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2007年12月18日 09:00

LPO(ランディングページ最適化)の迷宮

「森の奥深くで木が倒れた時、誰も居なかったら倒れる音は存在するか?」という有名な哲学の問いがある。広告の世界では自明の理であるが、誰も居なかったら、誰も見ていなかったら、誰にも伝わらなかったら、その存在は無にひとしい。もちろん、上の哲学問答は「存在」への懐疑であり、広告は「誰か居る」事を前提としているから比較対象ではない。そこに誰も居なかったら広告出稿の意味が無いから、上の問いがすでに無意味。広告は明快である。

自明の理の筈なのだが、LPO(ランディングページ最適化)のチューニングを続けていると、他者の存在を前提としている筈の LPO なのに、ユーザー不在の検証を重ねているケースが多くの企業で見られる。

◆ LPO の検証パターン
LPO で細部の最適化に取り組む場合、シンプルに手作業で行う A/B テストや、LPO ツールを利用した多変量解析などが挙げられるが、どのような検証ツールを利用している場合でも、まずは大枠のデザインを攻め、メインキャッチなどで攻め、細部の訴求ポイントで攻めるなど、検証ポイントは何パターンかに絞られてくる。

ところが、長期間に渡って検証を繰り返している LPO などになると、検証を積み重ねてきた最強 LP に残されている僅かな隙間を狙った最適化へ移行していくケースが多い。一つずつ検証を積み重ねてきた結果、どの石を一つ変えても崩れ落ちるのではないか、コンバージョンがガタ落ちするのではないかという恐怖で、中々次の一歩へ踏み出せないという現象が起きる。

◆制作側の追及
LPO の提案側もクライアントサイドも高度にプロフェッショナル化され、素人には考えつかない検証に検証を重ねる姿勢になった辺りからが危険である。何年も同じ LP の検証をしているような場合は、自分達の閉じた世界に入ってしまう事がある。

自分達が精魂込めて、細部まで入念に築き上げた西洋建築の石組みのような LPO を磨きあげるために、屋根の端に置いた小石の数を2個にするか3個にするか細かい検証を始めたくなる。その誘惑は分かる。だが、ちょっと待ってほしい。

◆ LPO の基本3ポイント
LPO の勝負所は、情報が伝わるか否か、伝わった情報がユーザーに刺さったか否か、刺さった情報がその場でユーザーに行動を起こさせるだけ強かったか否か、という三点に集約される。実はそれだけであって、それ以上でも以下でもない。この大局を忘れてはならない。

◆検証の迷宮
デザインと訴求がバラバラの状態で、全てを入れ替えて試したからといって、誰も気づかなかった最強 LP が生まれるとは限らない。さらに言えば、異なったデザインに入れ替える際にデザインの効果も検証すべきだとして、上のデザインはダンディでシックなAを使い下のデザインはポップでファンシーなBを使うというような、ロジカルな検証ではあるがバランス感覚を欠いたトライアルに突入し始めると危険である。その先には抜け出せない一般常識のバランスを欠いた迷宮が待っている。

LPO では訴求を一瞬で伝えきるために、構成文言や要素と一体となって色や写真を駆使して情報を凝縮する必要がある。LPO そのものが検証の姿勢を必要としており、細部の検証は絶対に外す事は出来ないが、検証のために全ての要素が一体となって訴求力を高めているものを、バラバラにしてしまう事で当初の目的を見失う事にもなりかねない。諸刃の剣の扱い方を誤ると硬直した LPO の迷宮をさまよい続ける事となる。

◆一般ユーザーの意見は万金に値する
こういう時には、相当額を支払ってでも一般ユーザーに見てもらう事をお勧めする。もしくは、LPO を知らないユーザビリティの専門家に見て頂くと良い。作る側の目がマニアックになりすぎて、本来常識で分かるような事が見えなくなっている場合にも、意外な視点から問題をえぐりだしてくれる事がある。

見る側は LPO の専門的な知識を持って見るわけではないが、デザインAとデザインBのちぐはぐな継ぎ接ぎ画面を見れば、明らかに不安定さを見てとって不快を覚えるし、一般常識から外れた検証を行っている画面を見れば、知らず知らずのうちにコンバージョンの低迷の理由を示唆するヒントを与えてくれるだろう。

◆突破口は柔軟な姿勢
一般ユーザーの目で厳しく各細部の問題点を指摘してもらう事で、風穴が開き次の最強 LPO への道が開けるのは確実である。それは、どれだけ検証を重ねてきた LPO でも変わらない。今までの検証姿勢のために昂然と掲げていた頭を少し低くして、柔らかい風を入れる隙間を作る事で、全てが上手く循環し始める事もある。

森の奥深くでマニアックな木を倒す音を聞きつけて貰うのではなく、あくまで広告の先に存在する未開拓の顧客層のために、上記の事をお試しになってみてはいかがだろうか。

(執筆:株式会社アイレップ クリエイティブグループ クリエイティブチーム 宮本晶子)

記事提供:アイレップ

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