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2007年1月11日 09:00

検索エンジンが“理想像”に近づくために

筆者は時間に余裕がある時、以前書いたコラムのタイトルを検索窓にそのまま打ち込んでみることがある。それは何も自分が書いたコラムの掲載ページを探して検索しているわけではない。こうしてタイトル全文を Blog 検索サービスで検索することで、検索結果にコラムについて言及する Blog が並び、読者の反応を確認することができるからだ。

そのようにして読者の反応を見てみると、幸いにしてこれまでは肯定的な意見を多くいただけているのだが、時には否定的な意見も目にする。また、内容を曲解して受け取られているようで、意図がうまく伝わっていないこともある。そうした反応を見るにつけ、自身の考えの甘さや文章の未熟さを反省させられる毎日だ。

そして、つい先日も筆者は前回のコラム「検索業界はサーチ ディバイドをどう克服するのか」というタイトル全文を Blog 検索サービスで検索し、その反応を読んで反省させられた。

筆者の意図としては、自身を含めた検索業界全体への戒めの意味を込め、検索格差(サーチ ディバイド)を克服するためにはユーザーの努力も必要だが、検索業界がそれだけに頼って努力をおこたるようでは業界の成長は止まる、というものだった。

しかし、Blog による反応では、どうやら検索技術の進化だけにサーチ ディバイドの克服を託してしまうのは問題があるのではないかという意見が多く、「ユーザーの努力も必要だが」という部分がうまく受け止めてもらえなかったようだ。これは、ひとえに筆者の言葉足らずがもたらしたものなのだろうと反省させられる。そこで、今回は前回のコラムの補足説明をさせていただければと思う。

筆者が前回のコラムを書いたのは、実は検索を「車の運転」になぞらえて考えた結果だ。車が運転できれば、生活が便利になることは周知の事実だろう。しかし、車の運転にも上手下手があり、それを克服するためには個人の運転技能の向上が必須であることもまた事実である。特に車の場合は人の生死に関わる問題でもあるため、最低限必要な技能を身に付けない限りは、運転免許を取得できない。だからこそ、個人の努力は避けては通れない問題だ。

しかし、だからといって自動車産業はそうした個人の努力だけに甘んじることはなかった。技術革新や法整備などによって多くの問題を克服してきた。例えば、オートマチック車の開発やオートマ限定免許などはその最たるものだろう。また、車間維持支援システムや、現在研究が進んでいる自動運転システムなど、誰もが快適に運転ができるように自動車産業自体の努力がある。

検索業界もこうした自動車産業の姿勢を見習うべきだというのが、前回のコラムで言いたかったことだ。検索サービスはまだ誕生して間もないサービスであり、SEO スパムやサーチ ディバイドの問題など、克服すべき問題が存在している。こうした問題のツケをユーザー側に強いるのでは業界の発展は見込めず、むしろ産業自体が衰退しかねない。

検索サービスが大きな注目を集めている今こそ、それに浮かれることなく、検索ビジネスに関わるひとりひとりがあらためて気を引き締めて事業に取り組むべきだと思う。

先ごろ、トヨタ自動車が日本企業として初めて営業利益2兆円を突破する見通しだという報道があったが、このような成功の要因には、おそらく国内の自動車産業が長年取り組んできた努力によるところも大きいはずだ。

アメリカで聖書に次いで多くの人に幸福をもたらしたという古典的名著『ダイヤモンドを探せ』には次のような一節がある。

「あなたが人々の役に立った分だけ、人々はあなたにお金を支払うのです」

そうだとするなら、検索がどれだけ人々の役に立てるかに、今後の検索ビジネスの発展がかかっているといえるだろう。

なお、Google の共同設立者である Larry Page 氏によれば、完ぺきな検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致するものを返すものだという。つまり、検索業界が目指すべき到達点はまだまだ先にあるといえそうだ。

(執筆:R&Dグループ 市川伸一)


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