今、米国において急速に顧客集客をしているECサイトが存在する。
なんとわずか半年で300万人もの会員を集め、さらに急成長を続け
ているのである。このような事例は日本はおろか米国でも類を見ない
ものである。果たしてその源泉は何であろうか?
注目されているサイトの名称は、「ShopNow.com(
http://www.shopnow.com )」だ。
今年のはじめに同サイトは立
ち上がったばかりというから、更に驚きである。いわゆる米国では
「後発組み」のECサイトにもかかわらず、同サイトが顧客を集めてい
る要因は明確で「キックバック」をうまくインターネット上に取り入
れているからに他ならない。
「キックバック」と言えば何を思い浮かべるだろうか。
流通業界
では一般的に使われる言葉で、販促割戻金などと呼ばれることもあ
る。メーカー等が自社の商品を大量に売ってくれる小売店等に対し、
販売量に応じた奨励金のようなものを支給するのだが、要はそのこと
である。具体的に言えば、携帯電話の事例がもっともわかりやすいだ
ろう。
携帯電話自体は、部品価格を積み上げると店頭で販売されている価格
よりもはるかに高くなってしまう。
なぜ、出荷段階の原価よりも
安い価格で販売できるかと言うと、NTTドコモなどのキャリアが小売店
に対して端末販売台数に応じたキックバック(=販売奨励金)を支払
っているからである。これにより、秋葉原の量販店等では、このキッ
クバック収入を前提に顧客に対し、低価格、時には無料で携帯電話を
販売することが可能になるのである。これは、顧客側から見てもメリ
ットが大きいため、携帯電話が爆発的に普及してきた一つの要因だと
言える。要は、大幅ディスカウントで買い物をしているようなもので
ある。
このキックバックの仕組みを米ShopNow.com社はうまく自社のECサイ
ト上に取り入れている。
このサイトに訪れると、
「MyShopNow.com」という個人のサイトを立ち上げるように薦めてく
る。これは、簡単に言うと自分自身のお買い物サイトを立ち上げるこ
とが可能となるサービスである。そこに自分のお気に入りの商品群を
登録し、自分自身が立ち上げたサイトを経由して購入すれば、全商品
5%の割引を受けることが可能になるのだ。
詳しい仕組みについては、次回に説明を行うが、既に300万以上もの顧
客=個人のお買い物サイトが同社のサイトから派生して立ちあがって
おり、マーケターとしてものどから手がでるほど欲しい購買データが
着々と蓄えられているのである。
次回予告:5%キックバックが顧客集客の源泉−ShopNow.com−後編
筆者紹介:江見 淳(えみ・じゅん)(junemi@tkb.att.ne.jp)
インターネット事業開発支援会社であるイーソリューションズ取締
役。オートバイテルをはじめとする数々のEC企業のプロデュースを手
がける。現在、20数件のJV立ち上げを企画中。
元A.T.カーニー社東京支社シニア・マネージャー。IT・ECを活用した
戦略コンサルティングを専門とする。A.T.カーニー時代は、東京支社
のエレクトロニック・コマースグループのリーダーを務めた。主に、
情報通信・ネットワーク・EC革新をベースにした全社戦略立案、組織
デザイン、チャネル/ロジスティクス戦略立案を得意とする。数々の
ECビジネスモデルの構築に寄与してきた。更に、自身の研究テーマと
して、ネットワークの経済性の考え方を、全社戦略策定時の思考方法
や策定プロセスに取り込むための体系作り(コンバージェンス・ネッ
トワーキング)に取り組んだ。コンサルティング歴7年。主な著書に
「超成長企業を生むインフォミディアリ戦略」がある。
神戸大学理学部物理学科を卒業後、アンダーセン・コンサルティング
社ITグループ、上述のA.T.カーニー社を経て、現職に至る。