インターネット中毒などない、と思うふりをするのはそろそろ愚かに思えてきた。コンピュータや携帯端末に極めて長時間ログオンしたままの人がいて、それが有害で、生活に悪影響を与えることは周知の事実だ。

もちろん、自分たちは決してそのようなことをしない。自分たちが連続何時間もネットを使うのは、お気に入りのWeb サイトを(何度も何度も)訪問したり、(その9割はスパムである)電子メールをチェックしたり、(更新頻度がどんどん少なくなる)好きなブログをチェックしたり、(間違いなく何も書くことはないのに)自分たち自身のブログを更新するといった重要な作業だけが目的だ。 

問題は、インターネット中毒は存在するという一般的所見を述べるのは簡単だということだ。これを定義する方ははるかに難しい。しかし、American Journal of Psychiatry がこれに積極的に取り組んでいる。Ottawa Citizen には以下のようにある。


電子メール・テキストメッセージング強迫神経症は、もうすぐ正式に脳疾患に分類される可能性がある。


American Journal of Psychiatry3月号の論説によると、「ゲームの過剰プレー、性的執着、電子メール/テキストメッセージング」を含むインターネット中毒は、精神医学会の精神障害公式ガイドブックへの追加が必要な一般的脅迫・衝動疾患の1つだという。
オレゴン健康科学大学ポートランド校の精神科医、Jerald Block 博士によると、ほかの中毒疾患と同様に、インターネットのユーザーは強い欲求、強い衝動、禁断症状、環境耐性、さらに優れた多くの機器やソフトウェアに対する欲求、ネット接続時間の増加などの症状を経験するという。

Block 博士は、精神医学会が精神障害を正式にまとめている Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSMMD:精神疾患の分類と診断の手引)に「インターネット中毒」を組み入れるようロビー活動を展開している。DSMMD の最新版は2012年にリリースされる予定だが、一般からコメントを集める目的のドラフトは2009年に公開される。

筆者はこの一連の問題を何度も取り上げた。この書き込みの先頭でも書いたように、何らかの形でインターネット「中毒」になってる人がいることを否定するのは無駄な主張だ。しかし、これを詳しく見ていった場合、それをどう定義すればよいのだろうか?  たとえば、筆者は情報狂だ。インターネットが普及する前は、新聞を読むことから毎日が始まっていた。たまにそれができない日があると、何か物足りなさを感じていた。筆者が新聞を読む習慣は「中毒」なのだろうか? これを読めないときの筆者は「禁断症状」を起こしていたのだろうか? 

また、インターネットで使う目的から、さらに優れた機器やソフトウェアを次々に要求するのも中毒の一種だという Block 博士の主張はどうだろう? 実際のところ、これは高いパフォーマンスを求めているだけではないのだろうか? (もしそうでないなら、ダイヤルアップが中毒症状への入り口だったのか? )

「時間を忘れたり、食事や睡眠(あるいは家族や仕事)といった『基本的活動』を怠る」人を見ると Block 博士に同意する。これは確かに良いことではない。しかし、睡眠のパターンを害するまでネットサーフィンで夜更かしをしたことのない人などいるだろうか? このような行動が健康に害を及ぼす、あるいは中毒になる線引きはどこなのだろうか? そして、話題はもうインターネット中毒の規模に移っているのだろうか? 

DSMMD の正式出版が2012年以降であるのは以下の2つの理由からうれしい限りだ。

1)この問題が意見の一致を見るにはまだかなりの時間がかかる。
2)この活発な国民的議論は間違いなく中毒になりそうだ。





電子メールの「送信」ボタンを押してから、恐ろしいことに、その個人、グループ、あるいは社内全体が違う相手だったことに気付いた経験のない方は手を挙げていただきたい。あまり手は上がらないと思うがどうだろう。

これは電子メール時代の呪いの1つだ。正しい手順は知っているはずだ。でも、電子メールを友人の Jim Johnson に送信しようとしたところ、電子メールプログラムが Jim 以降のアドレスを自動入力してしまい、それに気付かないで送信してしまう。別の Jim がこの電子メールを受信すると、そこには「彼は孤独で寂しいんだよ」(これは筆者が実際に間違って送ったことのある内容だ)と書かれていて、オフィスの雰囲気が一気に悪くなるという具合だ。

