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先ごろ、
Microsoft からスピンオフし、ワシントン州カークランドに本社を置く Inrix, Inc のことが Wall Street Journal 取り上げられていた。同社は、GPS を搭載した車の列、料金所、路上センサー、そして人々の携帯端末から取得したデータを用いて、米国の総延長10万マイルにもおよぶハイウェイ上の交通状況を観測している。このデータはさまざまな企業(MapQuestDash、および Garmin など)に販売され、各社がこのデータを基に消費者にトラフィック監視サービスを提供している。

そのなかで最も興味深いのが Dash の企画かもしれない。同社の双方向ナビゲーションデバイスを購入して毎月の利用料を支払うと、自分の位置や速度が Dash に通知され、それに別のユーザーの位置や速度が集約され、最新トラフィック情報として返ってくる。

だから? 

これは大規模なクラウドソーシング(訳者注:自社の業務や問題解決を不特定多数の“群集”(クラウド)にアウトソーシングすること)だ。そして、システムが参加者の増加に伴って良くなる(皮肉なことに混めば混むほど不快なハイウェイとは逆である)、というネットワーク効果を完ぺきに表す例でもある。1878年、Alexander Graham Bell Victoria 女王に電話機を献上した。当時、それは(献上物の条件である)非常に珍しいものであり、女王への贈り物として適していた。ただもちろん、あまりに珍しくて役には立たなかった。その後、下院議員全員にも電話機が普及すると、そこで初めて女王の電話機の価値も成立したのだ(テーブルマナーに関する難問奇問を聞いてくる下院議員もいたようだ)。

交通も確かに重要だが、混雑を避けたい状況はほかにもある。レストランや美術館は混雑していない方が魅力的だし、フェスティバルやフェアーなども(ある程度)同じだ。Dash のサービスは簡単に拡張することができ、このような歩行者の交通情報も提供できるだろう。

いずれにせよ、人々をモバイル GPS センサーの巨大な集合体として取り扱うのは、賢いし、強力な利用方法だ。筆者はまだ参加していないが、いずれ参加するのは確実だろう。筆者はボーグの仲間入りをすることで得られる心温まる一体感に期待している。



Chatterbots」(訳者注:会話ボットと訳され、人とテキストまたは音声で知的な会話をすることを組み込まれたプログラム)は、インスタントメッセージング(IM)で会話をすることができる。(これの先駆けである)「Eliza」や、ある大学生を1時間以上も言葉巧みに操ってしまったことで話題になった「Julia」などが有名だ。この学生は、「何でこんなに速くタイピングできるの!? 」という反応ばかりで、チャットの相手が「人間」ではなく「ボット」であることには全く気付かなかった。人工知能(AI)には、克服しなくてはならない課題がある。それが「チューリングテスト」と呼ばれるもので、(IM でチャットをしながら) AI が自分を人間であると信じ込ませるテストはその基本だ。Julia は間違いなくこのテストに合格した(もしくは、この学生が失格したかのどちらかだ)。

だから? 

われわれの大半が四六時中 IM を立ち上げっぱなしにしている今日では、Chatterbotsは面白い存在だ。IM 経由でアクセスできるツールの方が、Web などのほかのプラットフォームに対応した同様のツールより利用される確率が高い。アクセンチュア・テクノロジー・ラボが、社内から専門知識を持った社員を探し出すのをサポートする AIM ベースの「Labsbot」システムの開発を進めているのは、これが念頭にあるためだ(ただし、Labsbot は人間の会話をまねようとはしないので、厳密にはChatterbotsではない)。

Labsbot は、バックエンドとフロントエンドの2つのコンポーネントで構成されている。バックエンドでは、われわれのイントラネット(KX)や社員のプロファイルを含む各種情報源から名前や専門分野などの情報を抽出している(社員に、日々身についている自分たちの専門知識を自身のプロファイルとして最新に更新し続けてもらうのはなかなか難しい。KX のデータマイニングが役立つのはそのためだ)。

専門家のプロファイルがそろったら Labsbot の出番だ。これを自分が使ってる AIM の「友だちリスト」に登録し、(探したいと思っている)専門分野(「ボット」など)を伝えるだけで、すぐに役立ちそうな人材の一覧と、彼らのプロファイルへのリンクが返信される。さらに、オンライン中かどうかも分かるので、緊急の要件なら即座にコンタクトできる(もちろん、専門家の中には、あまり見つかりたくない場合もある。何しろ忙しいのだ。その点を考慮して、Labsbot はいずれ、メッセージを伝える代理人も指定できるようにする。一方、一緒くたに検索されるのを辞退することも可能だ)。

Labsbot の機能を拡張し、クエリを増やせるようにする計画もある。今後にご期待いただきたい。それと、詳細をお知りになりたい方は、高速タイピングが売りのMarko Kremaが担当だ。彼なら、チューリングテストの相手がどちらであれ合格間違いなしだろう。 

すべてのものに IP を (2008年04月11日)


先日、ハーバード大学の研究員が無線送信機を使ってペースメーカーのプログラムを書き換え、これを
停止させることに成功した。つまり、彼らはペースメーカーの装置本体に触れずに離れた場所からこれを停止させたのだ。幸い(好運とはまさにこのようなことを指す)、このペースメーカーは実験時には人体に埋め込まれていなかったのだが。

だから? 

