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(狭い範囲だがきわめて重要な)問題がある。アプリケーションのバージョン1.0で利用したテストスクリプトが、そのアプリケーションのバージョン2.0ではたいてい使えなくなるという問題だ。テスト担当者は新しいものをゼロから作成せずに済むよう古いテストスクリプトを編集しようとするが、その作業は時間がかかり、単調かつ退屈で、障害も発生しやすい。問題が発生するまでスクリプトを実行(時間がかかる場合が多い)し、それがテストスクリプトの問題なのかどうかを確認し、もしそうならばこれを修正して最初からやり直す。それが、場合によっては数百回にもおよぶ。

例を示す。同じ機能でもアプリケーションのバージョン1.0ではコンボ・ボックスを使っていて、バージョン2.0ではテキストボックスを使っている場合のテストスクリプトがどうなるか想像していただきたい。言うまでもなく、コンボ・ボックス(だったもの)を使うスクリプトは2.0では問題を引き起こす。これは、「Changed Object CO:オブジェクト変更)」エラーの一例だ。エラーのタイプとしてはほかにも、2.0で削除されてしまった GUI エレメント(ボタンやチェックボックスなど)にスクリプトがアクセスしようとして発生する「Wrong Path WP:不正パス)」などがある。いずれのエラーもテストを突然停止させてしまうことになる。

解決策の1つとして考えられるのは、テストスクリプト1セットと、2つのバージョンのあるアプリケーションをもとに、GUI とスクリプトのなかから齟齬のある部分をすべて自動的に特定し、スクリプトが2.0でも機能するようスクリプトを変更するのを手伝うというものだ。これが REST の仕事だ。

REST は、プログラム分析とアクセシビリティレイヤ(動作中の GUI プログラムの構造と動作に関する豊富な情報を提供する API)を組み合わせることでこの機能を実現する。通常、アクセシビリティレイヤは、さまざまな身体的弱点(視覚/運動障害など)を持つユーザーにサービスを提供するために利用されるが、別のプログラム(この場合は REST)から GUI アプリケーションを分析するためにも利用される。

REST は、アプリケーションの各種メイン画面への遷移をテスト実行者に依存しており、それからアクセシビリティレイヤを使ってこれらの画面の GUI コンポーネントツリーを構築する(ツリーのサンプルとしては、61番のウィンドウにはダイアログボックスが1つあり、そこには6つのボタンとテキストフィールドが1つある、といったものがある)。メイン画面ごとに2つの GUI ツリー(1.0のものと2.0ののもの)の比較が行われる。違いが見つかると、REST は半自動(ある程度テスト実行者の助けが必要)分析を行い、それぞれの不一致が WP エラーなのか CO エラーなのかを判断し、いずれの場合も、影響のあるテストスクリプトをバージョン2.0で機能するよう変更する作業をテスト実行者に指示する。

REST は、4つの大規模オープンソースアプリケーションの複数バージョンで(何と)テスト済みであり、テストスクリプトのアップデートに必要な時間の削減に効率的かつ効果的であることが分かっている。REST に関する詳細については、アクセンチュア・テクノロジー・ラボのMark Grechanikまで。

礼儀正しい警察官 (2008年05月09日)


Register
(イギリスのIT系ポータルサイト)に、英国警察官のヘルメットにビデオカメラを装着させるという試験プログラムについての記事が載っている。このプログラムは、容疑者(のみならず、警官もだと思うが)に自分の態度を改善させることが目標だ。

 

だから? 

 

筆者は以前から、幅広く普及したビデオカメラを活用すれば一般市民の礼儀正しさが改まると考えてきた。最近になって、大きな効果がありそうな場所を思いついた。それがバーだ。

 

そう、超小型携帯電話に接続したレンズを額に埋め込んだ(一つ目小僧のような)酔っぱらい客であふれた数年後の深夜のバーを想像してみていただきたい。なぜこのようなものを使うのだろう?それは、 犯罪を抑止し、名前を思い出し、貴重な瞬間を残すためだ。そうしたことは誰にでも起きうるし、むしろ時間の大半を占めている。

 

