エンターテイメント業界のお偉方たちがようやく状況を理解し始めているようだ。

「コンテンツの販売/制作各社が互換性を保証する際の基準にするための技術仕様を策定し、専用のロゴが付いたコンテンツやデバイスであれば相互にうまく再生可能であることを周知させることが狙い」だとAP が伝えるDigital Entertainment Content Ecosystem (DECE)という業界団体を一部のトップたちが設立したという。

AP は、この長年の問題をうまく解説している。きわめて簡潔に言うと、この問題は次のように考えることができる。1970年代にアルバムを1枚購入したとする。だが、そのアルバムはそれを販売したメーカーのレコードプレーヤでしか再生できない。もしこのようなことが起これば、せっかくのノリもさめてしまうというものだ。「Frampton Comes Alive!」のアルバムを自分の部屋の壁に貼ってある Farrah Fawcett のポスターめがけて投げつけてしまうほどショックだ。

AP は次のように解説している。


購入した CD や DVD はあらゆる機器や PC で再生できるはずだ。

だが、同じ曲や映画をオンラインで購入すると八方ふさがりになってしまう。Apple Inc.の iTunes で購入した曲は、通常は iPod などの Apple 製品上でしか再生できないし、Microsoft Corp.の Windows Media フォーマットでは販売される多くの映画は Windows 対応の PC やデバイスが必要だ。Microsoft を含む主要エンターテイメント/家電企業各社がこのような状況を変えようとしている。

... この業界団体の会長で、メンバー企業の1社であるソニー・ピクチャーズエンタテインメントの最高技術責任者(CTO)、 Mitch Singer 氏は、業界団体のメンバー各社は混乱を和らげることでデジタル市場が成長することを期待している、と語っている。

消費者は自分で購入したデジタル製品を、さまざまなメーカーが製造する携帯電話、セットトップボックス、コンピュータなどの各種デバイス上で利用できるようになる。仮想ロッカーが離れた場所にこれらのデジタル製品を保管し、システムが DVD のような物理メディアへの一部複製を許可する。


これが成果をあげるにはまだ時間がかかりそうで、場合によっては2010年までずれ込む可能性もある。また、筆者はこの「仮想ロッカー」という名前がいまいち(高校の体育館にあった臭いロッカーを思い出す)だと思っている。だが、業界団体を設立し、技術仕様を策定することは、筆者も含め、デジタルメディアの公平な利用を信じる人々にとって間違いなく正しい方向性だ。
 

就職志望者を雇わない方法 (2008年09月18日)


Datamation の同僚である James Maguire が9月16日に素晴らしい記事を書き、「IT 関連職に就かない方法」についての10のヒントを紹介している。求職活動に関する古いアドバイスにうまいひねりをきかせている。

また、筆者はこの記事を読んで逆の立場のことも考えさせられた。わずか数千人の IT 専門家が日常的に求職活動をしている一方で、数千もの組織が必死に求人活動を展開しているのだ。実際のところ、優秀な技術者を集める(そして引き留める)ことがこれまでになく重要になっているにもかかわらず、多くの組織が重大なミスを犯して話をまとめられずにいるのだ。そこで、筆者が考える IT 就職志望者を雇わないための10のヒントを以下に紹介する(一部は筆者の個人的な経験に基づいている)。

1. 職務内容を絶対に明らかにしないこと。これにはいろいろな方法がある。以下に模範的な説明方法を紹介する。
「広く浅くできる人を必要としています」
「今ここで少し説明しても良いですが、社内は動きが速いのでどうなるかは分かりません」
「とりあえず入社してもらってから考えましょう」
2. おとり商法。自分が希望する職種の話をするために来ている応募者に空きのある別の職種の話をする。もちろん、応募者が面接を受けに来た目的の職種より条件の悪いものだ。これは、筆者が経験したことだ。

3. 前任者を中傷する。 これでは、いつか自分も中傷されるであろうことが応募者に伝わってしまう。

4. 事前に決めた面接の時間から応募者を30分以上待たせる。 これにより、担当者がだらしないか、無礼か、あるいはその職種の優先度を低く考えているかが応募者に確実に分かる。

5. 面接中に飲食する。 これも筆者が約10年前に Computerworld の会場で経験した(担当者たちの名前だって覚えている)。メニューは具だくさんのサンドウィッチで、においがあって(ツナが効果的だ)、口を開けて話せばベストだ。

