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Wikinomics 4:プロシューマー (2008年01月22日)


今回も、共同執筆者である Don Tapscott 氏が商取引の未来について書いた「Wikinomics: How Mass Collaboration Changes Everything」の解説を行う。今回のテーマは「プロシューマー」だ。重ねて強調するが、このシリーズは Tapscott 氏の著書に取って代わるものではない。内容は好みの問題であり、好みが合うなら同書の方をお読みいただくことを強くお勧めする。


プロシューマー(生産者と消費者を合わせた造語)とは、製品をハッキング(変更/改善/結合)する消費者を指す。おそらく、消費者によるハッキングの最もわかりやすい例が「Lego Mindstorms」だ。Mindstorms はティーンエイジャーをターゲットにしたロボット製作キットだ。だが、1998年にリリースされると3週間もたたないうちに、(生まれたときからこのようなものを待ちこがれていた)多数の大人のマニア層がはんだごてを片手にハードウェアの強化に着手した。また、「Intelligent Bricks」プログラムを組み直してロボットに新しい動きをさせる人たちもいた。そして、多くが自分の作品をサイトに公開し、ほかのユーザーが恩恵を受けられるようにした。Lego は事態を把握すると警告を出して弁護士を送り込んできた。しかし幸いにも、同社はこれらのハッカーが貴重な財産であることに程なく気付いた。彼らは、Lego が製品開発に直接反映できる研究を無償で行っていたのだ。実際にそのような流れが起こり、これが現在も続いている。


Mindstorms のこの経緯は例外ではない。Don Tapscott 氏は音楽、具体的にはリミックスに言及し、これをプロサンプションの魅力的な例だとしている。「The White Album」と「The Black Album」(Jay-Z の大ヒットアルバム)を組み合わせて「The Grey Album」(お分かりいただけるだろうか?)にするのはほんの一例だ(The Gray Album は明らかに鮮烈だ。ただし、強制的に聴かされないとの前提だ)。良かれ悪しかれ、音楽関連企業は楽曲のハッカーらに対し、Lego が Mindstorms のハッカーに対して示したのとは異なる対応に出た。弁護士らは、利用されている曲がたとえわずか2秒程度であっても「公正使用」の主張を強くはねつけている。使用停止命令書が飛び交い、その結果、音楽の創造性はその大きな可能性を実現するには程遠く、膨大な数のリミックスファンが「ソース」の曲(The White Album や The Black Album など)に興味を持つ(そして購入する)可能性は今後ないだろう。


だから?  


革新の源としてプロサンプションを受け入れるべきだ、というのが Don Tapscott 氏の論点だ。その目的のためには、自社製品を簡単に分解できるようにし、「編集」用のハッキングツールを用意する。そして、ハッカーのエコシステムを育成し、参加するだけでコントロールすることは考えない。最後に、作り出した価値をコミュニティーのメンバーに還元するなどし、そこに居続けたいと彼らに強く思わせる。これがすべてできれば、数百人あるいは数千人の熱烈な研究者が自社製品の改良に取り組んでくれるだろう。悪くない居場所になる。


まあ、これは可能性にすぎない。当然ながら、革新技術が公の場で開発され、競合各社の目にとまるリスクもある。ご推察のとおり、ライバルより早く商品化し、先発企業(これは素晴らしい立場のようにも思えるが、厳しい状況も待ち受けているだろう)の優位を確立することだけが頼みとなる。 
 

もちろん、すべての企業がハッキング可能な商品を製造しているわけではない。確かなのは Lego と音楽だけだ。クロロホルム、コンクリートブロック、ヨーグルトなどはあまり想像できない。プロサンプションは魅力的でパワフルだが万人向けではないのだ。

 
次回は「新アレキサンドリア人」について述べる。