IR サイトの情報を XBRL で作成する(ビデオリサーチインタラクティブコラム)8月10日、三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)が、企業の財務情報など
をインターネット上で表示するための「XBRL」(財務情報の国際標準言語)を採
用した財務データを掲載し始めた。
XBRL によって「2002〜05年度分の旧三菱東京、旧 UFJ、三菱 UFJ の財務データを時
系列で提供する」(日本経済新聞06年8月9日付記事)というのだ。
どの職場でも、企業情報に関するリポートの書式はマチマチだ。財務情報を例 にとると、社内報告書、監査報告書や税務申告書、監督官庁への届出など多様な 書式で作成している。転載時にケアレスミスをしでかすリスクはどこまでもつい てまわる。 それだけではない。例えば会計基準は国や企業で異なる。「売上高」 という項目ひとつを見ても、米国とフランス、英国、そして日本では数値の裏づ け(会計基準)に差異が生じる。同じ企業でも複数の数字を発表しているのだ。 各社の IR 担当者は、こうした数字の異同を説明する資料を作成しているが、現場 のプレッシャーは大変なものだ。そんな事情はアナリストや投資家も同じだ。各 国、各社の異なる形式で開示情報を分析し、独自の比較・分析モデルを再構築す る時、同様のリスクとプレッシャーに直面する。 そんな企業情報の転記の煩わしさを追放する決め手が、各種の財務報告用の情 報を作成・流通・利用できるように標準化した XBRL だ。 03年、東京証券取引 所は「適時開示情報伝達システム」(TDnet)に XBRL を導入した。上場各社は TDnet に開示資料を入力する。すると XBRL 化されたデータと PDF が東証の画面に開 示される。そんな仕組みを構築したのだ。 XBRL の採用は、市場全体の透明化と効 率化に限りなく直結する。情報の発信と受け手が抱えるリスクをクリアにし、投 資判断はスピードアップすることになる。 XBRL が、企業情報の開示に大きな変化を作り出す可能性を指摘しておきたい。 「企業には個別の業種ごとにバリュードライバー(企業価値を左右する要因)と なる非財務情報が存在するが、この情報に XBRL でタグをつけ、価値評価モデルや 成長モデルをより明確に検証することができる」(2005年7月、全米 IR 協会の Thompson 理事長=当時)というのだ。企業の長期的な成長モデルが誰の目にも 明確となるわけだ。 XBRL は、04年に国税電子申告(e-TAX)に採用され、05年には JIS に認定された。 06年2月、日本銀行は金融機関から報告を受ける月次のバランスシートに XBRL を 採用した。08年度から、金融庁は XBRL による有価証券報告書のデータ公開を始め る。 そうした潮流の中で、今回の三菱 UFJ の動きは、今後の企業情報の地平を切 り開くものだといえよう。XBRL の採用で、IR 業務はさらに高度に、また、もっと 質的な充実を求められるだろう。 (執筆:米山徹幸/大和インベスタ−・リレーションズ理事) 関連記事 最新トップニュース
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