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2009年7月4日
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Webビジネス2007年5月17日 12:00

インターネットはからっぽの洞窟だったのか

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『いまや世をあげてのインターネット大ブーム。猫も杓子もネットサーフィンできなきゃ時代に遅れると強迫観念まがいの狂乱ぶり。「ちょっと待ってほしい!」と異議をとなえるのがこの本。たしかにインターネットには素晴らしい面がある。だが、いま世間に喧伝されているのは、あまりにも誇張された物語ばかりだ。インターネットで仕事が変わり、社会が変わり、世界が変わる―でも、本当にそうなんだろうか?』

これは1997年1月に国内で初版本が出版され、話題を呼んだ『インターネットはからっぽの洞窟』(草思社刊)という本のカバーに書かれた一節だ。タイトルを見てすぐにピンときた方はかなり古くからインターネットに慣れ親しんでいる方ではないだろうか。

もちろん10年前の本だから、Blog も SNS も、動画共有サイトについての記述もない。そして、残念ながら検索エンジンマーケティングの話はおろか、Yahoo! や Google など現在主流となっている検索サービスに関する記述も一切見られない(Google の創立は1998年9月だから、当然と言えば当然だ)。

しかし、前出の一節をお読みになってもわかるように、インターネット過信論に対する警鐘本として今でも十分に参考にできる点は多く、非常に示唆に富んだ本である。

ところで、今さらなぜこんな古い本の話を引っ張り出すのだろう、多くの方がそう感じたのではないだろうか。実は、筆者はふとしたことからこの本の存在を思い出し、最近になってあらためて読み返してみたというわけだ。

その真意は、果たして本の出版から10年の歳月が過ぎ、この本が言うように、本当にインターネットはからっぽの洞窟だったのか、それとも予想を裏切り素晴らしいものになっているのか、それが知りたくなったという理由からだった。

結論から言って、筆者はインターネットはからっぽの洞窟だと感じたかと言えば、決してそんなことはなかった。

もちろん、インターネットが当時も今も過剰に喧伝されている面は否定しないが、それでもインターネットは人々の生活の利便性を飛躍的に向上させたし、新たなビジネスモデルを生み出すなど、十分に期待に応えるだけの貢献はしているのではないかと思う。そして、この本を読んで、そうしたプラスの側面を引き出した革新技術のひとつが「検索」ではないだろうかとも感じた。

本の中で著者のクリフォード・ストール氏はインターネットにあふれる情報について、「誰も彼もが投稿しているから、何を読むにもまずはゴミの山をかきわけなければならない。まるで出版社の持ち込み原稿入れのようだ。いまのインターネットに必要なのはちゃんとした編集者なのだと思う」と書いている。

ある意味、この編集者こそが現在の検索サービスにあたるのかもしれない。なにしろ、ユーザーが検索窓にキーワードを入力するだけで、検索エンジンがゴミの山をかきわける作業を手伝い、必要な情報にたどり着くフィルタリング装置としての役目を果たしてくれるのだから。

当然、そのフィルタリング機能もまだ完璧とは言えない。しかし、現代人が1日でさらされる情報量は、江戸時代の人が触れる一生の情報量に匹敵するというぐらい情報過多の現代、こうしたインターネットという情報の集積地も検索というフィルタリング機能がなければ、人間にとっては決して効率的な情報収集の場にはなり得なかっただろう。

それは大型の EC サイトなどを見てもわかる。例えば、ロングテールの象徴として語られる Amazon だが、そのロングテールを支えているものこそ検索機能だろう。現在、「Amazon.co.jp」の取扱い商品数は数1,000万点と言われるが、そのなかから消費者が本当に欲しい商品を探し出すために、検索機能がなければただ商品数が多く、目的の商品を探しにくいサイトになるだけだ。

つまり、インターネットにしろ EC サイトにしろ、ただ情報量や商品数が多いだけでは意味がなく、検索機能があってこそはじめて人間にとって価値あるものになるわけだ。

実際、不思議なもので、EC サイトの代表格として知られる Amazon は「A9」という検索サイトを運営し、国内でも楽天が「Infoseek」という検索サイトを運営している。これは、決して偶然の成り行きではないだろう。

両社ともに、ネットビジネスの成否を分けるのに、「検索」という技術がとても重要な役割を果たすものだという認識があるはずだ。そして、こうした考えを一般の人も意識的に、または無意識に感じ取っているからこそ、最近では Yahoo! や Google といった検索サービスの提供会社が大きな注目を集めている。

また、経済産業省主導による産学官連携での国産検索エンジン開発計画「情報大航海プロジェクト」や、フランス政府の「Quero(クエロ)」、ドイツ政府の「Theseus(テセウス)」、欧州連合(EU)の「Pharos(ファロス)」など、検索エンジン開発に国家が関与するという動きも検索という技術がいかに重要なものとして捉えられているかを物語る最新の動向と言えるだろう。

(執筆:R&Dグループ 市川伸一)




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