このようなバーができたとして、何が問題になるだろうか? 簡単だ。カメラの前で酒を飲むなど、頭がおかしくなければできない。舌がもつれたり、下ネタが飛び出したりと、夜の町のあらゆる恥ずかしい光景がそこにはある。酒の上の悪ふざけを録画して Facebook に投稿して欲しい人などいない。出世の妨げにはなるし、政界進出などもっての外だ。

 

と、ここで話を警察に戻す。ときには、礼儀正しくしていたのでは主張が通らないこともある。そのような状況では、あとから批判されないよう、自分のカメラを止めたくなるだろう(もしそれが技術的に可能であればだが)。これが普及するとは思えない。録画したものにギャップがあれば陪審員や報道には信用されなくなるだろう。だから、主張ができようとできまいと、カメラがあれば英国の警察官は礼儀正しくしているかもしれない。われわれが保有しているカメラもスリを未然に防ぐかもしれない(そう考えているのが一番だと思う)。まあ役には立つものだが、代わりに一人寂しくお酒を飲まなければならないのは、大きな代償ではないだろうか。



アクセンチュアのテクノロジー・ラボが同社の
Knowledge Exchange KX)の各パーツ用検索エンジン、「SABLE」(Search, Analyze and Browse Large Environments)を開発した。SABLE は、ドキュメント検索(PowerPointWordPDF など)、高速プレビュー、ブックマーク、そしてエキスパートの識別をサポートする。これは、Accenture 関係者向けにhttps://sable.techlabs.accenture.comで公開されている。

だから? 

SABLE は、従来の検索機能に加え、アクセンチュア・テクノロジー・ラボが開発した社内エキスパートデータベースに対しても Web サービスを利用する。ドキュメントを検索していても、実際は、著者を検索していることがほとんどだ。ドキュメントも(見つかれば)役立つが、何よりその著者が見つかれば大いに助かる。この著者からは、貴重な参考資料だけでなく、最新の資料も入手することができる。SABLE は、検索結果として、明確にエキスパート(そしてドキュメント)を含めることで、このプロセスを省こうとしている(この機能はまもなくリリースされる)。

また、SABLE はソーシャルブックマークのトレンドも押さえている。見つかったドキュメントはすべてブックマークし、1つ以上の用語(「アーキテクチャ」、 「テスト」、 「要件」、「貧困」、 UFO」など)を使って公開タグをつけることができる。そして、あとからこのタグを使ってブックマーク(さらには、同じ内容のタグを使った人のブックマークも)を検索できる。ソーシャルブックマークは、参加者ユーザーにとって有益となる資料をインデックス化するためのツールだ。

SABLE RIA Rich Internet Application)だ。これはつまり、Web プログラムというよりも、デスクトッププログラムのような動作をすることを意味する。高速でなめらかに動くのは、コードの大半が(Web サーバ上ではなく)ブラウザ上で動作し、多くのデータがローカルにキャッシュされていることも要因となっている。

SABLE は、主にドキュメントのプレビュー機能のなかで RIA の力を活用している。たとえば、PowerPoint のデータが見つかると、SABLE は瞬時にスライドの中からランダムで20枚のスライドを拡大表示させる。このプレビュー機能は、従来のドキュメント検索エンジンに良くある「ダウンロードする」、「待つ」、「開く」、「精査する」、「却下する」、「削除する」、「ウンザリしてやめそうになる」という一連の作業よりも格段に高速かつ便利だ。高速なプレビューは検索よりもブラウジングを促進し、SABLE ユーザーは KX ユーザーより48倍多くのドキュメントを検索している(ただし、Accenture KX Find 機能にはレポジトリの一部に対応したドキュメントプレビュー機能が先ごろ追加された)。

以上が SABLE の説明だ。(Accenture 関係者ならば)ぜひ試し、感想を聞かせていただきたい。(われわれの励みになる)ユーザーや(ボタンを押すだけで送信できる)フィードバックは大歓迎だ。よろしくお願いしたい。

 


データの所有について (2008年05月01日)


筆者は最近、集めていた
CD を捨ててしまった。その枚数は、この手のものとしてはそれほど多くはない、200枚ほどだろうか。棚のスペースをとるわけでもなかったが、所有していることがだんだんと恥ずかしくなってきた大昔の遺物を単に処分したかっただけだ。

だから? 