6. 応募者の履歴書に初めて目を通したことを面接中に確実に伝える。
自分との面接を心待ちにしていたのではなく、どこの馬の骨か分からない人物と話をしているように感じさせることほど志望者の熱意を失わせるものはない。ただ、上の5番目は論外だが。

7. 面接中に個人的な電話に応対する。 時間が長ければ長いほど、そして話の内容がつまらなければつまらないほど良い。また、必ず応募者に背を向けること。これも筆者の個人的な経験だ。

8. 人事担当者だけに面接をさせる。
説明は不要だろう。

9. 手当に関して絶対に融通を利かせないこと。
もちろん、一部の企業や組織は休暇や在宅勤務などについて応募者と交渉してくる。とにかくノーと言えばパンドラの箱を開けずにすむ。決めぜりふを紹介しよう。当初6か月あるいは1年間は無休だ、と言うのだ。これは新聞業界では基本であり、IT の世界にも容易に採用できる。

10. 会社の経営状態や市場戦略についてはぐらかす。
好奇心の強い求職者でも、すべてを知る必要はないということだ。それに、未来を予測できるわけでもない。

あなたの組織が最も優秀な IT 専門家を雇わないようにするために、このガイドが役立つことを願っている。


この見出しはRod McKuenの詩を引用した(McKuen は活発な活動を展開しているが厳しい非難も浴びている詩人だ。でも、彼の詩のいくつかが筆者の頭から離れないのはなぜだろう? ここで彼の作品を振り返ってみたいと思う)。

とにかく、筆者がこの詩を思い出したのは、Tim Berners-Lee 卿と同氏の最新のアイデアについてSlashdot.orgで読んだときのことだ。


新しい World Wide Web (WWW) Foundation を提案するにあたり、Tim Berners-Lee 卿はネット上の真偽を切り分けるのに役立つ格付けシステムも要求した。Berners-Lee 卿は、「ウェブ上ではカルト集団の考え方がかなり急速に広まってしまう可能性がある。いったん信頼性の高い情報源であることが証明されたウェブサイトに対して信頼性を示す認定を与える新しいシステムが必要だ」と述べた。


Berners-Lee 卿の提案に対し、Slashdot に膨大な数のコメントが寄せられた。Tim 卿に悪気はないはずだが、このアイデアはお粗末だ。 この国は現在あまりにも分極化されており、このようなことを始めたら時間がいくらあっても足りない。それに、だれがその判断を下すというのだろうか? 

このような格付けシステムを導入しようとすれば、たちの悪い主張が飛び交い、Wikipedia の編集戦争など南オセティアの小ぜり合い程度にしか思えなくなる。

筆者は、以下の熱烈な(そして面白い) Slashdot への投函者に同意する。言うだけ言わせておいて、編集作業を入れたくなる衝動は抑えておこう。


自分にはこれは「真実願望戦争勃発」に思える。

Usenet や Slashdot への書き込み戦争や、Wikipedia の編集戦争など忘れていい。これはとてつもないことだ。「真実願望戦争」の終戦から何年経過しても、インターネットには放射線を浴びた大量のウェブサイトの残がいによって暗闇でかすかに光る戦禍の跡が残ることだろう。

そして、この騒動から数十年経過しても、生存者や退役軍人の間では恐ろしく、ショッキングな戦争の話が語り継がれていくだろう。...

ヴァティカンのウェブマスターが Jack Chick (chick.com)を格付けしたのは覚えているだろうか? 
Disney も Warner Brothers を格付けしただろう? 
そして、Fox News は Barack Obama のウェブサイトを格付けしただろう? 
しかも、Theo de Raadt 氏が Linus Torvalds 氏を格付けしたのはどうだろう? そして、Linus も反撃しただろう? 
さらに、... ちょっと待てよ... RMS や FSF は Microsoft を格付けしただろう? まさに、これこそ本当の真実願望戦争だ。実際、これら一連の戦いの原点だ。このときは、恥ずべき0%の真実度という格付けをされた相当数のウェブサイトが閉鎖された。ひどいことだが仕方なかった。

さて、これが悪いアイデアだと思われる方はいるだろうか、それとも、そう思うのは筆者だけなのだろうか? 

