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Webビジネス2007年4月12日 09:00

SEM で演出する幸せな偶然の出会い

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2007年3月12日、日本テレビ系全国ネットで「セレンディップの奇跡」というオムニバスドラマが放映された。その数日前、筆者は偶然にもインタビュー記事で、「セレンディピティ」(serendipity)という馴染みのない言葉を見かけたばかりだったので、この言葉にちょっとだけ運命的なものを感じた。

何しろ「セレンディピティ」とは、ドラマの公式サイトによれば、「ふとした偶然をきっかけに、幸せをつかむこと」とある。ドラマのキャッチコピーも「奇跡が偶然に舞い降りるとき、幸せのストーリーがはじまる」というものだ。

もしかしたら、筆者にとってこの言葉との出会いこそが、「幸せな偶然の出会い」なのかもしれない。そんな風に、ふと考えてしまったわけだ。

そこで、自分なりにこの言葉について調べてみた。すると、本来「セレンディピティ」とは、単に「幸せな偶然の出会い」という意味だけではなく、「何かを探しているときに偶然にも別のものに対して価値を見つける能力・才能」を指す言葉だという。

前出のインタビュー記事では、某大手企業のマーケティング担当者が、新聞広告の価値を表したコメント内でこの言葉が登場している。新聞のようにターゲティングされていないマス媒体に広告を出すことは、認知や新しい発見として効果がある、という内容を「セレンディピティ」という言葉でまとめていたものだった。

確かにインパクトの大きい新聞の全面広告などを目にすると、電化製品であれ化粧品であれ、新聞を読んでいる誰にでも目に入りやすく、そもそも顕在的な欲求がなかった人の興味・関心を喚起しやすいのは理解できる。

では、ターゲティングされた SEM(検索エンジンマーケティング)では、消費者の「セレンディピティ」、つまりは「幸せな偶然の出会いを見つける能力・才能」を手助けすることは難しいのだろうか。筆者はこの言葉との出会いをきっかけに、そんなことを少しばかり考えてみた。

SEM はご存知のとおり、検索エンジンに対して興味・関心がある文字列を検索したユーザーを、効果的にターゲティングして自社サイトへ誘導する手法である。つまり、消費者の顕在化した欲求をつかむものなので、潜在的なユーザーの欲求をつかんだり、潜在的な欲求を顕在化させたりすることは難しい。

では、どうすればマス広告同様、SEM を活用して消費者が意図していない情報から価値を見出してもらうことができるのだろうか。

例えば、自分が春から新しい習い事をしたい時に、まだ具体的にどのような習い事があるのかも分からない場合、まず「習い事」などという漠然としたキーワードで検索してみることは十分に有り得る話だ。

そうした時、実際に現時点での検索結果には、茶道や英会話、ネイル学校、劇団、カラーセラピー、紅茶教室、乗馬、弦楽器、ジュエリー関連など、さまざまな広告が表示される。なぜなら、こうした選択肢のなかから興味のあるサイトへユーザーが訪問することが考えられるからだ。

このようにユーザーの検索行動を把握した上で広告を出稿するキーワードを選べば、ある程度ターゲティングされた世界にある SEM でも十分に検索ユーザーの「セレンディピティ」を演出できるのではないだろうか。

さらにもうひとつ具体的な事例を紹介しよう。

「レーシック」という視力回復手術があるが、このキーワードで眼科クリニックが広告を出稿した場合、そこでサイトへ呼び込めるユーザーは「レーシック」という医療行為にすでに関心をもっているユーザーだ。

しかし、なかには「メガネ」というキーワードで広告を出稿し、「レーシック」のページへ誘導を試みている眼科クリニックも存在する。なぜなら、「メガネ」というキーワードは、かなりの確度で視力が悪い人が検索していることが想定されるキーワードだからだ。この場合、検索ユーザーにとって「レーシック」の広告を目にすることが、「セレンディピティ」のキッカケになる可能性があると考えたわけだ。

ただし、注意すべきはこうしたケースでは、ただ「セレンディピティ」を誘発するキーワードに広告を出稿しただけでは広告主の身勝手と受け取られるケースがある。広告主のサービスとキーワードの関連性が遠くなれば遠くなるほど当然クリックはされにくくなる。そこで、タイトル・説明文で、「探しているものとは違うが、こちらにも価値がある」と気付かせるだけの説得力が必要になるだろう。

つまり、SEM でユーザーの「セレンディピティ」を手助けするためには、いかに検索意図を読み解き、ユーザーが気付いていなかった別の価値あるものとの幸せな偶然の出会いを演出できるかが問われているといえる。

こうしたことができれば、一見マス広告とは違って「セレンディピティ」が発揮しにくいと考えられる SEM でも、ユーザーの興味がある世界を起点に、似ているが少し離れた世界に導くことができるのではないだろうか。

(執筆:営業本部 AE チーム 小池美香)




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