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2006年5月15日 09:00

排除される“提供者の論理”(ビデオリサーチインタラクティブコラム)

今は情報化社会と言われる。 この時代の特長をひとことで表現するならば、 「企業よりも消費者のほうが情報を持っている時代」ということになるだろうか。 理由は、もちろんインターネットである。

たとえば、よく企業が「ユーザーを囲い込む」という表現をするが、 私はいつもこの表現に違和感を感じる。 なぜなら、いち消費者の立場として特定の企業に囲い込まれるなんて絶対にイヤだし、 そもそもそんなことはできっこないと思うからである。

なぜなら今は「情報化社会」だからだ。 企業よりも消費者のほうが情報を持っている今の時代に、 企業が消費者を思うがままに囲い込むなんて無理だと思うし、 それ以前に、その発想そのものが、 情報化社会の本質を理解していない前近代的なものではないか。

そのようなユーザー主導の流れを象徴するのが、 昨年後半頃から Web 業界でしきりに叫ばれている「Web2.0」だ。 これは、これは「○○である」と特定できるものではなく、 ユーザー参加、あるいはユーザー主導による大きな流れを指す言葉だ。 決して技術用語(提供者の言葉)ではない。

“Web2.0 的”なものと言えば、 たとえばきわめて簡単に自分のサイトが作成でき、 コメントやトラックバックなどでユーザーが参加、 あるいはユーザー同士が繋がることができる「Blog」であったり、 誰でも編集に参加できる「Wiki」であったり、 知り合いから知り合いへ、 あるいは同じ趣向を持つ人同士のネットワークを広げていくことができる「SNS」、 クチコミで認知度を広げていく「アフィリエイト」、 購入者の感想が購買行動に大きな影響を及ぼす「カスタマーレビュー」など、 数え出すとキリがないが、 いずれも共通点は「ユーザーを基点としたサービス、 またはツール」であるということだ。

ところが、先日聞いた話では、 「まだ HTML でサイトを作っている人は、 これからの流れについていけません」などと、 あくまでも技術的な切り口から Web2.0 を説明し、 変な強迫観念を植え付ける“セミナー講師”もいたそうで、 多くの一線級 Webmaster からはブーイングが起こっていたそうだ。

Web2.0 とは、そのような「提供者サイドの視点」とは対極にある。 全体的な流れをひとことで言うと、 「提供者の論理」が排除されつつあるということではないだろうか。

私は、そのようなユーザー主導の時代こそが、 インターネットという「個のメディア」が本当の意味で力を発揮する時代だと考えている。 その意味で、これからの Web2.0 時代こそが、 本当の意味でのネット時代となるに違いない。

そしてそこでは、提供者側の論理は通用しない。 ユーザーは、バナー広告が鬱陶しいのであれば、 読み込みをしない設定にすればいい。 それをさせない技術を開発したところで、 ユーザーから受け入れられるはずはないのである。

私は、今の時代は「ユーザー主導のメディア」時代の幕開けではないかと思う。 それは、大きなパラダイム・シフトであると言っても過言ではない。 (執筆:前野智純/株式会社エクストラコミュニケーションズ代表取締役社長)

記事提供: VideoResearch

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