Datamation.com の Eric Spiegel は、このような恥ずかしい筋書きについて、「 職場における電子メールを巡る10の不平の種 」という3月24日付けの記事のなかで警告している。彼はどのような誤送信電子メールに触れているのだろうか?  「怠慢がまかり通るなんて素晴らしいな」というのも一例だ。

筆者は通信員たちから多くの記事を受け取るので、「記事1」のような件名は大嫌いだ。Spiegel が書いている一覧で筆者が気に入ったのは次のようなものだ。

  1. 不明瞭な件名 -- われわれの多くは受信箱にメールがあふれており、着信時はもちろんのこと、同日中に電子メールを1つずつ開いている時間はない。Ipsos-Reid が IT マネジャーを対象に実施した調査(Blackberry のメーカーである RIM がスポンサー)では、彼らが1日平均48通の電子メールを受信し、その39%が重要に分類されることが分かった。このようにコンスタントにメールが送信される状況では、「データセンター」という件名よりも「データセンターの水道管が破裂 -- 要支援!」という件名のある電子メールの方を先に開く可能性が高い。特に、早急な対応が必要な場合は参考になる件名を付けることだ。

Spiegel は不平の種の数を11にしておくべきだった。彼は記事の最後で、注意しないと大打撃を被る状況をもう1つ加えているからだ。

実際、筆者も先ごろ、特に害はないように見える電子メールを顧客に転送したときに、もっと恥ずかしくダメージの大きいミスを犯した。その後気付いたのだが、長い引用部分の最後に、まさにそのクライアントを巡って行われた社内のあからさまな口論が含まれていたことに気付いたのだ。転送するときは、引用部分も必ずすべてチェックしないと嫌な思いをすることになる。


技術と無縁のハッキング (2008年03月24日)


復活祭を控えた聖なる金曜日は、自称クリスチャンのハッカーによるハッキング関連本について書くのにちょうど良いタイミングだと思う。

「No Tech Hacking」(技術いらずのハッキング)という同書は、プロのハッカーでセキュリティコンサルタント兼ライターの Johnny Long 氏の著書だ。同氏は大勢の専門分野の投稿者から正式な形で多くの支援を受け、「アフリカの HIV / AIDS の流行によって取り残された子どもたちに食料、教育、および医療を提供する団体」である AOET に同書の売り上げを寄付している。

内容の多くは奇抜でも驚くようなものでもないが、Long 氏の楽しい書き方が、同書を面白く一気に読破できてしまう本にしている。同氏は、たぶん最も普及したハッキングテクニックであるソーシャルエンジニアリング(だまされやすい人をだます手法)、由緒ある(不快とも言う)ダンプスターダイビング(読んで字のごとくごみ箱をあさること)、そしてショルダーサーフィン(こちらも読んで字のごとく他人の肩越しに情報を盗み見ること)をはじめ、おなじみの分野を多数カバーしている。

カギをこじ開けたり、 赤外線監視センサをすり抜ける方法を解説する「物理的セキュリティー」に関する章はさらに興味深く、もう1つ、Long 氏が以前に丸ごと1冊本を書いたことのある「Google ハッキング」に関する章も面白い。Long 氏も指摘するように、この章は正確には「技術いらず」の内容ではなく、Google を使って「医療、金融、私有、そして機密の情報まで」を検索する方法を解説している。

Long 氏によると、同書の目的はブラックハッカーに新しい武器を与えることではなく、ネットワークやデータを危険にさらす可能性のある多くの脅威に対する認知度を企業や消費者の間で高めることだという。連動する参照用の Web サイトが こちら にある。同書の出版元は Syngress

 


Appleを丸裸にする (2008年03月22日)


Apple 関連情報を読み足りない方には、最新版の Wired が絶対に必須だ(適度に必須なものなどないだろうからちょっと余計だったかもしれない。しかし、筆者は1単語いくらの歩合制なので、これもまあいいだろう。実際、本当のことだし、大文字を使うと金額が2倍になる!)。

How Apple Got Everything Right By Doing Everything Wrong」(すべて間違っているのにすべてうまくいく Apple)というこのメイン記事は、間違った行動ばかり取っている Apple ですべてがうまくいく理由を詳細に説明している。3500単語もある記事なので、経済的な理由だけでも筆者が書きたい記事だった。

