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1票の重みが消えるかも (2008年01月31日)


大統領予備選のスーパーチューズデーが迫るなか、MIT の Technology Review が、電子投票機が依然として信頼できないとするタイムリーな 記事 を公開した。

陰謀話の好きな読者は驚くだろうが、この記事によると、その最大の原因はセキュリティではなくユーザビリティなのだという。
メリーランド大学 Human-Computer Interaction Lab の Ben Bederson 助教授は、数社のベンダーが用意した電子投票マシンを5年がかりで調査したチームに参加していた。

Bederson 助教授は、「セキュリティは重要だが、それは投票機のなかで不具合が発生しないことが分かった個所の1つだった。しかし、ユーザビリティを中心に、ほかの多くの部分では大きな問題が発生した」と話す。


メリーランド大学による調査の参加者は、整頓されたタッチスクリーンに候補者が明確に表示された電子投票マシンを使い、模擬選挙で特定の候補者に投票するよう指示された。ところが、簡素化された投票画面でも、参加者の約3%は誤ってほかの候補者に投票してしまった。

さらに悪いことに、1人の候補者に投票した後、画面上で別の候補者に投票しなおすよう指示されると、参加者が間違いを犯す割合が一部のマシンでは最高15%に達した。

過去2回の大統領選挙はかなりの接戦で、電子投票マシンに脆弱性があるとする多数の報道もあり、複数の州では投票結果を巡って激しい議論が起こった。民主主義の基盤原則の1つである1票の重みを土台から揺るがす受け入れがたい問題である。(学術研究者以外の)だれかが対策に乗り出すのに十分な動機になったのではないだろうか。

AT&T の本当の罪:粗悪な番組 (2008年01月30日)


深刻な話題を取り扱った怪しいビデオがサイバースペースで流通している。AT&T や ISP 各社 のせいでインターネットユーザーのプライバシーが消滅に向かう可能性があるというものだ。

BoingBoing という人気の高い Web サイトで各種家電製品に関するブログを執筆する Joel Johnson 氏が、「ガジェット」について語るために AT&T の Tech Channel で配信中のインターネットトーク番組、「The Hugh Thompson Show」に出演した。

ところが、Johnson 氏にはほかに考えがあった。Thompson 氏の積極的な最初の質問(「聞いておきたかったのですが、ガジェットに関する考え方が違うようですね? 」)を丁重に無視すると、Johnson 氏は一気に番組をひっくり返した。
「最初にわたしに質問させてください。先週の AT&T の発表についてどう思いましたか」


次の流れを察知した Thompson 氏は、そこで一瞬前かがみになった。また、ビデオクルーからも不満の声が聞こえる。
「あのインターネットにフィルタをかけるという計画についてです。」


これで Thompson 氏は明らかにうろたえ、(サタデーナイトライブで Rob Schneider 演じるコピーマンのようなすっとんきょうな声で)「ああ、インターネットフィルタリングですね」と答えた。

その後2分間、Johnson 氏は司会に気まずい思いをさせ続けたが、撮影はそこで突然終了した。YouTube などで公開されている 撮影の様子 は、Johnson 氏の友人がスタジオに持ち込んだビデオカメラで撮影したものだ。

一部にとってはちょっとした挑戦的行為にしか思えないが、フィルタのかかっていないインターネットのおかげで、Johnson 氏の企業に対する反抗行為は「バイラルイベント」へと変容し、重要な問題に対する国民の意識を高めつつある。

一方で、これは The Hugh Thompson Show に対する国民の認知度も高めたかもしれない。元ネットワークセキュリティコンサルタントで、会話で必ず「おたく」を呼称に使うよう指示されているとしか思えない永遠のオタクが司会を務める番組の制作に資金を投じられるほど AT&T は業績がよいのだろうか? この番組は本格的なスタジオでライブ収録されており、生バンドもいれば、100人ほどの見学者もいる。結構なお金が使われているのだ。

株主はこのことを知っているのだろうか? どうすれば筆者もおこぼれに預かれるのだろうか? 


