンダウンロード者数/モバイル会員数

仮に不振店Aで上記指標が悪く、それ以外の4「因数」は他店と大きくは違わないと仮定しよう。クーポンをダウンロードしてもらうやり方には様々あるが、モバイルメールで告知する方法がオーソドックスである。となると、この店はメールの配信頻度が少ないか、メール文章でのクーポンの魅力訴求のやり方(メールのライティング)に問題があると特定できるのである。

・ クーポン利用者数/クーポンダウンロード者数

せっかくクーポンをダウンロードしてくれたのに、来店してそれを使ってくれていない。

一般的には、クーポンの割引額などの魅力不足が原因といえるだろう。もし不振店Aが、他の店と同じクーポンを使っているとすると、クーポンの魅力とは逆に、A店に対する来店を阻害する要因を考える必要がある。例えば、A店の接客態度が他店よりも悪く、「500円安くなるからといっても、あんな店員がいる店に行くのはやっぱり止めておこう」となっているのかもしれないのだ。

・ 顧客単価

仮に、不振店Aだけが他店よりもクーポン利用客の顧客単価が低いことが判明したとしよう。

他店と同じクーポンを使っていたとしたら、問題は接客でのアップセル努力不足にありそうだ。例えば、ビールが1杯無料になるクーポンの場合、それと300円のおつまみをオーダーし、それだけで帰られてしまってはもとがとれない。「来店頂いた」というチャンスを生かすために、他の食べ物や飲み物をご案内して、オーダーして頂く努力がA店では足りないということが明らかになるのである。

モバイルマーケティング、すなわち携帯電話を活用しての売れる仕組みづくりの施策は多岐にわたる。上記では、そのひとつであるモバイルクーポンでの再来店促進に「因数分解」の考えを適用した。皆さんも、自社が実施しているモバイル施策に「因数分解」を応用し、成功要因や失敗要因を定量的に洗い出して、さらなる業績向上のヒントしていただければ幸いである。

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