モバイルと PC では、これらを利用する場面、時間帯、目的、操作手順などがまったく異なるのである。であれば、モバイルマーケティングは、PC インターネットのマーケティングとはまったく切り離して捉える必要があるのだ。
・モバイルサイトはユーザーにとっての位置づけが PC サイトとはまったく違うはずだ。モバイルサイトの構成についてはゼロリセットで考えよう
・「読み手に何を伝えたいか」は、モバイルメルマガと PC メルマガではまったく異なるはずだ。読者集め、内容、配信頻度などについてゼロリセットで考えよう
・PC でのキャンペーンとは別に、モバイル単独でのキャンペーンを検討しよう
・通販での売れ筋品目は PC とモバイルでは異なるはずだ。分析してみよう
上記のような考え方でモバイルマーケティングに取り組むことをお勧めする。
● モバイルと PC を融合せよ
モバイルマーケティングを切り離して実施し、ノウハウを蓄積してきた企業には「モバイルと PC を融合せよ」というメッセージを伝えたい。このコラムの前半の主張と一見矛盾したメッセージに聞こえるがそうではない。それぞれ独立した活動として完成されたふたつのマーケティングを有機的に結合せよと説いているのである。
ポイントはユーザー視点である。例えば田中さんというユーザーがいたとする。彼はモバイルでも PC でも当社のサイトにアクセスしているとする。また、モバイル・PC 両方のメルマガを受け取っているとする。であれば、田中さんへのコミュニケーションを最適化すべく、必要に応じてモバイルと PC を使い分けることが当然といえよう。どのように使い分けをすれば良いか、メールマガジンを例に解説しよう。
数万円から数十万円といった高額商品を購入いただく場合は、ゆるやかな関係作りのフェイズと、メリットを訴求した売り込みフェイズを分けるのが定石である。そうなると、前半フェイズには PC インターネットの「嫌がられにくい」という性質を活用して中期的な関係づくりをはかると良いだろう。そしてここぞという時には顧客の懐に深く入ってゆけるモバイルメールで来店促進を促すといったシナリオが有効そうである。
モバイルと PC の両方のメールアドレスを個人に名寄せして保有しておくことには付随的なメリットもある。上述したように、メールアドレスはいつかは変わってしまって届かなくなる。特にモバイルにその傾向が強い。ところが PC のアドレスが生きているのであれば、「モバイルのメールアドレスの再登録をお願いします。ご登録者の中から抽選で…」といった具合に再登録を促すことも可能なのである。
PC の延長線上でモバイルを捉えている企業には、両者の切り離しをお勧めする。そして PC のインターネットと切り離すことでモバイルマーケティングの活動を自立させてきた企業には、ふたつの活動を再度有機的に結合することが求められているのである。