ご存じない方のためにお教えすると、Washington Post 紙が週末に困った 記事 を掲載した。
Bush 大統領は1月、連邦機関のコンピュータシステムに対する攻撃の増加に対応すべく、各情報機関によるインターネットのトラフィック監視任務を拡大する大統領令に署名した。

内容は機密となっているが、 この大統領令の内容は、情報機関、具体的には NSA (米国家安全保障局)に対して全連邦機関のコンピュータネットワークの監視許可を与えるものとなっている。そのなかには、これまで監視対象となっていなかった連邦機関も含まれている。


このように、ここに政府によるインターネットの監視に関する「機密」大統領令(つまり、秘密の法律である)があるにもかかわらず、われわれには 「このプログラムの情報を持った議員補佐官とホワイトハウスの元関係者」が Post 紙に明かすことにした内容しか分からないのだ。そうなると、ほかにも秘密の監視法が制定されているのではとの疑問が生じてくる。

幸いにも米国人は、完全なジョージ・オーウェルの世界が訪れる前に、経理処理のミス、予算の制約、技術の混乱、 そしてありきたりのミスが全能の政府の土台を揺るがす可能性が常にあることを、New York Times 紙の ブログ こちら の両方によって思い知らされた。


筆者は、サイバー破壊行為などの危害を加える各種ハッカー行為を絶対に支持しない。それはそれとして、先ごろ流出したサイエントロジーの会員募集ビデオのなかの Tom Cruise の過激で一風変わった押しの強いパフォーマンスを見たことのある方は これを カルマだと言うのかもしれない。

サイエントロジー(Church of Scientology)のビデオが YouTube に掲載されたことを同団体が著作権侵害だと主張したことを受け、自らを「Anonymous」と名乗るグループが強烈な攻撃を仕掛けてきた。

人の精神世界における唯一のエキスパートはサイエントロジストだけだ、と Tom Cruise が一部で公言するこのビデオは、著作権で保護された素材のインターネット掲載防止活動の一環として、サイエントロジーの要請を受けた YouTube が週末に削除した。


Robert Vamosi 氏による CNET News.com のセキュリティブログによると、この Anonymous たちはさらに、サイエントロジー各支部サイトを汚損したり、一部サイトには DoS (Denial of Service)攻撃まで仕掛けたり、世界中のサイエントロジー支部に「へのへのもへじ」を落書きしたという(最後はウソだが、Anonymous もこのようなことを遅かれ早かれやってくるだろう)。

ショービジネスの才能を見せる Anonymous は、YouTube に自作の ビデオ まで掲載して堅い誓いを立てた。
「おまえたちをインターネットから追放し、サイエントロジーの現在の形を組織的に破壊していくであろう。」


明らかに、そのためには「へのへのもへじ」よりも核ミサイルのような威力が欲しい。一方、9分に及ぶ Tom Cruise のビデオをご覧になったことがないなら、ネットをちょっと探せばすぐ見つかるはずだ。ただし、これを見る前に子どもは部屋の外に出すようお勧めする。ちょっと怖い、と筆者は思う。


われわれの一連の IT 管理者向けサイトのなかに、 セマンティック (Web3.0)技術の商用分野における進展と応用を記録にとどめるべく2006年に立ち上げられた SemanticWeb.com というサイトがある。

セマンテックウェブ技術について読んでいると、欧州の方がこれに本気で取り組んでいることがすぐに分かる。少なくとも、その研究に投じられる金額を見る限りではそう感じる。

SemanticWeb のこちらの 記事 をご覧いただきたい。
英国放送大学知識メディア研究所副所長の John Domingue 博士は、「欧州では、米国より多くの資金がセマンテックウェブに投じられている。米国の研究者からは、2〜3年前から状況は変わっていない、という話が常に聞かれる」と語る。


具体的な数字は見えにくいが、この記事は、米国政府がセマンテックウェブに毎年わずか1000万〜1500万ドルしか投じていないのに対し、欧州連合単体でもセマンテックウェブの研究に毎年5000万ユーロを投じていることを示している。

また、この資金の内訳は以下のようになっている。
米国の研究者、Mark Greaves 博士は、欧州と米国は[セマンティック技術の]2つの異なる分野に焦点を当てている、と指摘する。

「米国側はデータベースの研究を進めている。わたしが研究をしている欧州側は、社会と Web の研究に力を入れて、それは、どちらかと言えば Web スケールの問題であり、ソーシャルネットワークの活用であって、ダイナミックかつ不完全なオントロジー対、米国で人気の高い、一元化が進んで管理の行き届いたオントロジーの構図となっている」


より多くの研究資金が投じられ、今後有望なツールやネットワークを一段と幅広く探究する欧州の方が、セマンテックウェブの商用化によるメリットを得るのに米国よりも良い位置に付けているようだ。