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2004年12月9日 00:00

インターネット広告の近未来

10年ほど前に、近未来を舞台にした SF映画で、コンピュータ・ディスプレイに映し出 されるべき情報がホログラムのように空中に浮かんでいて、俳優がそれらを手づかみで 操作している、というシーンを見たことがある。 10年前程、まだ学生だった筆者はそれを見て『こんなの不便だし、実現しないん じゃないのかなあ』などと考えていたのだが、昨今、こういった「直接的で総括的な インターネット・コミュニケーション」は本当に実現しつつあるようだ。 何も、上記のような技術が開発された、という話ではない。あらゆるコミュニケーション 同士の制限が取り払われつつある、ということにおいてだ。

少し前に、米Google のローカル検索機能が話題になったが、これも「ご近所探索」と 「インターネット」の平均値であるといえる。技術が進んだのではなく、「かくあるべき」 単純で純粋なネットワーク・コミュニケーションに近づいた、というのが正しいのではないだろうか。

人間同士のコミュニケーションも同様だ。 Eメールを出すことと、会って話をすることは、勝手は違うが同じ「コミュニケーション」である。

2004年春ごろから日本でも、ソーシャルネットワーキングと呼ばれる、友人同士を媒介にして 広がるインターネット上のコミュニティが流行している。これも、例えば「知らない人にEメールを すること」と、「会って話をすること」を近づけたものだろう。 インターネット上のやりとりで主軸だった「匿名性が高く、自由なやりとり」には、良い面も多いが、 悪意あるコミュニケーションまで安易に運んでしまうという悪い面も多い。ソーシャルネットワーキングは、 人と人とのつながりという非常に曖昧な審査基準を盛り込むことによって、「友人の友人を紹介されて、 会って話をする」という、よりハードルの高いコミュニケーションと、インターネットの自由度の 高さを融和させたサービスだと言える。

さて、インターネット広告はどうなのだろうか。 バナー広告が「受け身でそこに置いてあるだけの立て看板」だとしたら、検索連動型広告は 「勝手に一番自分が目立つ場所を探し場所を移動する、歩く看板」である。 この先、これらの広告がさらなる進化するとしたら、どうなるのだろうか? オフィスまで出向き、あれやこれやと資料を見せる営業マンだろうか?

広告という手段自体は、非常に受動的なものである。あくまで消費者側に「この商品が気になる」 と思わせるものでなくてはならない。 店頭で、販売員に話しかけられる事を好む人は少ない。自分で気になる商品を手にとり、自主的に 購買することを好む傾向は変わらない。
広告を見る→店頭へ足を運ぶ→購買、というルートが縮まるわけではないのだ。

巨大掲示板、口コミサイトの流行を例に挙げるまでもなく、ユーザーはインターネットのより効果的な使い方を既に知っている。ユーザーは、ただ押すだけの営業活動には辟易している。彼らは自分たちのコミュニティの言葉を最も重んじ、売り手の意識を見抜こうとする。(広告然としたバナー広告が、一般的にクリック率が悪い、と言われるのはここに起因する)

売り手ではなく、ユーザーの側に立ち、コミュニティにとけ込むような広告の形。これを具現化させたのが検索連動型広告だった。おそらく、インターネット広告における「ユーザー側の意識に近付ける」傾向は、当分変わらない。ユーザーの側に近い、売り手意識を巧みに隠した販売促進手法は進化を続けるだろう。 それらが飽和したときには、既に新たな価値観の広告が誕生しているに違いない。

(執筆:コンサルティンググループ 君塚祥子)


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