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2000年12月25日 00:00

[IW2000]ビジネスを加速させるデザイン:ビジネスアーキテクツ -(2)

では、ユーザーにとって都合の良いサイトとはどういうものか?ということですが、 アクセシビリティ、 ユーザビリティが良いことは当然です。企業にとって都合の良さは、 高度なスケーラビリティを持ったものや限りなく個人情報が入ってくるようなものが良いサイトでしょう。 両者にとって良いサイトで言えば、更新が容易な仕組みを持ったものはユーザーにとって常に新しい情報が入ってくる 状態を実現しますし、オンリーワンのビジネスモデルとして成長していけるかどうか、 他社よりも価値があるビジネスであるかどうかといったパテンタビリティの高いものは、 それが実装されれば自然とユーザー側からの価値は高まります。 そういったモノが全てバランス良く織り込まれているものが良いサイトの条件として挙げられると思います。

ユーザーにとっては企業側の都合はどうでもいいわけです。ユーザビリティが良くて使いやすく、 常に何か楽しませてくれるようなサイトを待ち望んでいるわけですから営利を中心とした企業側とは 全く都合のベクトルの方向が違います。だから企業側とユーザー側の方向性を完全に合体させなければ、 企業にもユーザーにも、また、社会にとっても必要とされるサイトを形成することは出来ないと思います。

では、こういったサイトを形成するために何が必要か、何が重要かということを考えた時に、 Webの持つインタラクティブ性、お客さんから随時フィードバックがもらえるというネットの特徴を活かすことが、 企業、ユーザー両方にとって大変重要だということは容易に理解して頂けると思います。

それは、決して、企業側の都合を出すなということではありません。むしろ、企業側の都合は積極的に出していくべき ですが、企業の都合を出した時にそれがユーザーにとって本当に価値があるものかどうかを検討し構築し直して インターフェイスを組替えることが重要です。そういったインターフェイスの構築方法はインタラクティブで レスポンシヴなハイパーメディアの特性を極力活用しようとすれば自然と見えてくるものだと思います。つまり、 価値を見える形にする部分がカギだということです。

ユーザーの都合を優先させていくと何が起こるかというと、ユーザーの中に「このサイトはいいな」という ロイヤリティが出来てきます。それをコントロールしていくことが、 ブランディング形成にも大きく影響していきます。ブランディングとは決して全てを表しているのではなく、 「ただ他と違う」といった認識以上に力を発揮しますが、これからはブランディングの上に更に意味のあるユーザビリ ティを与えて、リライアビリティ、つまり信頼を積み重ねていくことが必要です。

◆だれもが一人のユーザー

これまでは、企業側とユーザーという2項対立でお話しをしてきましたが、実際のところ企業側の人間も家に 帰ればユーザーなんです。デザイナーもそう、システムの開発者もそう、 インターネットで自分の仕事以外のサイトを見ている時は一人のユーザーのはずです。大事なことは、 ユーザーに戻った時に自分がどう感じたかという気持ちを忘れないことです。 インターネットビジネスに関わる人は、本当に「憂鬱」になるくらいユーザーになれない方が多い。一旦、 ユーザーとして自分の作ったものを見て、使ってごらんなさいよ!と言いたい。 そうやって自分の内側の欲求に正直に入れる人が少なすぎると思います。

例えば、ネット上で買い物をするのに生年月日とかネットの利用状況など、ありとあらゆる個人情報を入力させられる 事がありますが、こういったことは普通の店でいえば物を買う際に個人証明書を見せなさいと言っているのと同じはな いでしょうか。ユーザーからすれば、必要な情報を必要な時にだけ問われれば、 はいはいと答えられるのに、なぜ全部入力する必要があるのか、 どうしても腑に落ちない部分があったりしたこと、ありませんか。 オンラインのサービスといっても日常の生活レベルでのサービスと変わりません。 そういった無茶をせず細かい心使いを持って接していかないと、必ずユーザーにはフラストレーションが残り、 それがどんどん溜まってしまうと最初に申し上げたように、 買おうと思ったけど途中で辞めてしまうという行動に帰結してしまうわけです。

インターネットの持つインタラクティブな特性、ユーザーに意見を聞きながら作っていくという特性を認識すること、 それから、今までの新聞や放送といったメディアとの違いを比較し、 インターネットでしか出来ないことに焦点を当ててサービスを提供することが重要です。また、 サーバー上にあるものはただのデータに過ぎません。ユーザーがサイトにアクセスした時に、 非常に役に立ち、価値があるもので、何度も利用しようと思った時にはじめてインターネットは メディアになるのではないでしょうか。インターネットは環境であり、 そこに特化したサービスを提供することで初めてメディアになるのです。 メディア化していくサービスを戦略の一環として考え、その戦略をチェックし、 それがちゃんと受けているのかどうか検証していくことが大切なのではないでしょうか。

◆良いWeb屋の選び方

それから、サイトの見方についていくつかのチェックポイントがあります。サイトの構成としてまず、 第一印象がとても重要です。サイトの全体が見えているかどうか。 それから、目的に添って構成やプログラム、 機能が配置されているか。機能に合わせた設計がなされているかどうか。そして、 ナビゲーションとして機能する情報やコンテンツとして機能する情報が適正に配置されコンテキスト、 つまり脈絡があるか。さらに、ビジュアルの整合性がとれているかどうか。また、 接客にあたる部分のクオリティが優れているかどうか。 単なるグラフィックだけでなくてマーケティングやテクノロジーを融合し、 目的に添った機能を実装しているかどうかという点をバランスよく見る必要があると思います。

そして、賢いWeb屋の選び方についてですが、作りっぱなしのWeb屋は信用しないほうがいいでしょう。 作って納品したサイトがどういう結果を残しているのか、しつこく聞いてくるようなWeb屋が、 成長できる良いWeb屋だと思います。現在の日本のWeb屋は実はとても優秀です。しかし、 クライアントの意識が実装部分にまで中々向いていない実情で、思うような実装が実現出来ずイライラしているのが現 状です。ですから、もっと厳しいオーダーを与えれば必ず面白くビジネスが展開できると思います。 それから、 ネットワークメディアとしてのWebの可能性を活かし、Webという新しいメディアを使って、 いかにコミュニケーションを図るかということを一生懸命考え、クライアントに提案してくるようなWeb屋こそ、 選ぶべき相手だと思います。

最後になりますが、発注する側はWebデザイナーにもっと厳しいオーダーをして下さい。必ず、 それは実現されると思います。逆に、制作側はどんなオーダーが来ても対応できるように準備を整える必要がありま す。3ヶ月前にOKだったことが今はOKではなくなる時代ですから、 日々進歩していかなくてはなりません。発注側と制作側がきちんと組み合わさった形でユーザーにサービスが提供され れば、日本のインターネットの未来はとても明るいものになると思っています。

(11/29講演)

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