ユーザビリティはサイトの重要な土台である。
重要であるが、それだけでは良いサイトはできないのだ。
その上に表現のクリエイティビティ(クリエイティビティという言葉が大仰なようなら創意工夫)があってはじめて、
良い Web デザインが成立するのである。
さらにサイトとしての完成度を図るためには、
機能・システムとのバランスを加味する必要もある。
Web サイトは、デザインかユーザビリティか、という一次元の尺度からではなく、
多次元の軸によって評価されるべきものだ。
これらの Web を Web たらしめている要素を考慮に入れることを忘れ、
ただユーザビリティのみを軸にすることを似非ユーザビリティと呼ぶ。
似非ユーザビリティが世にはばかるからこそ、
「ユーザビリティを考慮すること」=「退屈なデザインに我慢すること」という間違った考え方も出てきてしまうのだ。
やや旧聞に属するが、
筆者は2003年9月21日〜25日に米国シカゴで開催されたニールセン ノーマングループの「User Experience 2003」というユーザビリティ関連のカンファレンスに参加した。
Web ユーザビリティ界の第一人者と呼ばれる Jakob Nielsen 氏、
Donald Norman 氏らがスピーカーだったが、
そこでの興味深い指摘としては、
全般的にユーザビリティの水準はあがってきていることと、
今後求められるのは、
「使いやすい/機能として優れているデザイン」から「人の感情に訴えかける魅力のあるデザイン」になっていくということであった。
使いにくいものから使いやすいものへ、という流れの次は、
ユーザーにとって愛着がわくようなものへ、という流れになるということである。
Web サイトの使い勝手の良さについて十分考え抜くこと、
そしてそれをどうデザインとして表現するかについても、
創造性を駆使して考え抜くことが必要不可欠である。
ユーザーに選ばれる Web サイトづくりは真剣勝負であり、
それは何かひとつのドグマに盲目的に従っているだけでは勝てない勝負なのだ。