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Webビジネス2004年6月17日 00:00

ポストモーテムしていますか?――Web サイト情報戦略シリーズ(1)

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■Web サイト情報戦略シリーズとは?

Web サイトにおいて重要なのは、 美しいデザインや最新の技術を使っていることだろうか?  数年前ならば、その答えは「Yes」だったかもしれない。

が、Web サイトユーザーも成熟してきている。 小手先の技術や新奇な要素のみで人の目を引くことができるのは、 ごく一瞬に過ぎない。 また、新しさのみで勝負していると、 あっという間に陳腐化してしまう。

実際に、自分が Webユーザーとして Web を見ているときに、 以下のような経験をした。

・グラフィックスが美しいだけで中身がスカスカなサイトを見て、 こけおどしだと感じたことがある
・すごい機能があるらしかったが、必然性があまり感じられず、 サイトの中でも浮いていたため、まったく使わなかった
・どこかで見たようなデザインやページ構成を見て、 「とりあえず誰からもつっこまれないように、 今流行しているデザインやありがちな構成で無難に作ったんだなあ」と思い、 以降、そのサイトについては完全に忘れてしまう

Web サイト構築でもっとも重要なのは、 「そのサイトで伝えたい情報が、 伝えたい相手に確実に伝わっているかどうか」ということである。 このあまりにも当たり前で基本的なことに対する意識を見直すことが、 Web サイト制作プロジェクトにおいて重要だと考える。

では、伝えたい情報を伝えたい相手に確実に伝えるために、 具体的にどういう方法を考えていけばよいのだろうか?

それを考えるのに役立つのが「Web 情報アーキテクチャ」という概念である。 アーキテクチャは、建築用語から転用された語で、 「設計」ないしは「設計思想」というような意味で用いられる。 したがって、Web 情報アーキテクチャとは、 Web サイトにおける情報提示のありかたを設計することを指す。

Web 情報アーキテクチャのサブジャンルのうち、 Web 制作プロジェクトの各局面で特に見落とされがちなポイントについて、 今後数回にわたってこの「Webサイト情報戦略シリーズ」で語ろうと思う。

■ポストモーテムとはなにか

第1回である今回は、ポストモーテムについて紹介する。

そもそもポストモーテムとはなんだろうか?

チャーリー・シーン主演の、 「ポストモーテム」というイギリスを舞台にしたサスペンス映画があったが、 ポストモーテムとは、 英語でそもそも「検死」「司法解剖」などという意味を持つ。 プロジェクトというコンテキストにおいては、 すべてのフェーズが終了後、 プロジェクトを振り返って行う「事後検証」という意味で用いられる。

反省会とはどう違うのか?と思われる向きもあると思う。

反省会がともすれば抽象的な問題を挙げるだけで終わったり、 「あれが悪かったこれも悪かった」と過剰にネガティブな要素がついて回りがちなのに比べ、 ポストモーテムはもう少し分析的かつ緻密に行われるものである。 人格攻撃に陥らないよう、 また、ウェットにならず、ドライな場の雰囲気を保ち続けることが肝要だ。

だが、参加メンバーがその場で本音を言わないままにしておいてはいけない。 公の場で発言しなくても、みんなおなかの中でわかっているさ、 というふうに思わせてはいけない。 大切なのは、ミーティング後にはチームメンバーが問題点を共有していること、 そして、問題を解決する実際の行動が起こされることであり、 それこそがポストモーテムの目的なのだ。

もちろん、ポストモーテムという名称を使っていないだけで、 実質、 反省会がポストモーテムとして機能しているチームもあるのではないか、 と考えるのだが。

■なぜ Web 制作プロジェクトでポストモーテムが必要か

このポストモーテムであるが、 外資系ソフトウェア会社やゲーム業界などでは広く行われていると聞くし、 筆者も実際に体験した。 が、こと Web 制作プロジェクトとなると、 ポストモーテムが実施されているという話はあまり聞かない (現在、実施して効果を出しているチームの方がいたら、ぜひ教えてほしい)。

理由はたくさんあると思う。 「そもそもポストモーテムが何であるかを知らない」に始まり、 「実施する時間がない」 「ネガティブイメージを持っているため、あまり進んでやりたいと思わない」 「なぜ実施する必要があるかわからない」 「かつて実施したことがあるが、形式だけのもので、 建前のことしか聞かれないので、やっても無駄だと考えた」などだ。

時間がありあまって困っている Web 制作チームというのはおそらく存在しないため、 できるだけ無駄なミーティングは省いて効率よく働きたいと思うのは当然のことだろう。あなたがプロジェクトリーダーだったとしたら、 なおさらメンバーの時間を無駄に使いたないと思うだろう。 効果が不明なミーティングを追加して、 ただでさえハードワークなメンバーに、 さらに負荷をかけたくないと思う気持ちはとてもよくわかる。

が、ポストモーテムは「余裕があったらやるんだけれど……」というレベルのものではなく、 今後とも Web 制作業務にチームで取り組もうと考えるなら、 プロジェクトにおいて原則必須のプロセスなのである。

なぜなら、人間が携わっているかぎり、 真に完璧で失敗がゼロのプロジェクトというのがありえないからである。 失敗が再発するのを予防し、 前向きに解決につなげていくためには、 犯人探しに陥ったり、 個々人の学習能力に依存するのではなく、 チームとしてプロジェクトを振り返るポストモーテムのプロセスが必要だ。

チームメンバーの属人スキル蓄積のみではなく、チームとしての経験値を積み、 それを次につなげるために、 ポストモーテムによるプロジェクト分析をぜひ実施していってほしい。

■ポストモーテムでの注意事項

ポストモーテムを実施するにあたっては、 気をつけるべきポイントがある。

・ファシリテーターは、 フランクで活発な意見が出るように場の雰囲気に注意を払う
・プロジェクトに関わった全員が参加する(クライアントは同席しない)
・ブレーンストーミング同様参加者に発言を求めるが、 プロジェクトのフェーズごとに区切ってすすめる
・抽象論ではなく、具体論を語るようにする
・個人攻撃はしない
・評論や批判を行うのではなく、 ポジティブな問題解決について検討する場だということを全員が認識する
・単に良かった・悪かったで終わるのではなしに、 次回以降に生かせる行動プランや目標をつくる
・結果を必ず文書化し、共有する

この注意事項は一般的なものなので、 プロジェクト固有の問題も加味して考えていくこと。 また、同じチームや会社でポストモーテムがすでに行われたことがあるのなら、 以前挙がった問題が今回のプロジェクトで改善されているかどうかをチェックするなど、プロジェクトの実態に応じて、 項目を追加・修正していくことが必要である。

■Web 情報戦略と分析

今回はポストモーテムの必要性について述べたが、 なぜ Web 情報戦略の話の初めに、 いきなりプロジェクトやチームマネジメントがらみのポストモーテムの話が出てきたのか、と疑問を抱く方もいるに違いない。

それは、Web 制作フローにおいて、 分析とフィードバックが重要であるとファンサイドでは考えているからである。 分析もフィードバックも、 情報をどのように流していくかという戦略の一部である。

分析とフィードバックなくしては成長はない。

個人レベルでは、 指示がなくても分析やフィードバックを実行できる人間はいるが、 チームとして経験値を積んで成長していくためには、 プロジェクトにおける情報戦略が重要である。 情報戦略はサイトのコンテンツのみに関わるものではないのだ。

記事提供:ファンサイド



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