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2006年12月8日 09:00

仮想世界のビジネスプラットフォーム「Second Life」、中で一体何が起こっているのか

もう一つ別の人生が楽しめたら――。そんな空想を実現するのが3Dオンラインコミュニティ「Second Life」である。もしかしたらバーチャルな自分の分身が、本物よりもリアルマネーを稼いでくるかもしれない。Second Life は今や単なるオンラインコミュニティにとどまらず、ビジネスプラットフォームの可能性も持ち合わせている。

「Second Life」Web サイト

12月7日には Second Life 内で活動するためのノウハウ習得を目指した講座も開かれた。これはデジタルハリウッド大学院が開講したもので、講師は同社 Second Life 研究室の大槻透世二氏が務めた。


Second Life とは何か
Second Life の運営会社は米国 Linden Lab。1999年に共有3Dエンターテイメントの新たな可能性を模索するべく設立された同社は、2002年10月に Second Life のβ版テストを開始、2003年6月には商用サービスを提供し始めた。すでに3年以上の時間が経過しているが、爆発的な盛り上がりを見せたのはここ最近のことである。

Alexa のデータからサイト訪問数の推移を見ると、2003年から2005年まではほぼ横ばいが続く。2006年初頭から徐々に伸び始め、現在では世界中で900万人が訪問。1年間で1,700%の増加だ。現在のユーザー数は約180万人といわれている。平均年齢は以外に高く34歳、男女比は男性6割、女性4割だ。

Second Life ユーザー数の推移
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Linden Lab の CTO である Cory Ondrejka 氏が語るところによれば、Second Life の3D空間は2006年9月時点でマンハッタンの3倍の広さ。そして3,500台のコンピューターで、3テラ FLOPS の処理を行い、3,000TBのデータをシミュレーションしているそうだ。サーバー維持のために2003年のサービス開始当初は月額14.95ドルの会費を集めていた。

現在も有料サービスはあるが、基本的には無料で利用できる。そのビジネスモデルは仮想世界の“島”を売るというものだ。256メートル四方の島一つあたり1,675ドル(約20万円)で、固定資産税として月に295ドル(約3万5,000円)が徴収される。一つの島が一台のサーバーとなっており、要はレンタルサーバー事業である。

では、ユーザーはこの仮想世界で何をするのか。とにかく自由度が高いが、大きく分ければ6つある。チャットなどによる他ユーザーとのコミュニケーション、3D空間の探検、ゲームや車の運転などのアトラクション、建物から小物まで世界を構成する3Dオブジェクトの作成、作成した製作物(スクリプトも含む)の売買、ゲームや不動産の所有・売買だ。なかでも Second Life 内で製作されたオブジェクトの著作権が、それを創り出したクリエイターに属するという点は、他の MMORPG には見られない特徴である。


ビジネスの可能性も広がる
最も注目されているのがビジネスとしての利用だ。180万ユーザーのうち約1万人が Second Life の中で何らかのビジネスを営んでおり、多い人で10万〜20万ドルを稼いでいるという。その職種は非常に多岐に渡り、アバター製作からプログラマー、アーティスト、メーカー、メディア、果てはウェディングプランナーまで揃う。仮想世界の中とはいえ特殊な能力を要するものもあり、リアルにおけるノウハウを引き継げる点も Second Life が支持される理由であるという。

多彩なビジネスの一覧
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先月にはついに初めてのミリオネアが誕生した。Second Life 内で Anshe Chung という名で活動する女性は、土地の売買などによって100万ドル以上を稼ぎ出した。2006年1月には Business Week 誌の表紙を飾り、“Second Life のロックフェラー”とも呼ばれているそうだ。

個人だけではなく、大手企業の参入も目立つ。

有名なのがロイター通信の例だ。同社は Second Life 支局を開設し、そこでニュースを発信している。ユーザーは「Reuters News Display」というツールを利用することにより、それをアバターに装着させたり、家の壁などに設置して、最新のニュースを閲覧することができる。

そうなると企業の記者会見も Second Life で公開してしまえばいい。こう考えたのが Sun Microsystems である。記者は自分の分身を送り込んで参加しなければならないが、チャット機能を使えば質疑応答も可能だ。これはフォーチュン500カンパニーとしては初めての試みだという。

