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Webビジネス2007年8月6日 12:00

コンシューマーの心の扉を開く「鍵」〜クロスメディア戦略のポイントをさぐる

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検索窓とキーワード、そして「検索」ボタンをクリックするマウスポインターが現れる…、そんな TV CM を1日に何度も目にする。プライムタイムに流れるナショナルクライアントのスポット CM だけではなく、今や地方でしか放送されないローカル CM でも、キーワードと検索エンジンを利用して Web サイトへ誘導する手法が多く取り入れられている。

こういった手法をマーケティングの「クロスメディア戦略」だと思っている担当者の方も多いのではないだろうか。しかし、クロスメディアという考え方を、マスメディアからインタラクティブメディアへ誘導する手法でとどまらせておくのはもったいない。

マスメディアからインタラクティブメディアだけではないクロスメディア

クロスメディア戦略というと、マスメディアからインタラクティブメディアへ誘導する戦略と考えられがちであるが、必ずしも着地点がインタラクティブメディアである必要はない。逆に、Web からリアルな店舗へ誘導する戦略を考えてもいいだろう。または、マスメディアから Web へ、そしてリアルな店舗へ…と、ユーザーを誘導し、企業にとって売りたいサービスや製品、ブランドに関してユーザーにさまざまな経験をさせることで、購買だけではなくロイヤリティをもった顧客へと育成できる可能性がある。

クロスメディア戦略のファーストステップ

クロスメディア戦略では、マスメディアやインタラクティブメディアなどメディアの垣根を取り払い、一貫したメッセージやキーワード、クリエイティブイメージでプランニングを行う。

ここでまず重要なのは、ユーザーへの最初の接触、ファーストコンタクトをするのはどこかということである。クロスメディア戦略では、メディアの種類を問わない。立案したマーケティング戦略での目標を達成するために最適なメディアを選択することになる。見込み顧客を取り込みたい場合は幅広く伝達できるメディア、最終的な購買行動まで誘導したい場合は、雑誌や専門チャンネルなど、最初に特定のターゲット層に絞って伝達することによって、戦略の最初のステップでより高い効果を期待できる。

重要なのはメディア選択だけではない。最初のステップでターゲットするコンシューマーに対して何らかの仕掛けを見せることである。マーケティング戦略での目標を達成するために、彼らにどういった行動を取って欲しいのかを明確にして、最初のコンタクトとなるメディアでの広告で、それを誘導するための仕掛けを設ける。検索窓とキーワードを表示させて「検索」ボタンをクリックというクリエイティブも、その仕掛けの1つである。しかし、今ではどこでもやっているありふれた手法となっているので、もっとユーザーの興味を喚起させる、あるいはユーザーに行動を起こさせるような仕掛けを考える必要がある。

SEM クロスメディア戦略でのキーワード選び

クロスメディア戦略に SEM を取り入れるなら、キーワード選びも重要な要素である。コンシューマーとのファーストコンタクトとなるメディアで、どのようなキーワードを露出するかによって、見込み客が Web サイトへアクセスしてくれるかだけではなく、そのキーワード、ひいてはその商品やサービスを認知してくれるかということに影響を及ぼしてくる。

キャンペーンやマーケティング予算や、検索エンジン広告のキーワード単価、あるいは SEO の難易度なども関わってくるのでキーワード選びは重要な上に、非常に難しい要素の1つでもある。いわゆる造語や、ユニークな商品・サービス名、キャッチコピーの一部などを検索語として提示すれば、比較的キーワード単価も安く抑えられ、SEO 対策も容易であろう。しかし、「果たしてユーザーはそのキーワードで検索してくれるか?」ということも考えた上でキーワード選択しなければならない。

例えば、以下の点についてである。

・そのキーワードはユーザーにとって認知しやすいか?
・そのキーワードは想起しやすいか?
・そのキーワードは入力しやすいか?
・そのキーワードが露出されるクリエイティブが喚起するユーザーの関心・欲求と、そのキーワードは深い関連が見られるか?

ある TV CM において、キーワードがカタカナの複数ワードのものがあった(例:○○○○ 半角スペース ○○○)。このキーワードを Google で検索した場合、カタカナでは、当然、アドワーズ広告でもオーガニックサーチでも上位表示されていた。

しかし、同じキーワードなのに、ひらがなで検索すると、アドワーズ広告では表示されているが、オーガニックサーチでは1ページ目にさえ表示されない。この検索語句がユーザーにとって認知しやすいか、想起しやすいかは実際に検証していないので想像の域を出ない。ただ、試しにオーバーチュアのキーワードツールで調査したところ、実際に OA されていた頃の月間検索数でさえ、そんなに多いとは言えなかった。むしろ、この CM で取り扱っているブランド名のほうが月間検索数がはるかに多かった。

この例では、検索語句はキャッチフレーズの一部でしかなかった。この語句が、ユーザーの関心や欲求を喚起する力を持っているか、このキーワードが、クロスメディア戦略における SEM での役割を十分果たしていたかどうかは疑問を持った。

また、クロスメディア戦略に SEM を取り入れるなら、キーワード選びも重要な要素であると述べたが、キーワードを露出しなくてもいいのではないかと思うこともある。つまり、秀逸なクリエイティブでユーザーの欲求を喚起したり、ブランド認知させられるだけの力があるのであれば、キーワードと検索窓といった見慣れてしまった表現などむしろ不要な場合もある。

特殊なキャンペーンであれば、この場合に該当しないが、商品やサービス、ブランドなどにクロスメディア戦略を長期的に導入するならば、SEM では、ファーストコンタクトとなるメディアのクリエイティブに沿ったランディングページを用意し、商品やサービス名、ブランド名での対策に重点を置けばいい。

様々な可能性をもったクロスメディア戦略

企業の Web サイトが増えてきて、インターネットでの広告やマーケティング コミュニケーションが盛んになり始めた頃、TV CM や新聞広告、雑誌広告など、あらゆるメディアの広告では Web サイトの URL を記載することが当たり前になっていった。ユーザーがブラウザで URL を直打ちしてアクセスしやすいように、分かりやすい URL を心がけ、ほんの数秒しか表示されない TV CM でも認知されるような URL を考えていた時代もあった。

今では、URL から「キーワード」となった。「キーワード」は、文字通り、コンシューマーが Web サイトへアクセスしようとする心の扉をあける「鍵(=key)」である。彼らの心の扉と鍵が合わなければ、無理やりこじ開けようとしても、開かないのである。

どのようなユーザーに伝えたいのか、ユーザーとのファーストコンタクトはどこか、そこで何を伝えるか、ユーザーに何をさせたいのか、マーケティング目標が明確であれば、容易ではないにしろ、これらの回答も出てくるであろう。コンシューマーたちの心を開くには、どんな「鍵」が必要なのか、Web サイトへアクセスしてくれる道のりはどのような地図を描いたらよいのか、その「鍵」と「地図」はどこへ置いておくべきなのか…。

クロスメディア戦略では、メディアの種類を問わない。マーケティング目標を実現するためのシナリオと、仕掛け作りをどうするかによって、単に、検索語句と検索窓を表示した広告だけではない、大きな可能性を持っているマーケティング手法である。

(株式会社ファンサイド AG SEM スペシャリスト zai)

記事提供:ファンサイド AG

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