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IM が変える未来のコミュニケーション
■ Web 2.0サービスに見るインスタントメッセンジャー
前回まで、コンシューマ用として生まれたインスタントメッセンジャー(IM)がビジネスコミュニケーションを迅速かつ円滑に進めるリアルタイムツールとしても評価され、企業での導入が進みつつあるということを見てきた。
連載の最後となる今回は、仕事を離れて、つまり企業向け IM を開発している企業の責任者としてではなく、コミュニケーションのパラダイムシフトを体験してきたユーザーのひとりとして、私が考えるこれからの社会を綴ってみたいと思う。
さて、Web の新しい形を表現した「Web 2.0」という言葉が使われるようになって久しいが、Web 2.0 に分類されるであろう最近のコンシューマ向けのサービスを眺めてみると、実に IM 的な機能を取り込んだものが多いことに気づかされる。
インターネット上に三次元の仮想空間を構築した「Second Life」には、近くにいる人と話をしたり広場で立ち話ができるチャット機能などがついている。
ほかに、今自分がしていることをショートメッセージで交わす「Twitter」や「Haru.fm」のような、Web を使ったリアルタイムコミュニケーションサービスが始まっている。今の自分の状態(プレゼンス)をひとことメッセージ(インスタントメッセージ)で書くわけだから、広義の IM と解釈できないこともない。
■ インスタントメッセンジャーは BtoC へ
2000年頃に登場した Blog は、個人の日記を脱して今やビジネス Blog という分野を生み出し、社長や広報担当者が日々の出来事を書くことで企業のイメージや戦略を外に伝えるという重要なマーケティングツールへと変化した。
IM も、もうすぐ企業とユーザーを結ぶコミュニケーションツールとして活用が始まっていくだろう。ヘルプデスク、セミナーや Web や PC を活用した遠隔指導、アンケートや市場調査、コンシェルジュ的な調べ物サービス、診療やカウンセリングなど、アイディアはいろいろと浮かぶ。すでに、友達同士でチャットを楽しみながら買い物ができる3D ショッピングモール「WWCITY」というサービスも始まっている(弊社も開発に携わった)。
携帯電話の GPS 機能を使った児童生徒の位置確認サービスや、一人暮らしをしているお年寄りを対象として、たとえば電気ポットやガスの利用状況を離れた家族に通知するサービスなども、広い意味でのプレゼンス機能をビジネスに取り込んだサービスと言えるだろう。
eラーニングの世界では、授業の動画をインターネットで流しながら、IM を使って質問や意見をリアルタイムに交換できる仕組みを取り入れている学校がすでにある。
■ 「メディアはメッセージ」が示す意味
すべての人は、家族、友人、趣味の仲間、仕事相手といったなんらかのグループに所属し、それぞれでコミュニケーションを図っている。電子メールやソーシャルネットワーク(SNS)を使う背景には、自分ことを相手に知ってもらいたいという欲求と、相手を理解したいという欲求とがある。ここにコミュニケーションが生まれ、メディアが必要となってくる。
英文学者の Marshall McLuhan 氏は、「メディアはメッセージである」という有名な言葉を残した。メディアは情報の単なる媒体ではなく、メディアの新たな尺度が人間の思考様式や生活様式を変えるという考え方である。実際に、インターネットの普及によって私たちの思考様式も価値観も大きく変わった。
最近の私はインターネットを中心に情報を集めながら PC を使って原稿を書くことがほとんどである。自分の記憶ではなく、いわば「外部メモリ」に依存しているわけだ。本を調べることも少なくなった。Google にキーワードを適当に放り込めば膨大な答えが瞬時に返ってくる。
普段の生活もずいぶん変わった。携帯電話のない少し前までは、待ち合わせをするときには場所と時間を正確に指定したものだった。メールの普及で今では手紙を書くこともほとんどなくなった。
仕事の進め方も大きく変わった。以前なら会議が終わったあとで紙のノートを見ながら議事録をまとめていたものだ。今は打ち合わせをしながらノート PC に要点を入力して、あとはメールで送れば終わりである。
その意味で、リアルタイム性やプレゼンス機能を備えた IM というメディアが私たちの生活スタイルや仕事のスタイルをこれからどのように変えていくのか、個人的には大変興味がある。
■ 新たなコミュニケーションツールが未来を創る
本稿では、これまでの連載とは少し離れて、コミュニケーションそのものにまで触れてみた。コミュニケーションの変遷とともに人々の価値観が変化してきたことがお分かりいただけたと思うし、また、読者それぞれが実体験として理解されていることだろう。
新しいコミュニケーションツールの出現は、技術を加速させ、私たちの意識や生活スタイルを変え、新たなビジネスを生み出す原動力となる。
高度にデジタル化した社会は私たちの生活を便利にしてくれた。ただ、本当の意味で私たちが豊かになったかどうかは分からない。そのような新しいツールを前提として社会が構築されると、ツールを使える者と使えない者との間に情報格差(デジタルデバイド)が生じる。ツールが使えないことで条件のよい仕事に就けなければ所得格差すら生む恐れすらある。
しかし、デジタルが当たり前の若い世代はそんなことは気にせずに、新しいツールを臆することなく使いこなしトレンドを形作っていく。個人の利用はビジネスへと拡大する。新しいツールが登場するたびにセキュリティ問題などが指摘されるが、いずれ技術が解決してくれる。それよりも人々の価値観や社会のあり方が変わっていくことのほうが重要だ。企業は追随していかなければならないのである。もう後戻りはできない。
私のいる Qript では、IM にそのような可能性があると考えて、企業向けのメッセンジャーを開発している。私自身、これからも社会の変化を謙虚に吸収しながら、コミュニケーションのひとつの形を提案していけたら嬉しいと思っている。