自動車メーカーでは Nissan が派手に動いている。街に設置した看板に動画 CM を流し、さらに車の自動販売機とテストドライビングコースを用意して“7 Days in a Sentra”というキャンペーンを実施した。与えられたヒントをもとに4桁のコードを探し、それと引き換えに車を入手、最後は Sentra に乗り込んでテストドライブも楽しむことができる。

また、大学がコストをかけずにオンラインで講座を開く際に利用された例もある。ハーバード大学は一部の授業を Second Life 内で開講、動画はストリーミング再生された。

そのほか、バージニア州元市長の Marc Warner 氏は Second Life へ進出した初めての市長となり、Adidas は Second Life 支店で実際の新商品と同様のデザインのアイテムを先行発売して、マーケティング調査を行ったこともあるという。


ユーザーとしての楽しみ方
Second Life に参加するには、まず Web サイトからソフトウェアをダウンロードしてインストールしなければならない。 Windows 2000/XP、Mac OS X に対応するが、nVidia GeForce 2、GeForce 4mx以上、または ATI Radeon 8500、9250以上のビデオカードが必要だ。

今回の講座では、「サンドボックス」と呼ばれるスペースを使って簡単な操作説明が行われた。基本的には矢印キーで前後左右に移動する。PageUp で空を飛ぶこともでき、逆に PageDown を押せば下降できる。近場はこれらの方法によって移動する。

3DCG によるオブジェクトは、いくつかの基本図形を組み合わせて作成する。各種ツールやエフェクトが揃っており、「いかに少ない基本図形で複雑なオブジェクトを作れるかがクリエイターの腕の見せどころ」と大槻氏は語る。作った物体にはテクスチャーやスクリプトを貼り付けることができる。そういったアイテムは売っていたり、落ちていたりする。

作ったオブジェクトを右クリックするとその所有者と作者のプロフィールが表示される。マナーとして自分で作ったオブジェクトは放っておかずにきちんと処分しなければならない。必要な場合は自分専用の四次元ポケットとでも呼ぶべき「inventory(目録)」に保存、再度取り出すことができる。

周りに人がいる場合はチャット機能で会話することができる。ただし、これは他のユーザーにもその内容が見えてしまうため、特定のユーザーとのみコミュニケーションを取る際は IM 機能を使う。

授業でのデモ中にしつこく話しかけられた
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Second Life にはいくつかの人気スポットがある。検索すれば多くのユーザーが集まっている場所がすぐにわかる。「Apollo」というスポットはダンスで有名。ここにいるユーザーは皆、スクリプトによるダンスの動きを身にまとっている。このような特定の場所を友人などに伝える際には、X / Y / Z 軸からなる「SLurl」という座標を送信する。

Second Life の人気スポット「Apollo」
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現在、日本人ユーザーは4,000〜5,000人おり、日本人コミュニティ、日本人街なども存在する。例えば「NAGAYA」という場所は純和風の雰囲気だ。お寺や鳥居、和風の家屋などのオブジェクトが集まっている。

ゲームもシューティングから RPG、カジノ、ボードゲームまでさまざまなカテゴリが揃う。なかでもビンゴとテトリスを組み合わせた「TRINGO」というゲームはゲームボーイアドバンスでも発売され、その後 PC 向けにも移植されるほどの人気だ。RPG では Linden lab が開催したゲームコンテストで優秀賞を獲得した「Tech Warfare」や、島一つを丸ごと舞台にした「The Pot Healer Adventure」が有名。


日本語版は来年公開
Second Life 研究室の三淵啓自教授によれば、Second Life 日本語版の公開は来年にずれ込むとのこと。日本語版でも運営はこれまで通り Linden lab が行い、インターフェイスのみ日本語化される。

Linden Lab とデジタルハリウッドは、日本におけるサービスの普及と研究を目的として共同でセミナーや情報交換を行っている。同社はすでに Second Life におけるビジネスモデルのコンサルティング事業を展開しており、国内企業ともいくつか話が進んでいるという。

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