Internet Protocol」(IP)は、インターネットが通信するときに使う言語だ。この言語に対応するデバイスは日に日に増えている。予測では、いずれオーブン、電球、自動車など、電気を使うものすべてが IP を実装し、ネットワーク経由で会話するようになるという。これは、良く耳にする「IP on Everything」(すべてのものに IP を)という動きだ(ウソじゃない。そのキャッチフレーズが書かれたT シャツだって売っている)。

ペースメーカーが IP 対応になり、インターネットにワイヤレス接続されるようになるのは必然だろう。なぜそうなるのだろう?  リモートからデータを取り出して分析したり、その分析に基づいて医師(もしくは自動化システム)がペースメーカーを調整するのが目的だ。ペースメーカーは、ノート PC や(ゆくゆくは)電球などと同じように私たちの身近な存在となり、インターネット上に言わば「市民権」を確立していく。

そうなれば、ペースメーカーも飛躍的に安全性が高まるだろう。通信は暗号化され、コンソールへのアクセスはパスワードで保護される。さらに、これらのパスワードも厳重に保管される、といった具合だ。

まあ当然だろう。だが、ここ何年も繰り返されたように、厳重に保護されたデータでも悪人の手に落ちる可能性はある。そして、もしパスワードが漏れ、悪意を持つハッカーが世界中のペースメーカーを自由にできるようになったら冗談では済まなくなる。それだけは絶対に考えたくない。



American Journal of Psychiatry
の最新号をみると、「インターネット中毒」が DSM に記載されても仕方ないと思わせるような疾患症例が紹介されている。DSM というのは、公に作成された人類社会を悩ます病気や症候群の解説書である「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」(精神疾患の分類と診断の手引)の略である。精神的な疾患で保険が適用されるためには、その疾患がこの DSM に記載されていなければならない。

だから? 

インターネット中毒は大きく3つに分けられる。ゲームのやり過ぎ、インターネットの基本操作(と、ここでは言っておく)への過度な没頭、そして電子メールや文書入力のやり過ぎだ。これらはさらに、それぞれに、禁断症状、操作の長時間化、(人間関係が悪化したり、使用時間についてウソをつき始めるなど)良くない行動の助長という3つの要素を持っている。

インターネット中毒の調査は韓国(ネットカフェで心肺疾患による死亡事故が10件発生している)が先頭に立って進めている。2006年の時点で、このような状態にある子どもは21万人いると予測されている。そして、このうち80%は向精神薬の投与が必要だとされている。韓国では、PC を取り上げて健康に良い運動を奨励する特殊なキャンプまで実施してこの問題に取り組んでいる。

しかし、インターネット中毒はテレビ中毒(驚くべきことに、TV中毒というのも以前はあったのだ)と同じくらい治療は困難であろう。その欲望を満たすのに必要な機器がいたるところにあり、 それを使わせようとする社会的圧力も測り知れない。したがって、もし本当に問題があるとしても、それに対して何か有意義な対応ができるのかという疑問が出てくる。つまらないとしても、必然的な現代社会の一面として(テレビ中毒を受け入れたように)あきらめて受け入れざるを得ないのかもしれない。だが、元気を出そうではないか。消費者向けの脳内刺激デバイスの登場で発生する問題などに比べれば何でもないことだ。「Apple iZap」が出たら欲しいだろう? 



何でもエコのトレンドを意識して、アクセンチュア・テクノロジー・ラボではここ最近「
Green Data Center Estimator」という構想を進めている(これは、この分野で進行中の構想の1つだ)。

だから? 

米国では、発電量全体の2%をデータセンターが消費している。つまり、これらは(以前からそうだったが)度を超えて重要な資源を消費しており、炭酸ガスの重大な(間接的ではあるが)排出源でもある。このような IT の「エコに対する認知度」が、コンピューティング資源に対する企業の見方に影響を与え始めている(もちろん、新しいデータセンターに対応できないほど都市の電力供給網に過負荷がかかっていることも影響している)。

Green Data Center Estimator は、「現状」のデータセンターの配置を将来に向けた(おそらくより良い)ものへと変えていくための構築や戦略の可視化についての補助となる、いわば意志決定支援ツールだ。電気料金、電力需要(コンピュータで必要となる電気量)、そしてパフォーマンス(ワットあたりのコンピューターの生産性)の全体を通じて最適化が行われる。(きれいに可視化された)その結果には、炭酸ガス放出予測や、想定しうるいくつかの工程パターン全体のコストと電力需要が表示される。これらの予測値は、実際に行われたデータセンターの配置転換事例に基づいており、すべきことだけでなく、その時期までアドバイスしてくれる。

Estimator は、アドバイスを行うことにより、各施設や事業部の経営効率改善のプランニングも支援できる。このような構想の1つが「仮想化」(基本的には、1つのマシンが複数のマシンの代わりになるようマシンを集約すること)だ。筆者は、もっと頑張って使用ソフトウェアに関するアドバイスもして欲しい、と提案してある(たとえば、「ソリティア」は Commander Steroid の「Pain Patrol」のような一人称シューティングゲームより必要な処理能力が大幅に低い)。これについては検討中だという。

筆者が言える範囲では、Estimator (現在ベータテスト中)は非常にタイムリーであるのはもちろん、実用的かつ強力な製品だ(この研究のスポンサーが自分の雇い主でなくても同じようにコメントできるのではと思う)。詳細については、Estimator のプロジェクトマネジャーである Serena Chengまでお問い合わせいただきたい。