Webビジネス2004年7月2日 00:00
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ラベリングの重要性――Web サイト情報戦略シリーズ(2)

この記事のURLhttp://japan.internet.com/busnews/20040702/8.html
著者:ファンサイド
国内internet.com発の記事
Web 情報アーキテクチャのサブジャンルのうち、 Web 制作プロジェクトの各局面において特に見落とされがちなポイントについて紹介する、 Web サイト情報戦略シリーズの第2回である。 (前回の記事はこちら。)

■Web サイトにおけるコミュニケーションギャップ

ティム バートン監督の「マーズアタック!」は、 異文化間のコミュニケーションギャップをテーマにした、 悪趣味でありながらも後味が悪くないという、 絶妙のバランスを保っている映画である。

映画の中では地球人と火星人の間でのコミュニケーションはまったく成立しない。 善意をもって相手にあたればその善意はおのずから伝わるはず、 などという期待はあっけなく踏みにじられる。

これほど極端な形ではないが、 Web サイト制作においても、 作り手が期待するほどにはユーザーにそれが伝わらないことが多い。 これはユーザーの理解力が低いということを意味しない。 どういう立場から、 どういうニーズを持ってサイトを見るのかによって、 情報の見えかたや理解のしかたが異なるというだけである。

そもそもユーザーはサイト制作予備軍などではない。 ユーザーの「成長」を期待するなどというのはサイト制作側の傲慢であるし、 ましてや「伝わるはずである」 「わかってほしい」という祈りや願いだけでは、 コミュニケーションギャップは埋まらないのだ。

ギャップを埋めるためには、 サイトのコンテンツとターゲットユーザーのメンタルモデルの両面から問題点を探っていく作業が必要になる。 ユーザーテスト(参考:「ユーザーテストのすすめ」)を行うのはその手法のひとつである。

■コミュニケーションギャップの要因

では、そのギャップを生む要因は何だろうか。 ギャップとはすなわち、

1)サイト制作側が Web サイトで伝えたいと考えていること
2)ユーザーが意識的・無意識的に期待すること

の間に食い違いがあるということなのだが、 その食い違いは、 情報の伝え方に何らかの問題があるゆえ生まれていると言えるだろう。

では、Web サイトにおける情報の伝え方とは、 具体的にどういう要素に分解できるのか。 大きく分けるなら、

1)情報の構造・組織そのもの
2)情報構造の表現

の2つとなるだろう。 今回は2)の情報構造の表現において重要な位置を占めるラベリングについて考えていきたい。

■ラベリングはなぜ重要か?

Web 情報設計を行う際には、 Web サイトに掲載する情報をグループ化して構造をつくっていく作業がまず必要となるが、 その後、 そのグループに対して名前をつける作業が発生する。 これがラベリングと呼ばれるものだ。 「ラベリング=ラベルをつける」ということである。

情報の分類・組織化とラベリングとは別の作業であるが、 双方は緊密な関係性を持つ。 たとえば、情報のグループ化の基準があいまいで、 複数のグループの区別がつきにくい場合には、ラベリングが難しくなる。 ラベリングから情報分類の基準の見直しが迫られるのである。 また、せっかくグループ化が適切に行われたとしても、 付与されるラベルが不適切であったときには、 ラベルの背後に存在する情報が使われることなく、死蔵されることになる。

このラベリングの重要性についての認知度は低く、 十分に練られるケースは少ないようだ。

グラフィックデザインを行う際に、 仮にメニューに対してつけられた名称が、 そのまま採用されたケースを耳にしたこともある。 しかしながら、 ラベルがそこに含まれる情報の内容を適切に表現していないクォリティの低いものだと、ユーザーがそこでつまずいてしまい、 欲しい情報に到達できなくなってしまう。 結果、サイト制作側・ユーザー双方にとっての機会損失となるのだ。

■ラベリングにおけるコミュニケーションギャップ

ラベリングに気をつかっていないわけではないが、 それが結果的にサイト制作側のひとりよがりになってしまうケースもある。

メニューのラベリングでよく見られるだめな例は、以下の3つである。

1)デザイン性・見た目重視ですべてを英語にしてしまう
2)メニュー項目の区別がつきにくかったり、扱う情報の大きさがばらばら
3)自社社内のみで流通している語を使用している

1)は、可読性に問題がある。 日本語を母国語とするユーザーをターゲットにするサイトの場合は、 原則、漢字かな混じりがベスト。

2)は、 どこに欲しい情報があるかユーザーを迷わせることになる。 たとえば、 EC サイトのメニューで「エレクトロニクス」と「ホーム」などという名称だけがある場合、 掃除機や洗濯機などの生活家電が一体どちらに入るのか、 ユーザーを悩ませることになる。

3)はイントラネットの場合は問題ないが、 社外ユーザーをもターゲットにする Web サイトの場合は問題が大きい。 特に、外部スタッフがおらず自社内でサイト制作を完結しているケースでは、 メニューに社内ジャーゴンが使われていることに関係者の誰も気づかないということが起こりがちである。

これらはまさしく、 サイト制作側とユーザーとのコミュニケーションギャップの例であり、こういった問題を防ぐには、

1)サイト制作側とユーザーとのギャップがあるということをまず認識する
2)情報アーキテクチャの考え方を実行する。 具体的には、外部専門家(インフォメーションアーキテクト)にサイト制作プロジェクトへの参加を依頼する、など
3)サイト制作途上でユーザーテストなどによりターゲットユーザーからのフィードバックを得て、ラベリングの問題点を洗い出す

という対策が考えられる。

ティム バートン監督の新作「ビッグ・フィッシュ」は、 コミュニケーションギャップがやはりテーマであるものの、 人間はお互いにわかりあえないものだというところで立ち止まるのではなく、 そこから一歩進んだ結末が用意されている。 Web サイトのラベリングにおいても、 作り手と使い手との間にギャップが存在するという認識のうえで、 よりよいコミュニケーションについて考え、 実践していくことが必要ではないだろうか。

記事提供:ファンサイド

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