Webビジネス2006年8月25日 09:00
文字サイズ文字サイズ小文字サイズ中文字サイズ大

ネトゲと Web2.0

この記事のURLhttp://japan.internet.com/busnews/20060825/27.html
著者:オンラインゲームビジネス研究チーム
国内internet.com発の記事
このコラムでは、実際のプレーヤーの立場から、オンラインゲームの実態を紹介していく。なお、このコラムで扱う「オンラインゲーム」は、主に MMORPG(大規模オンラインロールプレイングゲーム)であると理解していただきたい。また、プレーヤーの慣習に従い、オンラインゲームを「ネトゲ」と呼称する。

第1回となる今回は、japan.internet.com の読者諸氏には馴染みが深いと思われる「Web2.0」とネトゲの関わりについて考察してみよう。

● 攻略サイト2.0、その名は「Wiki」

ネトゲに限らず、攻略情報はゲームとは切り離せない存在となっている。もちろん、攻略情報を一切耳に入れることなくプレイすることも1つのスタイルだが、ある程度の攻略情報を使って、円滑にプレイしたいと考えるプレーヤーは多い。

Web1.0 の時代には、個人が運営する、いわゆる“ホームページ”が、ネット上で共有される攻略情報の中心となっていた。しかし個人の運営するサイトでは、流れが速いネトゲの攻略情報をフォローするには荷が重過ぎる。

もっと大きな問題がある。運営者自身のプレイ時間の問題だ。一般的な MMORPG においては、プレイ時間=経験値と言っても過言ではないほど、プレイ時間は貴重なものである。プレイをより楽しむための攻略サイト運営が、プレイ時間を奪うのでは本末転倒だ。

さらに、プレイ時間を削れば、攻略情報は掲示板などからの情報に頼らざるを得なくなり、サイトで提供する情報は運営者自身の生の情報ではなくなる。

このような背景もあり、現在、ネットゲーマーたちが好んで攻略サイトとして利用しているのが Wiki だ。

Wiki は、Web ブラウザでサイト上の情報を書き換えるシステム。誰もが情報を更新できるので、攻略情報更新の手間は分散され、個々のプレイ時間は十分に確保できる。また管理人は必ずしも上級プレーヤーである必要もない。

Wiki のシステムは、まさに攻略情報サイトにうってつけのシステムだった。現在では、ネトゲ/オフゲ(オフラインゲーム)にかかわらず、多くの「攻略 Wiki」が運営されている。中には Wiki のサーバーがダウンしていると「ゲームが進められない」という、攻略 Wiki 依存症のプレーヤーまで存在すると言う状況だ。

多対多のパブリッシングという意味で Web2.0 を捉えれば、ある意味では「ネトゲが Web2.0 を押し上げてきた」と言えるだろう。

● しかし Web1.0 からも離れられない

一方、一般的には Web1.0 とされるシステムも、ネトゲ攻略において現役で大いに利用されている。

「あるキャラクターに特定のアイテムを渡せば次のステップへ進める」といったような単純な攻略情報であればよいが、ストーリーを追うだけが MMORPG ではない。

ネトゲには「効率よくレベルアップする」「強くなる」といった攻略の方向がある。

典型的な MMORPG においては、オフラインゲームにおける「最後のボス」などの最終目的はない。MMORPG においては、キャラクターの育成やレアアイテムの収集などは重要な要素だ。これらの攻略には、根気強い検証と複数プレーヤーによる議論が必要だ。

たとえば、ゲーム内でアイテムを「生産」する際に、よりスペックの高いアイテムができる確率など、公開されていないマスクデータと呼ばれるような値を割り出すには、少しでも多くの検証データが重要とされる。

このような目的においては、情報交換や議論を重ねていくことが求められる。その際に Web2.0 のシステムを使おうとするならば、まず SNS のコミュニティが思い浮かぶ。

しかし、特定の人間しか利用できない SNS では、情報がどうしても不足する。不特定多数の意見が集まるのは、やはり昔ながらのオープンな掲示板をおいて他にはない。「自分はこうだった」「いや、自分の場合は違っていた」などという情報が少しでも多く必要なのだ。

検証作業には、Web2.0 の SNS よりも、一般には Web1.0 のシステムとされる掲示板が便利なのである。

もちろん、2ちゃんねるなどの匿名掲示板では誤報や虚偽の情報も存在する。嘘を嘘と見抜く“リアルスキル”を磨くのも、一流ネットゲーマーのたしなみだ。


Copyright 2008 Jupitermedia Corporation All Rights Reserved.http://www.internet.com/