[IW2000]日米eクリスマス比較:ネットイヤーグループ-(2)◆ニーズセットの拡大 〜アスクル〜
次に、CRMについて、どういうニーズセットで、 どういう仕組みになっているかというところを簡単にご説明したいと思います。 まず、ニーズセットをどう拡大するかというのが、CRMの一つのテーマになります。 単品のプロジェクトだけではなく、特定のニーズを満たす為の顧客シェアを、どう広げるか。 これをいくつか事例を含めてお話をしたいと思います。 まず、良く成功事例として取り上げられている代用的な例として、アスクルがあります。アスクルは、 プラスという文具メーカーの新規事業としてスタートし、立ち上げ以来、 大きく売上げを伸ばしてきたサイトです。では、なぜ成功したのでしょうか。 アスクルのサイトを見ますと、一番上に自社製品、 その下には競合会社であるコクヨの関連製品が並んでいる。その上、 従来型のカテゴリにとらわれずにニーズセットを広げる為に、各社の烏龍茶まで載せている。実際、 このアスクルのニーズセットの拡大という戦略は、本来であればプラスのネット、 通販における販売会社として顧客に接するという道を求められていたのです。しかし、 そうせずに顧客サイドから逆にアプローチした。顧客、文具を購入する総務部門が、どういう物を買い、 どういう悩みを抱えているのか。ここから入っていったわけです。 そうすると、まずニーズセット自体を、プラスの文具を売るということから、顧客側にとて、 オフィスの問題解決をする会社になろうというように変更した。それによって、プラスの文具製品も売るが、 競合のコクヨの文具製品も売る。烏龍茶もパソコンもごみ袋も売る。このようにして、 売上げを伸ばしていったのです。これは、ニーズセットの拡大と、 顧客の視点に立ってCRMを実現していくという、好例だと思います。 ◆パーソナリゼーション 〜amazon.com〜 次に、顧客データベースを幹としてたパーソナリゼーションというテクノロジーがあります。 各ユーザーに合ったリコメンデーションという方法を利用し、売上げを伸ばした典型的な会社が、 amazon.comです。売上げを伸ばす成功の秘訣となっているのが、 パーソナリゼーションというテクノロジーです。 例えば、一般の人向けとそれぞれの個人向けと、トップページに出される情報が違う。 amazon.comというのは、使っているうちにその人の特性とか、何が欲しいとかをわかってしまい、 その人の欲しがっている物や、読みたいような本が、トップページで紹介される。これが、 実は裏に隠されたパーソナリゼーションの仕組みなのです。 また、時々amazon.comからeメールが送られてきます。 以前購入した本の著者が新刊を出したというお知らせと、書評、 さらに3日以内に購入すればあなたにだけ40%引きで売ります、というものです。そして、 購入しようとクリックしてサイトに行くと、同じ様にその本を購入しうようとしたユーザーが、 他にこんなものを買いました、という推薦図書のリストが出てくる。この推薦リストというのが、実は、 「協調型フィルタリング」と言われている、リコメンデーションエンジンを使って、 過去に購入した購買者の履歴の中から、自動的にリストが生成されるというテクノロジーなのです。 そうして、1冊の本の購入をきっかけに、さらに3冊買わされてしまう。これが正に、 ネットで購入を促進させる裏に、隠された仕掛けと言えます。 ◆その他のポイント もう一つが、オプティマイゼーション。これは、インフラのゼネレーションをどう掘り起こして、 登録や購入率をあげていくかという、コンバージョンレート。それから、一回買ってもらったお客さんに、 どれだけまた買わせられるか、というディープニング。 例えば、同じ予算で同じ物を売ったとして、インフロー、コンバージョンレート、ディープニング、 購入個数など、それぞれのステージで、1%とか10%とかあげるだけで、何十倍という差がでてきてしまう。 事業開始後1、2年のECサイトにおいては、5%のユーザーが95%の収入を支えている、 というふうに言われています。これを、いかに早いスピードで、 20%のユーザーから80%の収入を産むような構造に転換していくか。その為のテクノロジーの一つが、 ユーザープロファイリングです。各ユーザーのパターン、ロイヤリティユーザーの原理を分析して、 その5%を20%にあげていく。それが、ログ解析、プロファイリングからによる、 売上げ効果の仕組みになります。 ◆eCRM アメリカでは去年ぐらいまでは、CRMでもネット流通でも、コンポーネントという考え方が主流でした。 しかし、色々なコンポーネントを組み合わせてCRMを構築するという、カスタマーインテグレーションには、 限界が来ている。エンタープライズスケールでのアプリケーションソフトウェアという形に 今はなっていきています。eCRMのベンダーがいくつか出てきましたが、次の世代として、 統合型のアプリケーションが主流になりつつあります。 日本の場合、ECの作り方はまだまだカスタムメイドで、作り込みをしている。 とりあえず表面的に動くような仕組みを作っているというのが現状だと思います。一方アメリカでは、 それぞれの仕組みの研究が進み、日曜大工のほったて小屋というよりは、超高層ビルを作る、 そういうステージに入ってきている。そのぐらい、 裏に隠された仕組みの違いが日本とアメリカにはあるのです。 それでは、ここを認識しつつ、では日本のeクリスマスをどう立ち上っていくか。ネットバブルの崩壊もあり、 出鼻をくじかれたような感はありますが、アメリカのどんなアナリストも、リサーチ会社も、B2C、 B2B含めて、これから市場がシュリンクする予測をしている人は一人もいません。 非常に大きなマーケットとして見ていますし、右肩上がりで大きな市場を捉えています。 日本も同じことが言えると思います。OECDなども、 ここ20年の間にすべての商取引の60%がオンラインに移り変わっていくだろうという結論を出しているぐらい です。非常に大きな可能性を秘めた市場において、日本で、成功事例が早く出てきて、 もっと活性化された形で日本のECが立ち上っていかなくてはいけないと思います。 (2000/11/30 講演)
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