では、筆者は今どこから音楽を入手しているとお思いだろうか? 入手方法については、大きく分けて2つの考え方(というか、もはや信条ともいえる)がある。まず、自分のデータとして曲を所有したいと考え、その特典の対価として199セント支払うことをいとわない「購入者」がいる。「購入者」のほとんどは iTunes の顧客だ。

一方で「定額会員」もいる。「定額会員」は、オンデマンドで入手できている限り、データの所有権の有無は気にしない。「定額会員」は Rhapsody に会員登録し、1か月約15ドルを支払って、カタログにある曲を好きなだけ入手する。

「定額会員には曲の所有権はないので、プロバイダーの気持ち一つでどうなるか分からない」というのが「購入者」の認識だ。(ライセンスの理由などから)曲が撤収されて聴けなくなったり(これは実際に起こることだ)、倒産にともない曲も一緒に引き払われてしまうことが考えられる。

一方で、「自分たちは現在聴くことのできる(100万曲以上が入った)カタログを1か月あたり15ドルで購入しているのだ」というのが「定額会員」の言い分だ。「購入者」は、自分が死ぬまで毎年1万ドル支払い続けてもここまで巨大なコレクションを持つことはできない。筆者の同僚の1人は、(彼曰く)「自分には考える力がある」から「定額会員」になっているという(筆者が信条レベルの議論だと言った理由はここにある)。

筆者は、自分の購入予算より多くの曲を聴きたいので「定額会員」になっている。筆者が集めた CD のコレクションを iTunes を使って集め直すと約2000ドルもかかってしまう。これを Rhapsody の料金に換算すると、そのカタログにある全曲に11年間アクセスできることになってしまう。判断は容易に付くだろう。もし好きな曲数がもっと少なかったら(200ドル相当数程度)、筆者も「購入者」になっていただろう。

いずれにせよ、かつて VHS テープが置いてあった場所に(デジタル技術の圧倒的な力を見せつけた) DVD が並んでいるように、筆者はかつて CD が並んでいた場所にノイズキャンセラー付きヘッドホン、ケース、プレーヤー、そして予備バッテリを置いておくことにする。

 



先ごろ、
Microsoft からスピンオフし、ワシントン州カークランドに本社を置く Inrix, Inc のことが Wall Street Journal 取り上げられていた。同社は、GPS を搭載した車の列、料金所、路上センサー、そして人々の携帯端末から取得したデータを用いて、米国の総延長10万マイルにもおよぶハイウェイ上の交通状況を観測している。このデータはさまざまな企業(MapQuestDash、および Garmin など)に販売され、各社がこのデータを基に消費者にトラフィック監視サービスを提供している。

そのなかで最も興味深いのが Dash の企画かもしれない。同社の双方向ナビゲーションデバイスを購入して毎月の利用料を支払うと、自分の位置や速度が Dash に通知され、それに別のユーザーの位置や速度が集約され、最新トラフィック情報として返ってくる。

だから? 

これは大規模なクラウドソーシング(訳者注:自社の業務や問題解決を不特定多数の“群集”(クラウド)にアウトソーシングすること)だ。そして、システムが参加者の増加に伴って良くなる(皮肉なことに混めば混むほど不快なハイウェイとは逆である)、というネットワーク効果を完ぺきに表す例でもある。1878年、Alexander Graham Bell Victoria 女王に電話機を献上した。当時、それは(献上物の条件である)非常に珍しいものであり、女王への贈り物として適していた。ただもちろん、あまりに珍しくて役には立たなかった。その後、下院議員全員にも電話機が普及すると、そこで初めて女王の電話機の価値も成立したのだ(テーブルマナーに関する難問奇問を聞いてくる下院議員もいたようだ)。

交通も確かに重要だが、混雑を避けたい状況はほかにもある。レストランや美術館は混雑していない方が魅力的だし、フェスティバルやフェアーなども(ある程度)同じだ。Dash のサービスは簡単に拡張することができ、このような歩行者の交通情報も提供できるだろう。

いずれにせよ、人々をモバイル GPS センサーの巨大な集合体として取り扱うのは、賢いし、強力な利用方法だ。筆者はまだ参加していないが、いずれ参加するのは確実だろう。筆者はボーグの仲間入りをすることで得られる心温まる一体感に期待している。