さて、ここに証拠を示しておく。筆者が Slashdot に投稿したものは一切信じないことである。
 



AP は先ごろ、製品が問題を抱えてもApple ファンが忍耐強く忠実な理由を詳しく調査した記事を公開した。 

この記事は、外部のソフトウェアプログラマーが Apple を巡って抱える問題もカバーしていた。


新型 iPhone は、同社とソフトウェアプログラマーとの関係に重要な変化をもたらした。最初の iPhone では社外のプログラマーが同デバイス用の合法ソフトウェアを書くことはできなかったが、ハッカーは構わず開発を行った。そこで Apple は、3G では方針を転換し、iPhone 用のアプリケーションを開発し、それを iTunes で販売するためのツールを社外プログラマーに提供した。


しかし、開発者も Apple の秘密主義や設計できるプログラムに対する制限に腹を立てた。掲載を拒否されるアプリケーションがあったり、まれに警告も説明もなく iTunes ストアから削除される場合もあるなど、Apple は開発者に情報を与えなかったのだ。


筆者が気に入ったのは以下の部分だ。


ミネソタ州ミネアポリスにある小規模モバイルソフトウェアベンダーの DoApp によると、同社が99セントで販売する「ブーブークッション」アプリケーションを Apple が審査し、最終的に却下するまでに2か月を要したという。DoApp の戦略担当バイスプレジデントである Wade Beavers 氏によると、Apple は生体の機能をまねるプログラムが不適切とみなされるとの見解を全く示していなかった。


まず第一に、Apple がブーブークッションを却下したニュースは必ず世界中の12歳の少年たちの期待を裏切ることになるだろうが、筆者は Apple が審査に2か月を要した事実の方にショックを受けた。筆者は、このアプリが山積みのソフトウェアの一番下に置かれていて、実際の作業時間には約5秒しかかからなかったと思うが、真相はだれにも分からない。


インクまみれのみじめな人間(ジャーナリストのことである)を21年以上演じ続けてきた筆者は、確実に自分の職業の変化を目の当たりにした。

その変化は、1996年に新聞社を退社し、カリフォルニア州サンフランシスコで CMP の NetGuide Live でインターネットブームに乗った筆者の目の前で始まった。それらの大半は、さまざまな形でジャーナリズムに革命を起こした。だが、なかには恐ろしいほどの悪変もあった(全容は筆者の次作にすべて書く)。

筆者は、Datamation.comにあった Mike Elgan の「How the Blogosphere Killed the Press Conference」(ブロゴスフィアによって台無しにされたプレスカンファレンス)というコラムを読み終わってこのことを思い出した。インターネット(トゥイッターの世界であるトゥイットスフィアも含む)は、 部屋に集まった報道陣に対して行う情報発表を過去のものにしたという。

彼のコラムを読んだ筆者は、Elgan の説明に関連した苛立たしい経験を思い出した。筆者のIntranet Journalサイトは2008年はじめ、独自に年間優秀製品を発表した。この受賞製品の発表に向けて念入りに調査を進めていた筆者は、ノミネート対象になっていた流行の新興企業のサイトを訪問した。筆者は同社を調査し、製品の発売日などを見つける必要があった。これは伝統的な手法だ。そして、インターネットの素晴らしいことの1つだが、 プレスリリースなどの各種会社情報には簡単にアクセスすることができる。

さて、過去12年間にわたりあらゆるサイトを訪問してきた筆者には、どんな小細工をして変な(でも、極めてかっこいい) Web の中にプレスリリースを隠しても、それを探し出すことができる。しかし、この新興企業では、1時間以上かけてあらゆるリンクをクリックしたり、知恵を絞ってみても、全くリリースを見つけることができなかった。

そこで筆者は、同社に連絡してその場所を尋ねた。すると、「われわれはプレスリリースを発表してません。ブログで公表するだけです」というのだ。

筆者は大きなショックを受けた。これこそ、Elgan のコラムに関して話したい内容なのだ。企業、特にパブリシティーを求める新興企業は、マスコミ、顧客、アナリスト、ベンチャー事業投資家などが、製品を簡単に知ることができるようにする必要がある。新興企業は、だらだらと長い気取ったブログの最後にプレスリリースを埋め込むようなことはすべきでない。

さて、筆者も自分のブログをだらだらと長いものにしないよう、これで終わりにしたい。そこで、これをお読みの新興企業のみなさんにお願いがある。Elgan のコラムをぜひお読みいただき、この最新のプレスリリースのトレンドを追わないようにされたい。