データの所有について (2008年05月01日)
筆者は最近、集めていた CD を捨ててしまった。その枚数は、この手のものとしてはそれほど多くはない、200枚ほどだろうか。棚のスペースをとるわけでもなかったが、所有していることがだんだんと恥ずかしくなってきた大昔の遺物を単に処分したかっただけだ。
だから?
では、筆者は今どこから音楽を入手しているとお思いだろうか? 入手方法については、大きく分けて2つの考え方(というか、もはや信条ともいえる)がある。まず、自分のデータとして曲を所有したいと考え、その特典の対価として1曲99セント支払うことをいとわない「購入者」がいる。「購入者」のほとんどは iTunes の顧客だ。
一方で「定額会員」もいる。「定額会員」は、オンデマンドで入手できている限り、データの所有権の有無は気にしない。「定額会員」は Rhapsody に会員登録し、1か月約15ドルを支払って、カタログにある曲を好きなだけ入手する。
「定額会員には曲の所有権はないので、プロバイダーの気持ち一つでどうなるか分からない」というのが「購入者」の認識だ。(ライセンスの理由などから)曲が撤収されて聴けなくなったり(これは実際に起こることだ)、倒産にともない曲も一緒に引き払われてしまうことが考えられる。
一方で、「自分たちは現在聴くことのできる(100万曲以上が入った)カタログを1か月あたり15ドルで購入しているのだ」というのが「定額会員」の言い分だ。「購入者」は、自分が死ぬまで毎年1万ドル支払い続けてもここまで巨大なコレクションを持つことはできない。筆者の同僚の1人は、(彼曰く)「自分には考える力がある」から「定額会員」になっているという(筆者が信条レベルの議論だと言った理由はここにある)。
筆者は、自分の購入予算より多くの曲を聴きたいので「定額会員」になっている。筆者が集めた CD のコレクションを iTunes を使って集め直すと約2000ドルもかかってしまう。これを Rhapsody の料金に換算すると、そのカタログにある全曲に11年間アクセスできることになってしまう。判断は容易に付くだろう。もし好きな曲数がもっと少なかったら(200ドル相当数程度)、筆者も「購入者」になっていただろう。
いずれにせよ、かつて VHS テープが置いてあった場所に(デジタル技術の圧倒的な力を見せつけた) DVD が並んでいるように、筆者はかつて CD が並んでいた場所にノイズキャンセラー付きヘッドホン、ケース、プレーヤー、そして予備バッテリを置いておくことにする。

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