次世代支店 (2008年01月23日)
アクセンチュア・テクノロジー・ラボの「次世代支店」(NGB)のデモ環境は、雲ひとつないソフィアアンティポリスにある(フランス南部のニースとカンヌの中間に位置する静かなところだ。でも、筆者はシカゴの冬に鍛えられているので、ここに住んでいなくても悔しくない)。NGB は、(だれもがそうであったように)90年代後半にインターネットに夢中になって支店を閉鎖して仮想の拠点で代用した銀行の誤りを認めるものだ。結局分かったのは、顧客は実店舗の方を好むということだった。彼らにとっては人間のいる窓口と、個人に合わせたサービスの方がよいのだ。彼らは ATM や Web サイトだけとやりとりすることには満足できず、自らの行動によってその意志を示した。銀行はその流れを断ち切るべく再び支店の開設に乗りだした。だが今度は、顧客の支店利用関連で新たに価値を創造するためのやや異なる方法を探し求めている。
だから?
「新たな価値を創造する」というのは、もちろん、(当座預金、普通預金、預金証書などのほかに)「新たなサービスを販売する」ということだ。銀行は、投資信託や保険を買ってもらいたいし、証券取引口座を開設してもらいたいし、年金を振り込ませて退職後の計画を管理したいのだ。この目標を考慮した NGB は、顧客識別、スクリーニング、データ収集、営業サポートなどの各種技術を利用する。すると、次のような銀行のある日の様子が見えてくる。
顧客が銀行の支店を訪れるとシステムが得意客用 RFID カードをスキャンして来客者を識別し、個々の顧客に合わせたあいさつメッセージを壁に表示する。同時に、営業担当者に顧客が来店したむねの連絡が行き、その顧客の簡単な財務状況も提供される。接客に値する顧客であると判断されると、担当者が近づいてあいさつし、現在の貯蓄率のままでは老後は段ボール箱のなかで生活せざるを得なくなることをやんわりと伝える。顧客は、この問題に対する対策があることに驚き、担当者に招かれるがまま奥の部屋へと入っていく。
すると、そこにはソファーとテーブルがあり、その上にはカフェラッテとタブレット PC が置かれている。担当者と顧客が席に着くと、担当者は個人年金計画のシミュレータを起動し、数字の代わりに絵(車、家、大学など)を使って財務計画固有のトレードオフの説明を行う。(Passat から Porsche などに乗り換えていくような)車に関する上昇志向があると、子どもの行く大学が Harvard ではなく教育現場とはほど遠い内容の学校に変わってしまう。対照的に、家の規模を抑えめにしておけばもっと寄付金を出せる、といった具合だ。
その一方で、別の担当者は顧客が見ているパンフレットを把握しておき(パンフレットをスマートラックに入れておけばこれが可能になる)、その情報を使うことで、だれに、どのような言葉をかけてアプローチするのかを判断する(この情報は個々の顧客の記録として保管され、あとから電話や電子メールでアプローチする際に利用される)。もう1つのシステムは、行列の長さ、待ち時間、そして流れのパターンをトラッキングする。このデータは人員配備や支店のレイアウトの最適化にも使える。
前述のソファーでは、顧客と営業担当者が顧客のリスクプロファイルにマッチした退職基金の調査に着手しており、そこに担当者の頭を真っ白にさせるような複雑な質問が顧客から出てくる。担当者は多少正気を取り戻すと、本部にいる年金の専門家に連絡を取り、その専門家が詳しい説明を行うと同時に画面をコントロールして複合収益の魅力を絵を駆使して説明する。ここまで専門知識があるとは思っていなかった顧客は、この専門家の知識に魅了され、「老後安心ファンド2035」などといった名前のファンドを大量に購入し、自分の老後を自分で管理することにする。しかも、明日から段ボール箱のなかで生活しなければならないほど大量にだ。だがこれは、(営業担当者が親切に指摘するように)経済的な安全性の代価としてはたいした額ではない。
このほかにも、入金伝票記入用の電子ペン、3G 電話機を使ったリモート専門情報提供、顔認識 ATM など、統計支店管理サポートシステムの中身はまだあるが、今回はもう説明する時間がない。次世代支店の詳細を知りたい場合は、アクセンチュア・テクノロジー・ラボでこのプロジェクトをまとめる Emmanuel Viale までお問い合わせいただきたい。

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