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Webビジネス2007年2月8日 09:00

Nike の事例に学ぶ顧客維持型 Web マーケティング

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iPod nano のホイールをクルクル回し、耳に白いイヤホンを挿し込み、おもむろに走り出すランナー。アップテンポな BGM にあわせて流れる「ワークアウトを開始しています……1キロに到達しました……」というナレーション。それにあわせて、ランナーは徐々に走るスピードを増していく。

そんなテレビ CM に見覚えはないだろうか。

このテレビ CM は、NikeApple がコラボレートして開発した「Nike+iPod Sport Kit」を宣伝するもの。さすがに、米国の権威あるビジネス雑誌『BisinessWeek』が発表した2006年の「世界のブランド トップ100」で31位と39位になった Nike と Apple が組んだ企画というだけあり、そのプロモーションはとてもハイセンスでスマートな印象だ。

ところで、なぜいきなりこのような話をしたかというと、企業の Web 戦略のあり方として、Nike の Web 戦略にはおそらく多くのマーケターの参考になるものがあると考えたからだ。そこで今回から数回に分け、Nike の革新的な取り組みについて、いくつかの事例を紹介したい。

まず、さきほど取りあげた「Nike+iPod Sport Kit」だが、この商品は物を売ればそれで終わりという単純なマーケティングではない。ここにも顧客のブランドロイヤルティを高めるために、Nike ならではの Web を活用した戦略が隠されている。Nike では「Nike+iPod Sport Kit」の購入者向けに「Nike+(ナイキプラス)」というサイトを用意し、ユーザーが iPod nano に蓄積したランニングのデータをパソコン経由でアップロードし、管理できるようにしている。

読者の方もおそらく買ったのに使わない商品というのをいくつかお持ちのことだろう。そうなると、消費者の商品に対する評価はどうなるのか。おそらく、必要ない商品を買った自分に責任があるにも関わらず、商品に対して「買ったけどあまり使えない商品」というレッテルを貼り付けてはいないだろうか。

つまり、「Nike+iPod Sport Kit」の専用サイト「Nike+」は、この「買ったけどあまり使えない商品」というレッテルを貼られないための仕掛けになっているわけだ。走行距離や速度、カロリー消費量、目標距離の達成状況などを Web でグラフィカルに表示し、仲間同士で走行距離などを競い合い、ユーザーのランニングデータをランキング形式で見せてくれる。それによって、ランニングという単調な日課を飽きずに楽しみながら継続できる。だからこそ商品を長く愛用してもらえ、企業や商品ブランドへのロイヤルティも高まるというわけだ。

この他にも「Nike+」のコンテンツを見ていただくとわかるが、Blog での情報提供や有名人の商品活用レポート、SNS の「mixi」内にコミュニティを開設し、ユーザー間の交流をうながすなど、多彩なコンテンツにあふれている。

とかく Web を活用したマーケティング活動というと、新規顧客開拓のためという発想を抱きがちだが、このように Web の特性を活かした既存顧客への One to One マーケティングを実施することで、企業と顧客の関係を維持し、強化するための働きかけをすることもできる。

すでに継続利用を前提とした転職情報サイトや EC サイトでは、以前から会員登録したユーザーがログインして使えるマイページを準備している。だが、おそらく Nike のようにメーカー企業が顧客との継続的な関係づくりのために Web を活用しているケースはまださほど多くはないはずだ。

では、こうした取り組みは SEM の視点から見るとどうだろうか。

今回のケースでは SEO の取り組みがいまひとつの印象を受けるが、こうした既存顧客へのコンテンツ作成という取り組みはとても意義あることだと思う。例えば商品名で検索をかけた際に、検索結果の1ページ目に新規顧客を対象とした商品紹介ページだけでなく、既存顧客向けの商品利用ページが表示されれば、それはメーカー企業にとっても消費者にとっても喜ばしいことだろう。

なぜなら、メーカー企業にとっては検索結果1ページ目の占有率を高め、自社公式サイトへの入り口を数多くもてることになる。一方、ユーザーにとっても、商品名で検索しただけで、商品情報やアフターサービス、販売サイトなど、自分の目的にあったコンテンツへの入り口が開いていれば、検索結果への満足度も高まる。商品名で検索するユーザーというのは、「商品を買いたい」という層だけでなく、「商品購入の検討材料として商品の詳しい情報が知りたい」、「商品は買ったが、使い方がわからない」など、多様な層が存在していると考えられるからだ。

メーカー企業とユーザーの長期的、かつ良好な関係づくりを維持するため、Web を有効活用するマーケティング手法はまだそれほど多く確立されていないが、これからは今回紹介した事例をヒントに少し考えてみるのもいいのではないかと思う。

(執筆:AM グループ 長島徹弥)


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