Webビジネス2003年8月19日 00:00
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量子コンピュータの世界

この記事のURLhttp://japan.internet.com/busnews/20030819/6.html
著者:三宅朝広
国内internet.com発の記事
現在のコンピュータ性能は今後も「ムーアの法則」 (コンピュータチップのトランジスタ数は2年ごとに2倍になるというもの) どおりに向上していくかもしれない。少なくとも今まではそうだった。 しかし、仮にそれが実現したとしても近い将来それは「古典的コンピュータ」と 呼ばれるようになる。何がそうさせるのか?  答えは「量子コンピュータ」である。

それは「イノベーションのジレンマ」で言うところの「破壊的イノベーション」に十分該当するものであろう。 すぐに家庭用 PC が量子コンピュータになるとは考えにくいが、 サーバーサイドでの実用期が訪れたときには、 既存の Net ビジネスの概念そのものが変わってしまう可能を秘めている。

それほどまでにインパクトのある「量子コンピュータ」とはいったいどのようなものであろうか? 

従来のコンピュータは、 電気の ON と OFF をそれぞれ「1」「0」として計算を進めるため、 1つのビットは「1」か「0」のどちらかである。 しかし、量子コンピュータでは「1」であると同時に「0」である状態が存在する。 つまり量子コンピュータでは1つの bit で複数の状態を表現できることによって 同時に複数の計算を行うことができるものである。 量子コンピュータとは超並列コンピュータなのだ。

これ以上の詳細は専門書にゆずるとして、 量子コンピュータが実現できたとして、何に使えばいいのだろう? 

量子コンピュータでは「因数分解が速くできるということ」ははっきりしている。 そこでよく量子コンピュータを語るときに、 使用例として出てくるのが RSA 暗号だ。 既存方式のコンピュータでは解読に200億年かかる RSA 暗号が、 数秒にして解読されるとまでいわれている。 確かに現在の暗号は瞬時に解読されるだろうが、 そのときは、それに対応した暗号が用意されると考えるのが普通だし、 誰も初期の量子コンピュータを暗号解読に使うために開発したりはしないだろう。 (量子コンピュータでも解読に100年以上かかる暗号を作るために、 量子コンピュータが使われるという可能性はあるが)

私は最も可能性が高い使われ方は、検索とレコメンデーションシステムだと考える。 「量子コンピュータの世界」が実現すると、 検索とレコメンデーションシステムが AI 化し、 あたかも自分の分身が世界中の Web サイトを検索してきてくれる感覚が味わえるだろう。

しかしそれには、あらかじめ AI を自分用にチューニングする必要がある。 量子コンピューターによる AI の性能を十分に生かすには、 既存の PC の標準的入力デバイスであるキーボードとマウスから得られる情報だけでは不十分であり 人間の五感すべてに対応した入出力デバイスがあってはじめて、 量子コンピュータによる AI はその性能を十分引き出せる。

そんな未来はすぐそこまできているのかもしれない。

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