![]() ![]() ![]() ![]() 2007年静かに動き出すケータイ動画ビジネス(ビデオリサーチインタラクティブコラム)この記事のURLhttp://japan.internet.com/atlas/20070115/1.html
著者:戸口功一
国内internet.com発の記事
ケータイ業界にとって2006年は話題の多い年だった。番号ポータビリティ、ワンセグ、おサイフケータイなど、前回紹介した通りである。
しかし2007年のケータイ関連スケジュールをみると、特段にインパクトのある行事が見当たらない。iモードサービス開始から8年になるケータイ業界もそろそろ落ち着き、凪な一年になるのだろうか。いやいや、「FMC 時代がくる」、「料金競争が激化する」といった意見はあるだろうがいずれも漠然とした要素であって、「制度が変わる」、「新サービスが始まる」といったものは見受けられない。ただ表面上には出てこない、くすぶった地殻変動が起こりそうな気がする。 例えばロボット検索エンジンのケータイ搭載による公式サイトのポジショニング変化や通信キャリア自身によるコンテンツサービスへの参入などである。これらは今まで3,000億円以上の新たな市場を形成してきたコンテンツプロバイダにとっては死活問題となるだろう。こうした地殻変動はキャリア間の空中戦によって起こっており、火種はコンテンツプロバイダー達の現場でくすぶる可能性がある。 空中戦といえば、2007年に動き出す流れとしてケータイでの動画配信ビジネスがある。ようやくミュージッククリップなどでプロモーションし、課金へと誘引する体制に入ったが、まだまだ定着するまで時間がかかりそうである。しかしワンセグ対応機種が普及するとともに業界内ではケータイ動画に対する期待は否が応でも高まっている。そしてここでも空中戦が繰り広げられている。 通信キャリア、特に NTT ドコモはフジテレビに2.6%出資、日本テレビにも約3%出資している(共に出資当時の比率)。またワンセグ関連で LLP や LLC といった共同会社も設立している。 放送以外では角川 GHD にも出資している。これは映画を配信することを見据えた布石である。このようにドコモは着実にケータイでの動画配信に向けた手を打ってきている。これは直近のワンセグやパケット通信での動画配信ビジネスだけを想定しているわけではない。2006年末に発表された ISDB-T マルチメディアフォーラム(ISDB-T MMF)設立にその野望は見て取れる。 ISDB-T MMF は2011年地上アナログテレビ放送終了後の VHF/UHF 周波数帯域の有効利用を前提としたフォーラムで、新しいモバイルマルチメディア放送を立ち上げるためのドコモを軸とした放送局、代理店、家電メーカー、商社などのオールジャパン連合である。この大型空中戦の意味するところは、KDDI、ソフトバンクモバイルがすでに提唱している「Media FLO」の対抗軸ということである。 ISDB-T は日本が開発した方式であり、現状のワンセグにも利用されているもので一方、Media FLO は米 Qualcomm 製である。規格競争はもとより空き帯域の活用をめぐって既存放送事業者と通信事業者のバトルが繰り広げられることになる。 さらに放送周りではデジタルラジオもスタートしている。こちらはラジオ局連合がマルチプレックスジャパンを設立する予定であったが頓挫し、現在 KDDI を軸に FM 東京がトライアルを開始している。 いずれにしても約1億台普及しているケータイを軸に通信と放送が急速に接近し始めているのは事実である。ただし何度も言うことではあるが、これからのメディア産業は技術や制度、帯域ありきではなく、いかに良いサービスを継続的にユーザーに提供できるかにかかっている。 (執筆:戸口功一/メディア開発綜研主任研究員) |