前回まで、コンシューマ用として生まれたインスタントメッセンジャー(IM)がビジネスコミュニケーションを迅速かつ円滑に進めるリアルタイムツールとしても評価され、企業での導入が進みつつあるということを見てきた。
連載の最後となる今回は、仕事を離れて、つまり企業向け IM を開発している企業の責任者としてではなく、コミュニケーションのパラダイムシフトを体験してきたユーザーのひとりとして、私が考えるこれからの社会を綴ってみたいと思う。
さて、Web の新しい形を表現した「Web 2.0」という言葉が使われるようになって久しいが、Web 2.0 に分類されるであろう最近のコンシューマ向けのサービスを眺めてみると、実に IM 的な機能を取り込んだものが多いことに気づかされる。
インターネット上に三次元の仮想空間を構築した「Second Life」には、近くにいる人と話をしたり広場で立ち話ができるチャット機能などがついている。
ほかに、今自分がしていることをショートメッセージで交わす「Twitter」や「Haru.fm」のような、Web を使ったリアルタイムコミュニケーションサービスが始まっている。今の自分の状態(プレゼンス)をひとことメッセージ(インスタントメッセージ)で書くわけだから、広義の IM と解釈できないこともない。
■ インスタントメッセンジャーは BtoC へ
2000年頃に登場した Blog は、個人の日記を脱して今やビジネス Blog という分野を生み出し、社長や広報担当者が日々の出来事を書くことで企業のイメージや戦略を外に伝えるという重要なマーケティングツールへと変化した。
IM も、もうすぐ企業とユーザーを結ぶコミュニケーションツールとして活用が始まっていくだろう。ヘルプデスク、セミナーや Web や PC を活用した遠隔指導、アンケートや市場調査、コンシェルジュ的な調べ物サービス、診療やカウンセリングなど、アイディアはいろいろと浮かぶ。すでに、友達同士でチャットを楽しみながら買い物ができる3D ショッピングモール「WWCITY」というサービスも始まっている(弊社も開発に携わった)。
携帯電話の GPS 機能を使った児童生徒の位置確認サービスや、一人暮らしをしているお年寄りを対象として、たとえば電気ポットやガスの利用状況を離れた家族に通知するサービスなども、広い意味でのプレゼンス機能をビジネスに取り込んだサービスと言えるだろう。
eラーニングの世界では、授業の動画をインターネットで流しながら、IM を使って質問や意見をリアルタイムに交換できる仕組みを取り入れている学校がすでにある。
■ 「メディアはメッセージ」が示す意味
すべての人は、家族、友人、趣味の仲間、仕事相手といったなんらかのグループに所属し、それぞれでコミュニケーションを図っている。電子メールやソーシャルネットワーク(SNS)を使う背景には、自分ことを相手に知ってもらいたいという欲求と、相手を理解したいという欲求とがある。ここにコミュニケーションが生まれ、メディアが必要となってくる。
英文学者の Marshall McLuhan 氏は、「メディアはメッセージである」という有名な言葉を残した。メディアは情報の単なる媒体ではなく、メディアの新たな尺度が人間の思考様式や生活様式を変えるという考え方である。実際に、インターネットの普及によって私たちの思考様式も価値観も大きく変わった。
最近の私はインターネットを中心に情報を集めながら PC を使って原稿を書くことがほとんどである。自分の記憶ではなく、いわば「外部メモリ」に依存しているわけだ。本を調べることも少なくなった。Google にキーワードを適当に放り込めば膨大な答えが瞬時に返ってくる。
普段の生活もずいぶん変わった。携帯電話のない少し前までは、待ち合わせをするときには場所と時間を正確に指定したものだった。メールの普及で今では手紙を書くこともほとんどなくなった。
仕事の進め方も大きく変わった。以前なら会議が終わったあとで紙のノートを見ながら議事録をまとめていたものだ。今は打ち合わせをしながらノート PC に要点を入力して、あとはメールで送れば終わりである。
その意味で、リアルタイム性やプレゼンス機能を備えた IM というメディアが私たちの生活スタイルや仕事のスタイルをこれからどのように変えていくのか、個人的には大変興味がある。
■ 新たなコミュニケーションツールが未来を創る
本稿では、これまでの連載とは少し離れて、コミュニケーションそのものにまで触れてみた。コミュニケーションの変遷とともに人々の価値観が変化してきたことがお分かりいただけたと思うし、また、読者それぞれが実体験として理解されていることだろう。
新しいコミュニケーションツールの出現は、技術を加速させ、私たちの意識や生活スタイルを変え、新たなビジネスを生み出す原動力となる。
高度にデジタル化した社会は私たちの生活を便利にしてくれた。ただ、本当の意味で私たちが豊かになったかどうかは分からない。そのような新しいツールを前提として社会が構築されると、ツールを使える者と使えない者との間に情報格差(デジタルデバイド)が生じる。ツールが使えないことで条件のよい仕事に就けなければ所得格差すら生む恐れすらある。
しかし、デジタルが当たり前の若い世代はそんなことは気にせずに、新しいツールを臆することなく使いこなしトレンドを形作っていく。個人の利用はビジネスへと拡大する。新しいツールが登場するたびにセキュリティ問題などが指摘されるが、いずれ技術が解決してくれる。それよりも人々の価値観や社会のあり方が変わっていくことのほうが重要だ。企業は追随していかなければならないのである。もう後戻りはできない。
私のいる Qript では、IM にそのような可能性があると考えて、企業向けのメッセンジャーを開発している。私自身、これからも社会の変化を謙虚に吸収しながら、コミュニケーションのひとつの形を提案していけたら嬉しいと思っている。
記事提供:株式会社 Qript
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