Webビジネス 2006年7月7日 10:20

クリック詐欺をなくす

著者: Brian Livingston  オリジナル版を読む
2006年7月7日 10:20 付の記事
■海外internet.com発の記事

クリック詐欺による被害額は増加しており、従来の記録を更新した。もちろん、いい意味でではない。

2月27日付けの Business Week の記事に引用された金融専門家であり、Fair Isaac の商品マーケティングディレクタ Kandathil Jacob 氏によると、「クリック詐欺による損失は全体で年間10億ドル以上にのぼり、この数字は、米国におけるクレジットカード詐欺による被害規模を上回る」という。Fair Isaac は、米国のクレジットカード取引の約85%を監査しているクレジット評価会社であるがゆえに、この事実を知ることができる。

前回のコラムで、ClickSentinel のクリック詐欺検出ソフトウェアが、5月に有料のライセンスモデルから無償配布されることになったと報告した。

ClickSentinel だけではない。Click Forensics も、同社が提供するもっとも人気の高いサービスを、2月から無償で提供開始した。何よりも、PPC(Pay Per Click)広告主からなる同社のネットワークにより、検索エンジンにクリック詐欺をなくさせるという要求が実現するかもしれない。

ユーザーの行動データからクリック詐欺をやめさせる

同社 CEO の Tom Cuthbert 氏によると、同社のネットワークには、現在1,300以上の広告主および広告代理店が参加している。これらのネットワークに参加している企業の PPC 広告の匿名データをClick Forensics が、収集している。Cuthbert 氏は、こうすることで巨大検索エンジンですらわからないユーザーの行動パターンがつかめる、と電話インタビューで答えた。

「これを行動活性と呼んでいる」と Cuthbert 氏は言う。 Click Forensics のソフトウェアを使えば、広告主は有料広告をクリックしてサイトを訪問した人の行動を調べることができる。ほんの一瞬でサイトを退出したり、無意味な行動ばかりで当てもなくサイト内をうろついているだけの訪問者は、詐欺者が操るソフトウェアボットの可能性が高い。

Cuthbert 氏は検索エンジンについて、「彼らは広告主からの提供がない限り、データを手にすることはない」と語る。広告主が、広告方針を牛耳る検索エンジンと、貴重なトラフィックのパターンを自発的に共有するとは考えにくい。

事実を収集して泥棒を捕まえる

それではどうすればいいのか。その答えは、中立的な第三者機関が、個々の広告主の利益に結びつけず、関係者すべてが正しいと認めるような方法で、行動データを集めることだ、と Cuthbert 氏は言及している。

同氏は自身のサイトで、「テレビやラジオの広告主は、毎月末に公正証書を受け取るが、オンライン業界に、そのようなプロセスは存在しない」と指摘している。

不正クリックを判断するのに必要なデータを手に入れるために、Click Forensics は以下にあげる2つのバージョンのソフトウェアを提供している。

CF Analytics は、無料サービス。クリックスルーが月々10万以下の広告主が利用できるサービスで、エンコードした画像と JavaScript をページに貼り、クリックスルーのヒットに関する行動データを集める。 Cuthbert 氏は自身の Blog で、 PPC 広告主の約90%が、無料の CF Analytics を利用する資格がある、と指摘している。

Click Forensics 4.0 Enterprise は、有料広告のクリック数が月々10万以上に達する広告主のための有料サービス。このサービスは、広告主のサーバーログファイルを直接分析する。 検索エンジンに払い戻しの請求をするときに、ログファイルの情報は、JavaScript によるヒット数のデータよりも、信用が置けることが多い。

Click Forensics は、これらの2つのバージョンを使って集めたデータを、 ClickFraudIndex.com という Web サイトに掲載している。トラフィックは、ほぼ間違いなくクリック詐欺であることを示す“高脅威”、“中脅威”または“低脅威”のいずれかに区分される。

過去5週間の集計結果を示すチャートを見ると、一貫して高脅威のクリックが全有料広告のクリック数の13〜14%を占めていることがわかる。中脅威のクリックの一部も偽のクリックであると考えられることから、その数を合計すると、巨大な窃盗となる。

また当サイトには、北米以外の国で発生した高脅威のクリック数を示すチャートも掲載されている。チャートには、中国などの発展途上国が名前を連ねているが、 Cuthbert 氏は、クリック詐欺は第三世界だけで起こっている現象ではないことを示唆している。同氏によると、「不正クリックの88%は、米国及びカナダからのもの」で、恐らくスパイウェアに感染した PC が機械的にハッカーの利益になるクリックを生み出しているのだろう、ということ。

厄介な問題を抱える大手企業

Cuthbert 氏は、1,300人の登録ユーザーのうち、有料バージョンのソフトウェアを利用する数を明らかにはしていない。しかし、同氏の Blog で、ユーザーの8%が Fortune 1000 の企業で、現在オンライン広告企業の最大手の企業数社が含まれていると打ち明けている。

Cuthbert 氏は「秘密保持契約により、企業名をあげることはできない。しかし、クライアントの中には大手広告代理店数社が含まれ、(検索エンジンとの取引が決まった後、数ヶ月以内には)そのうちのいくつかを公表できる」と説明する。

Click Forensics の目指すところは、テレビ広告を監視する Nielsen や、ラジオを評価する Arbitron と似たようなやり方で、中立的な PPC 報告サービスを確立することだ。 Cuthbert 氏によると、すべての主要検索エンジンにこの方針を採用するように働きかけている。同氏は、今年の終わりまでには、何らかの発表ができるはずだと感じているが、どの検索エンジンが受け入れ第1号となるのかについては、まったく触れていない。

結論

あからさまな窃盗がこれほどまでに PPC 広告に浸透しているとは、ただ驚くばかりだ。消費者は、預金の14%を“紛失した”銀行や、実際の使用料を“誤って”14%余分に請求した公益事業を決して利用しようとはしないだろう(実際そのようなことが起こったら、一部は返金するだろうが)。

すでに、広告はかろうじて採算が取れる程度だと感じている PPC 広告主も多い。クリック詐欺がこの先すこしでも増えていけば、広告主が検索エンジン広告から完全に撤退するということもありえる。

プラス思考をするならば、Click Forensics のクリック詐欺対策ネットワークなどが窃盗を止めさせることができれば、もっと有料広告クリックに資金を注ぎ込んでもいいと考える企業もでてくるかもしれない。これは、広告主のみならず検索エンジンにとってもいい話だ。

詳細については、 ClickForensics.com より入手できる。



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