前編に引き続き今回も米ShopNow.com社について取り上げる。
マーケターにとって、のどから手が出るほど欲しい顧客の購買データ
を着々と蓄積している「MyShopNow.com」の仕組みについてである
が、どこに差別化ポイントがあるのだろうか?
最近では、検索エンジンサイトにおいて、「My Yahoo!」、「My
Excite」などが登場してきており、日本においてもリクルートが運営
する生活総合ポータルサイト「ISIZE」においても「My ISIZE」なる
ものが登場してきている。
これらの特徴は、個々人が必要な情報
を自分の好みに合わせて設定することが可能で、具体的に言うならば
好みのカテゴリーを選択してその内容を表示させることができる、い
わゆる自分オリジナルの情報収集サイトを作るようなものである。も
ちろん自分オリジナルのサイトを立ち上げるという意味では、米
ShopNow.comの仕組みもまったく同じといえる。
ただ、米ShopNow.comのサイトが、さきほど紹介したサイトと大きく
異なるのは、ECのコンセプトが組みこまれているからに他ならない。
個々人が、米ShopNow社のサイト上で自分オリジナル
「MyShopNow」を作成するところまでは同じである。その際に自分の好
みのカテゴリーを選択するのだが、そこで自分の「買いたい商品」の
カテゴリーを選択するのである。例えば「ファッション」カテゴリ
ー、もう少し特定したいならば「カルバンクライン」、更に「ジーン
ズ」等、商品を特定することも可能である。このようにして自分オリ
ジナルサイトを立ち上げるというよりは、自分オリジナルのEC店舗を
持っているような状況になるのである。米ShopNow社では、既に
20,000社ものコンテンツ提供者が提供する100万点もの商品を取り扱っ
ており、その中から好みのカテゴリー/商品の選択が可能である。
当サイト上に自分オリジナルのEC店舗をもつことによって個々人が得
られるメリットであるが、これがまさに「5%の割引」であり、更にも
う少し言うならば、友人・知人にメールを送付する等して、自分のサ
イトで商品を買ってもらうと購入金額の「5%がキックバック」される
のである。この仕組みによって、当サイトは現時点で爆発的に顧客が
増加しつづけているのである。
企業のマーケターにとっても、彼らのサイト上で購買情報として蓄積
されつつあるデータが非常に魅力的に映るようだ。
考えれば当然
といわれる話しであるが、個々人が所有しているサイト毎にどのよう
な商品が購入されているか、更にはどのような商品カテゴリーが選択
されていて購買ポテンシャルがあるのか、等のデータが全てそろって
いるのである。世の中に登場して久しい「ワントゥワン・マーケティ
ング」の実現が間近に迫っている。
次回予告:WEBマーケティングによる顧客囲い込みの実現
筆者紹介:江見 淳(えみ・じゅん)
インターネット事業開発支援会社であるイーソリューションズ取締
役。オートバイテルをはじめとする数々のEC企業のプロデュースを手
がける。現在、20数件のJV立ち上げを企画中。
元A.T.カーニー社東京支社シニア・マネージャー。IT・ECを活用した
戦略コンサルティングを専門とする。A.T.カーニー時代は、東京支社
のエレクトロニック・コマースグループのリーダーを務めた。主に、
情報通信・ネットワーク・EC革新をベースにした全社戦略立案、組織
デザイン、チャネル/ロジスティクス戦略立案を得意とする。数々の
ECビジネスモデルの構築に寄与してきた。更に、自身の研究テーマと
して、ネットワークの経済性の考え方を、全社戦略策定時の思考方法
や策定プロセスに取り込むための体系作り(コンバージェンス・ネッ
トワーキング)に取り組んだ。コンサルティング歴7年。主な著書に
「超成長企業を生むインフォミディアリ戦略」がある。
神戸大学理学部物理学科を卒業後、アンダーセン・コンサルティング
社ITグループ、上述のA.T.カーニー社を経て、現職に至る。