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ネットリサーチの今 〜拡大要因と課題〜

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企業においてマーケティングリサーチを行う場合、インターネット手法を用いた「インターネットリサーチ」は、リサーチ手法の中でもかなり重用されてきている。私自身、2001年からインターネットリサーチ業界に身をおいてきたが、当時と比べるとインターネットリサーチについての一般企業側の理解は格段に増している。

本連載コラムではインターネットリサーチの中で、認知はまだ低いものの PC リサーチにないメリットを持つ「モバイルリサーチ」(携帯電話のインターネット機能を利用した調査手法)について触れていきたい。

■インターネットリサーチ(PC リサーチ)普及の要因
モバイルリサーチを語る前に、インターネットリサーチの主格である PC リサーチの成功を考えて見る。PC リサーチは、1999年前後から台頭、2003年頃より急速に普及した。普及した大きな要因としては、以下のことが挙げられる。

(1)インターネット利用の広がり
従来型の調査手法を経験してきた会社、公共団体等から見るとインターネットリサーチの最大の問題点は、「属性の偏り」→インターネットを利用している人だけが対象で一般的ではない、というものだった。

しかし、総務省「通信動向調査」によると、インターネット利用者の数は、2003年末に7,730万人、人口普及率では60%を超え、インターネットリサーチの属性の偏りを指摘する意見を説得できる数にまでに達した。
※2006年末時点、インターネット利用者8,754万人、普及率68.5%

(2)ブロードバンド回線の普及
インターネットが普及しても、ナローバンド回線だと、設問数が多いアンケートや、画像を入れ込んだアンケートは、回答者負担が大きかったり、回答の途中でアンケート画面が途切れたりと制約が大きかった。これが2004年末には、インターネット利用者に占めるブロードバンド利用者の割合が半数を超え、上記の制約も解消されるようになった。2006年末には、割合が65%。また、インターネットリサーチ各社のパネル属性を見ると、ブロードバンドの割合は80%台から90%に達し、容量の大きいインターネットリサーチが十分に実施できる環境となっている。

(3)従来調査手法と比較して低コスト
上記は、インターネットリサーチが拡大した環境要因だが、コストがかからないというのが最大の理由であろう。従来の調査手法(電話調査、郵送調査、街頭調査、訪問調査など)では1調査当たりの総費用(対象者抽出からデータ作成まで)から換算した回収1サンプル当たりの費用は、3,000円から1万円ほどかかっていたが、インターネットリサーチでは1サンプル当たり500円からが相場となっている。

低コストで提供できるのは、以下が主な理由である。
・対象者抽出が簡便
・通信費用の安さ
・謝礼の安さ
・回答率の高さ
・データ作成のシステム化

低コストで実施できる故、企業における「仮説検証」や「手軽なリサーチ」として従来の調査手法で障壁があった調査領域をカバーし、使われることによって調査品質が認められ、サンプル数、設問が多い調査でも利用されることとなったのである。

■PC リサーチの課題
日本マーケティングリサーチ協会が実施している会員の経営実態調査によると、2005年時アドホック調査におけるインターネットリサーチの割合は、27.5%で調査手法の中でトップ。この大半は PC リサーチで、2006年以降の数字は出ていないが、直近ではアドホック調査の比率は半分近くまで伸びていると推定される。

PC リサーチは企業のマーケティングリサーチに活用されるだけではなく、世論・社会調査的な部分でも使われ始めている。朝日新聞、日経新聞の全国紙でも調査結果が紙面で使われることも増え、東京都も都民の意識調査にインターネットリサーチを多用している。

現在、マーケティングリサーチの調査手法として主力となった PC リサーチだが、課題も垣間見えている。主な課題は下記の通り。
・調査デバイス(PC)の限界…場所に紐付く…自宅、職場等での時間的制約、PC 共有による個人特定の難
・リーチできない層が明確…ティーンエイジャー、非 PC ユーザー、若手ビジネスマンモバイル活用派
・アンケート会員の飽和…PC ユーザーでインターネットリサーチ会員は成熟、個人による複数者登録多数

上記課題は PC リサーチの根源的な問題であり、PC リサーチの限界であろう。ただ PC リサーチを否定しているわけではなく、調査手法にはそれぞれのメリット、デメリットがあり1つの調査手法で、全ての調査ニーズを実現できないということだ。企業のマーケティング担当者でも、調査内容に関わらず全ての調査を PC リサーチでできると誤解している人もいる。無理やりできなくもないケースもあるが、企業側が知りたい結果を得たい場合には PC リサーチがそぐわないケースも増えている。

次回は、PC リサーチの課題をカバーする面を持つ「モバイルリサーチ」について解説しよう。

(執筆:ネットエイジア株式会社 マーケティング事業本部 R&D室 室長 境野智樹)


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