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2007年5月31日 10:00

個人に語りかける個告というコミュニケーション

大手 PR 会社の社長が書いた『PR 会社の時代』には、現在のプロモーション戦略について、とても的を射た意見が書かれている。

『高度成長期はすでに終わり、市場、消費者が成熟してきた現代にあって、もはや周知だけでは購買(消費)にはつながらない。今の消費者は、広告というものが企業から発信される情報であることをよく知っている。どんなに「おいしいお茶ですよ」「すばらしい車ですよ」と宣伝されても、「それはあくまで広告」という思いを少なからず持っている。もちろん例外もあるだろうが、消費者が広告を「うのみ」にしないという傾向は確実に強まっている。』

まさに、正論という感じだ。旧来型の広告プロモーションだけでは商品・サービスなどは売れない時代になっている。だからこそ、今の時代は新しいプロモーション手法が求められている。例えば、PR(広報活動)やクチコミ マーケティングなどの非広告プロモーションが近年注目を集めているのもそのためだろう。

ところで、なぜ非広告プロモーションは効果が高いのだろうか。前述の『PR 会社の時代』と重なる部分もあるが、クチコミ マーケティングについて書かれた『バズ・マーケティング』という本には、以下のような一節がある。

『広告がある製品を買ってくれと勧めているとき、それにはバイアスがかかっていることを――その広告は特定の製品を擁護するものであることを――われわれは知っている。ところが、友人や家族からすばらしい製品のことを聞くと、われわれはそれを信じる。』

つまり、現在の消費者は情報についてかなり鋭敏な感覚をもち、企業がお金を払って露出する情報には、減点評価が下されているということではないだろうか。

実際、効果が高いといわれる検索連動型広告でさえ、オーガニックサーチ(検索エンジンのアルゴリズムによって判定される、広告を含まない検索のこと)の表示箇所にはクリック率という点ではかなわない。

2007年1月にインターネットコムと goo リサーチが行った調査によれば、検索結果に広告が表示されていることは、すでにユーザーの9割が認知しているというから、一般のユーザーからしたら、検索連動型広告は「それはあくまで広告」としか見られていないのかもしれない。

ただし、上記の調査結果を見ると、一方で首をひねりたくなる事実も見えてくる。それは、広告であることを知りつつ、なぜかユーザーの半数以上が検索連動型広告をクリックしたことがあると回答しているのだ。なぜこのようなことが起きるのか。

それは、検索連動型広告は、マス(大衆)に対して一律に同じメッセージを伝える広告とは異なったものだからだ。

インターネットの双方向性とカスタマイズ性という強みを活かし、ユーザーが検索したキーワードによってターゲティングが行なわれていることにより、検索連動型広告は広告と呼ばれつつも、「それはあくまで広告」という冷めた眼で見られずに済むわけだ。

外資系広告代理店の元副社長が書いた『チーム・キットカットのきっと勝つマーケティング』には、広告に関しておもしろい記述がある。

『広告は広告という特別なジャンルではなく、コミュニケーションの一部。人とどう話すか、人のことをどう聞くか、その人にどう印象を残すか、そしてその人にいっぱい好かれるか。これが広告コミュニケーション。広告は広く告げることではなく、個人に語りかける、つまり個告。』

このように考えると、広告を届ける対象をユーザーの検索キーワードによって絞り込む検索連動型広告は、広告というよりも、より個告に近いものではないだろうか。

筆者は、マス(大衆)に対して一律に同じメッセージを伝える広告も、まったく無意味だとは思わない。

しかし、こうした情報を広く告げる手法と、必要な人に必要なタイミングで情報を提供する手法を一律で考えるのではなく、その使い分けを考えないと、これからの時代に即した効果的なプロモーションのあり方は見えてこないのではないだろうかと思う。

(執筆:R&D グループ 倉持剛志)


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