Wikinomics 6: 参加プラットフォーム (2008年02月15日)
再び今回も Don Tapscott 氏共著の「Wikinomics: How Mass Collaboration Changes Everything」をお送りする。この Wikinomics シリーズもあとわずか2回を残すばかりなので悔いのないようお楽しみいただきたい。
Don Tapscott は本章のなかで、筆者が「マスプラットフォーム」と呼ぶものを論点にしている。ここでは、新しい、あるいは意外なアプリケーションをそこで開発したいと考えるプログラマーに安価/無償で提供されるデータ/機能の集合をプラットフォームと定義している。以下に例を示す。
2005年に Paul Rademacher によって作成された Housingmaps は、Google の地図データと craigslist の住宅データを組み合わせたものだ。同氏のサイトを利用すれば、自分の選んだ地域で売りに出されている家とその売り出し価格が一目で分かるようになる。洗練されたシステムではないが、これがおそらく Web で最初の 「マッシュアップ」だった。つまり、複数のプラットフォームの情報を組み合わせた初めての応用例だ。
Google が多額の費用を投じて獲得した地図をプログラマーに無償で開放しているのはなぜだろう? これらを使って何か貴重なものが開発されれば、Google は 1)それを買い取り、2)(Paul Rademacher にしたように)開発者を自社に招き入れることができるからだ。別の言い方をすれば、彼らは無償奉仕をいとわない開発者らに自社の R & D 資源をアウトソーシングしたことになる。(Google にとっては)なかなかうまい話である (ところで、Programmable Web には、Google Maps を使ったマッシュアップが1000種類以上ある。ただ、 Google がこれらのどれかを実際に獲得したかどうかについて筆者は定かではない)。
マスプラットフォームとしてはほかにも Amazon と eBay の2つがある。これらはいずれも、それぞれのシステムを外部のプログラマーに開放している。彼らも考え方は似ているが、全く同じではない。彼らは(だれかほかの人たちに)革新的な売上拡大方法を見つけ出してもらいたいと考えているのだ。たとえば、eBay の判断によって Abidia が生まれた。これを利用すれば、PDA や各種モバイル機器からオークションの出品/入札状況をトラッキングできる。ほかに、モバイル機器でショップ間の比較(Amazon とほかの各社など)ができるソフトウェアも開発されている。
だから?
Google Maps、Amazon、そして eBay は独立したシステム(つまり、これら自体でも有用)だが、その上で第三者が膨大な数のアプリケーションを開発できるマスプラットフォームでもある。この環境は、適切に構成すれば関係者全員にとってメリットのあるエコシステムにもなれる。Amazon は特に良く分かっているようだ。アプリケーションを使って購入者を紹介すれば、Amazon は売上の一部をくれる。つまり、Amazon はそのエコシステム参加者に対して報酬金を支払う方法を確立した。もちろん、同社もぬれ手に粟でもうけている。
Tim O’Reilly 氏の有名セリフに「Intel の次はデータだ」というものがある(筆者も一度でよいので何か有名なセリフを言ってみたいものだ)。同氏が言いたかったのは、データはその上で価値が生み出される主要な基盤になったということだ。Amazon を考えればよい。同社にとって最も価値のある資産を1つあげるとすると、それはおそらく同社が数年がかりで集めた数百万件もの顧客のレビューだ。eBay を考えても良い。これはデータ以外の何ものでもない。Tim O’Reilly 氏の言ったことは正しいと思う。だが、データは売上を伸ばし、革新を生み出す力を持っているので、筆者なら同氏の格言を「Intel の次はマスプラットフォームだ」と言い直すだろう(これで筆者も有名になれるだろうか? )

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