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2006年3月16日 09:30

検索の衰退はインターネットの衰退を意味する

ここ最近 IT 系のニュースサイトでは、検索ビジネスの成長はもう終わりだ、というセンセーショナルな記事を見かける機会が多くなった。これは米国時間2006年2月28日に、グーグルの最高財務責任者であるジョージ・レイエス氏が投資家向け説明会の中で、「グーグルの成長は鈍化傾向にあり、売上高を伸ばすために(アドワーズ広告以外の)代替策を見つける必要がある」と発言したことを受けてのものだと思われる。ちなみに、この発言がケーブルテレビで放送された影響で、同社の米国内の株価は一時的に急落した。

しかし、こうした報道は非常に恣意的なものであると感じる。前述の発言内容は、実はコメントの一部を抜粋したものに過ぎない。レイエス氏は、この後「しかし現状では、計り知れないチャンスがある。検索業界も検索技術もまだ始まったばかりだという人も多い」と発言している。さらに言えば、これまで3桁台の成長率が2桁台に落ちたからと言って、それは後退ではない。総量自体が大きくなれば、成長率というものは往々にして上がりにくくなるのが当然だ。冷静に見れば、こうした恣意的な報道は、これまでポジティブな面ばかりが強調されていた検索ビジネスに対する反動であると考えられるだろう。

現実的に見れば、検索はまだまだ計り知れない可能性を秘めている。なぜなら、インターネットユーザーで検索を使わない人は皆無だからだ。往々にして「検索」という言葉を聞くと、「Yahoo! JAPAN」や「Google」のような大手検索サイトを思い浮かべる人が多い。しかし、検索という技術はインターネット上の至るところで使われているコアな技術である。試しに「Google」で「検索」というキーワードを使って検索してみるとよく分かる。検索結果には、大手検索サイトだけでなく、郵便番号検索や荷物の配達状況検索、書籍検索、国会会議録検索など、幅広いサイトが表示される。

しかも、面白いことにユーザーに至っては自分の行動が検索だと意識しないで検索を行っている例も多い。例えば、乗換情報を知りたくて出発駅と目的駅を入力して情報を探す、実はこれも検索だ。さらに、天気が知りたくて特定地域の情報を探す際にも、物販サイトで目的の商品を探す際にも、常に人は検索を行っている。

インターネットを使った図書館の蔵書検索はいまでは多くの自治体や大学が導入している。そればかりではない。2006年3月7日に閣議決定した遺失物法改正案は、落とし物をインターネットで検索できるようにすることが柱となっている。いまでは企業サイトや個人ブログにも当たり前のようにサイト内検索用の検索ボックスは存在している。仮に検索機能がなくなったとしたら、どうやって人は短時間で必要な情報を探すことができるだろう。

つまり、検索こそがインターネットの核心技術であり、検索があるからこそ人はインターネットを使うと言っても過言ではない。もしこれから先、検索の衰退が叫ばれるような時代が来るとしたら、それはインターネット自体の衰退も意味していると言えるだろう。しかし、幸いにして当分はそのような時代は訪れそうもない。

米 Nielsen//NetRatings が2006年3月3日に発表した調査結果によれば、米国の約60の検索エンジンで2006年1月中に行われた総検索数は約57億回に達し、過去最高を記録したという。この結果について同社は、「ユーザーの検索回数が増えているのは、探したい情報が見つからないからではなく、検索が生活に深く浸透しているからだ」と分析している。

さらに、検索ビジネスは常に進化している。2006年3月7日に米マイクロソフトが新たな検索エンジン「Windows Live Search」β版を、2006年3月13日にはヤフーが「Yahoo!ブログ検索」β版を公開したばかりだ。そうしたことからも、検索ビジネスの本当の未来はまだまだこれから広がっていくと言っても差し支えないだろう。

(執筆:マーケティンググループ 市川伸一)


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