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2006年6月1日 09:00

インターネット時代のキャラクター戦略

先日、とあるクライアント企業に定期訪問でうかがった際、イメージキャラクターの活用方法に話が及んだ。かねてよりその企業のウェブサイトを拝見すると、さまざまなページにイメージキャラクターとおぼしきイラストが点在していたため、私の方から話を切り出してみたのだ。

サイトを拝見した印象は、残念ながらキャラクターがあまり有効に活かされているとは言い難かった。サイト内にキャラクターの紹介ページがないため、名前や由来さえもわからない。まったく浮いた存在になっている。あえて発信される情報を少なくすることで、ミステリアスなキャラクター像に仕立て上げ、ユーザーの好奇心をあおる戦略かと思っていたが、実際に話をうかがうとどうやらそういうことでもないらしい。

そのキャラクターにはきちんとした名前もあり、販売用ではないものの会社ではキャラクターグッズまで作成しているという。要はキャラクターを作ってみたものの、どのように活用すべきか試行錯誤の段階ということだろう。

もちろん、キャラクター戦略は私としても専門外であるため、うかつに具体的な戦略指南という訳にもいかない。しかし、その場ではユーザーとしての視点から次のようなサイトの改善点を指摘させていただいた。

・キャラクターの紹介ページを1ページ作成し、そのキャラクターの特徴やプロフィール、バックボーンとなるストーリーなどを掲載する。ただし、なぜそのキャラクターがイメージキャラクターとして選ばれたのかが明確でなければ、キャラクターが独り歩きし、ユーザーは企業(商品・サービス)とキャラクターを結び付けて想起することは難しい

・キャラクターを活かすためには、視認性の高い位置にキャラクターを表示させることは当然必要なことだろう。しかし、必要以上にキャラクターが表示された場合、サイトとしての機能を失い、何のサイトなのかわからなくなる可能性もあるので注意が必要だ

・初心者ユーザーの閲覧率が高い FAQ(よくある質問集)や用語集のようなページで、キャラクターが問題解決のために指導するという手法が有効ではないか。初心者ユーザーは企業に対する明確なイメージが確立されていないため、キャラクターの露出度を高めることで、企業に対する親しみもわく可能性がある

・コンバージョンへの動線にキャラクターを配置し、顧客となり得る確度の高いユーザーへ印象付ける事も考えられる。また、ファビコン(ウェブブラウザの URL 欄に表示される画像)にキャラクターを設置し、ブックマークされた際やサイトを表示した際に印象付ける事も有効である

どれも当たり前のことばかりなので、その後、少しは気の利いた提案をと思い、キャラクタービジネスについて書かれた情報ページや出版物に目を通し、キャラクター戦略を SEM(検索エンジンマーケティング)と結び付けて活用できないものかと考えてみた。

その際に調べてみて驚いたのは、すでにキャラクタービジネスの専門サイトが存在しており、日本のキャラクター市場は、周辺市場も含めると今や4兆円規模の巨大産業に成長しているということだ。キャラクタービジネスを研究するバンダイキャラクター研究所によれば、欧米においてはキャラクター戦略というのは子供やファミリー層を対象にしたマーケティング手法だが、日本市場では全世代に対して有効な手法だという。何しろ、同研究所の全世代を対象にした調査によれば、キャラクター商品を持っているという人は全体の約84%にも上っているぐらいだ。

さらに、検索サイトでのキャラクター名の検索数というのもかなりの件数に達している。例えば、企業のイメージキャラクターの成功例としてしばしば取り上げられる NTT ドコモの「ドコモダケ」は2006年4月の月間検索数は3万1,988件に上る。社名である「ntt ドコモ」の検索数19万6,647件にはさすがに及ばないが、普通であれば決して少ない検索数ではない。

しかも、「Yahoo! JAPAN」や「Google」で「ドコモダケ」というキーワードを検索すると、ナチュラルサーチの1位には NTT ドコモのコーポレートサイトではなく、キャラクター専用のサイトが表示されるという手の込んだ戦略が展開されている。実際に「ドコモダケ」のページを見てみると、キャラクターのデスクトップツールが無料でダウンロードできたり、テレビ CM が視聴できたりと、充実したコンテンツが楽しめる。

広告予算には限りがあるので、必ずしもすべての企業が同じような戦略を取るべきだとは言えない。しかし、商品・サービスの差別化が困難な場合、このようにまずキャラクターのファンになってもらうことで、自社に対するプラスの印象をユーザーに抱いてもらうという戦略は決して無駄なことではないだろう。

特に、消費者のインターネットを活用した情報収集という行動が一般化するにつれ、企業はイメージキャラクターという資源を、検索エンジン経由の集客に役立てる必要があるかもしれない。なぜなら、キャラクター名は、企業名や商品・サービス名と並ぶ指名買いキーワードとなる可能性を秘めているからだ。今後も、ネット時代のキャラクター戦略については、ぜひ深く掘り下げて研究してみたいテーマである。

(執筆:コンサルティンググループ 近藤直之)


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