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2005年9月15日 10:00

SEM を意識したネーミング戦略

バブル期から現在に至るまで、M&A(合併・買収)や経営の多角化、ブランド力の強化などのため、企業が社名やブランド名の変更に踏み切る例は増加しているという。そんななか、ネーミングの重要性に着目し、ネーミング開発を専門に請け負っている企業も多数存在している。もちろん、そのようなネーミング専門会社には社名やブランド名の開発だけでなく、商品名やサービス名、店舗名などのネーミング開発の依頼も多数寄せられているそうだ。

しかし、そうした企業に依頼して新しく作られた名称などを見ると、まだまだ SEM(検索エンジンマーケティング)を意識したネーミング発想がなされていないことも多いのではないかと感じる。

企業の広報戦略の一環として SEM の重要性が叫ばれるようになってはいるが、見栄えや聞こえの良いネーミング開発には神経を使ってはいても、サーチエンジンでの検索実績はどれぐらいあるのか、検索エンジン最適化の施策を行いやすいか、という視点が抜けているケースが目に付く。

もしかしたら、検索エンジンでは、企業名や商品名などをストレートに検索する、いわゆる「指名検索」は少ないと思っている人が多いのかもしれないが、実際はそうではない。例えば、オーバーチュアのキーワードアドバイスツールで、2005年7月の「携帯電話」(「携帯」含)というキーワードの検索実数を調べると55万4,550件だが、個別に各キャリアの指名検索を見てみると、以下のようになる。

 「docomo」(「ドコモ」含)     144万1,823件
 「au」(「エーユー」含)      142万2,256件
 「vodafone」(「ボーダフォン」含)  90万9,846件
 「tu-ka」(「ツーカー」含)      10万8,592件
いかに社名での指名検索が多いか、おわかりいただけることと思う。

弊社コラムでも再三触れていることだが、こうした検索エンジンで指名検索を行うユーザーは、商品・サービスを購入する可能性が非常に高い見込み客である。しかも、指名検索キーワードは比較的入札金額が安価で済むため、費用対効果で見れば、非常に魅力的なキーワードとなる。

そのため、検索連動型広告で指名検索を獲得することを考えると、広告費や販促費に多くの資金をつぎ込める大企業、つまりはブランド構築力の高い企業であれば、社名やブランド名にはオリジナリティの高い覚えやすいネーミングが最適ということになる。もし何かの間違いで、広い意味合いをもつビッグキーワードを社名やブランド名にしてしまっては、多くの費用と機会を失うこととなるので注意が必要だ。

それに対し、資金力の乏しい企業であれば、あえて広い意味をもつビッグキーワードをネーミングに利用することで、リーチを拡大するという戦略が考えられる。その際、検索数は多いものの検索エンジン最適化の競合が少ないキーワードが発掘できれば、SEO(検索エンジン最適化)の施策を行うことで、少ないコストで多くの成果を得ることが可能となる。社名やブランド名などの変更・構築をお考えであれば、今後はこうした視点でのネーミング開発というのも、ぜひ頭に入れておいていただきたいものだ。

なお、SEM を意識したネーミングを考える際、以下の点にはご留意いただきたい。

  • 正式名やヴィジュアル・アイデンティティが英字表記の場合でも、検索をカタカナで行うユーザーは多い
  • 英字表記の名称や独特の表記を用いる名称はうろ覚えによる揺れ検索が多くなる
  • 名称に数字を含む場合も数字のうろ覚えによる揺れ検索が多くなる
  • 長い社名は略称での検索が多くなる
  • 名称変更後に多くの時間を経ても、旧名称での検索ユーザーはなくならない
つまり、一概には言えない部分もあるが、多くの場合 SEM の効率化を考えると、不必要なまでに凝ったネーミングは不利になることが多いため、日本語表記による単純明快な名称の方が圧倒的に優れているということになる。

(執筆:コンサルティンググループ 市川伸一)


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