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2007年7月9日 12:00

変革を迫られる携帯電話ビジネス(ビデオリサーチインタラクティブコラム)

6月26日に総務省で携帯電話の競争促進やユーザーの利便性を議論している 「モバイルビジネス研究会」が報告書案(PDF 版)をまとめ発表した。

その骨子は日本式携帯電話ビジネスの変更を促すものだが、当初予想されてい た強い言い回しではなく、ある程度事業者に委ねた結論となった。報道各社は 「携帯電話乗り換え容易に」など、インパクトのある見出しをつけているが、 事業者の判断に委ね段階的に行政指導をしていくというものだった。

内容はすでに皆さんもご存知の通り、大きく分けて次の2つだ。

1)販売モデルの在り方について(販売奨励金、SIM ロックの在り方の見直し)
2)MVNO の促進

日本の携帯電話販売方式は、キャリアがメーカーから端末を買い取り、キャリ アが販売店へ卸しているといった特有のシステムになっている。これにより通常 10万円を越える携帯端末がユーザー購入時には新機種で2万円前後、旧モデルは1 円といった極端な価格設定が生まれている。

このからくりはキャリアから販売店への販売奨励金として1台契約あたり数万円を支払い、キャリアはユーザーから 通信料金として回収している。今までは端末を安く購入できることがメリットと なっていたが、世界的にみて日本の携帯電話の通信料金が高いことを受け、この システムの問題点が浮き彫りになった。

また SIM ロックについても、メーカー主導の世界標準とキャリア主導の日本の 違いからの問題であり、すべて販売モデルの在り方に起因している。

ナンバーポータビリティを契機に、携帯電話ビジネスも大きく動き出す流れと なっているが、これらの問題は携帯電話ビジネス開始当初から官も含めわかって いた問題であり、それをよしとして1億台以上の普及となった経緯がある。iモードビジネスに代表されるモバイルコンテンツ産業が世界でも稀にみる1兆円 近いビジネスになったことも現在の販売モデルがあったから成長したともいわれ ている。

報告書の中でも、今までの販売モデルをある程度評価しつつ、次の段階に進む ことが明記されている。またキャリアも報告書の提言を反対するのではなく、 徐々に見直していく姿勢をみせている。

しかし産業形成20年近くたった商習慣を変換することは容易ではない。 また本当にユーザーの大半が今の制度に不満、苦情を持っているかも明らかでは ない。さらに携帯電話ビジネスに関係する企業が商習慣の変更を本当に望んでい るのかも疑問がある。

官は国のグローバル化を標榜しているため世界に通用する 日本企業を望んでいる。しかし企業はグローバル化に対しての考え方が様々で、 官民双方の思惑が交差している。

現在、日本でビジネス展開している携帯電話グループは NTT ドコモ、KDDI、 ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの4社。これに PHS 事業者のウィルコムと なっている。 限られた周波数帯の中で世界をリードするモバイル大国を構築して きたのは、これらキャリアにより涙ぐましい努力という見方もある。端末メーカ ーも日本のニーズに合わせた高機能携帯端末を標榜してきた。

国内で十分ビジネ スが回っていた産業を突然、大海(世界)へといわれても酷な話である。グロー バル化は本当に必要なのだろうか。制度ではなく企業判断に委ねれば済む問題で はないだろうか。

(執筆:戸口功一/メディア開発綜研主任研究員)


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