だが、筆者にとってもっと興味深かったのは、2つの補足記事の方だった。最初の Breaking The Rules: Apple Succeeds By Defying 5 Core Valley Principles (おきて破り:シリコンバレーの五大原則を無視して成功を収める Apple)によると、Apple が成功するのは...(ここでいい加減やめておく。筆者は同じネタは繰り返さない)。Wired によると 、Apple が破っているおきては次の5つだ。
1. オープンなプラットフォームの採用。
2. 外部とのコミュニケーション。
3. 市場リーダーとしての地位を悪用しない。
4. 顧客を大切にする。
5. 買春ネットワークに1万ドル以上送金し、これを少額に分割するよう銀行に依頼しない(失礼、これはニューヨーク州知事向けのおきてだった)。

Management Techniques From the Dark Side」(ダークサイドの管理技術)という2番目の補足記事は、「反直観的で、一見疑わしげで、完全にあくどいのに実際にうまくいく管理テクニックの一覧」となっている、この一覧は長く、参加型となっており、それぞれのテクニックに読者が人気投票できるようになっているほか、自分で考えたものを公開することもできる。だが、この見出し記事が「Most Popular」ボックスで次のようなテキストと並んでいるのを見て筆者はすぐに興味を失ってしまった。
Blu-Ray Porn, Mechanized Masturbation and Upskirts at Japan’s First Sex Show (日本初のアダルト展示会を飾るブルーレイアダルトビデオと自動マスターベーション機とのぞき見)
Apple マニアもこれには飛びついたはずだ。



つい2年ほど前までは映画や音楽を(たいていは不法に) ダウンロードした人の間だけでこっそりと話題にされていた BitTorrent が、ついに太陽の下を歩き始めようとしている。 

名前を聞いたことのない方のために説明すると、BitTorrent はピアツーピア(PtoP)ネットワークを利用する人気の高いファイル共有手法で、P2P ネットワークに接続された多数の異なるコンピュータから巨大なファイルを少しずつダウンロードする。この方がファイルをはるかに短時間でダウンロードできるからだ。

 

最初に登場した Napster の時代に育ったわれわれにとって、BitTorrent を最初に使ったときは大発見をしたようだった。巨大な動画がかなりの速度でダウンロードできるようになった。多数の人々がネットワークにアップしている人気作品だと特にそうだ。「なぜもっと早く考え出さなかったのだろう」という技術の1つだ。

BitTorrent は、エンターテイメント業界に非常に大きな影響を与えるかもしれないタイプの技術だ。今のところはまだ大半の人が巨大な動画ファイルを自分のコンピュータにダウンロードするようになるにはまだ不便で複雑だ。Netflix から郵送で映画を借りる簡便性と比べると特にそうだ。映画のダウンロードをマニア以外にも魅力的なものにするには、BitTorrent のような技術を主流にする必要がある。

 

そして、その動きが CNET News.com reported 今起ころうとしている。

ノルウェーに続き、カナダの公共放送サービスが主要なゴールデンアワー番組の DRM フリーでの BitTorrent 配信の導入を進めている。

CBC は3月24日、 BitTorrent を使って 2008年の「Canada’s Next Great Prime Minister」の放送を配信する。これによりカナダは、人気の高い P2P ファイル共有技術を使ってゴールデンアワー番組の高品質 DRM フリー版をリリースする北米で最初の国となる。

この記事の後半には、デジタル著作権管理の興味深い未来も説明されている。

 

多数の TV 局が番組をオンラインで無償配信する実験を行っているが、そのなかで最も興味深いのが CBC による DRM フリー BitTorrent を使ったダウンロードだ。同番組のインタラクティブ担当プロデューサーの1人である Guinevere Orvis 氏は、これを選んだ理由の1つが、「この番組をできるだけ簡単に見られるようにし、好きなフォーマットでできるだけ多くのカナダ人に見せたい」という願望だったことを明かした。DRM に関して、同氏は「多くの放送局が認識していないようだが、わたしは DRM はもう死んだと思っている。消費者にとって悪いことは会社にとっても悪いことだ」と語っている。

 

著作権の神様で、オタワ州立大学法学部の Michael Geist 教授は、CBC の動きを称賛し 、自身のブログに「この展開は、カナダの公共放送が配信の新しい選択肢を実験することに次第に前向きになりつつあるからということだけでなく、カナダにおけるネットの中立問題を明確にする意味でも重要だ」と書いている。

 

ハリウッドや米国のテレビネットワーク各局が BitTorrent とデジタル著作権管理の事情を理解するかどうかお楽しみにされたい。