|
事業仕分けによる次世代スーパーコンピューターの開発予算削減について、どうお考えですか?
|
記憶を管理し、情報を確実な知識に変える「iKnow!」――セレゴ・ジャパン、インタビュー以下は、セレゴ・ジャパンの代表取締役会長 Andrew Smith Lewis 氏および代表取締役社長 Eric Young 氏、事業開発本部長マイケル長谷川氏とのインタビューを元にした記事である。
■「iKnow!」の誕生 セレゴ・ジャパンという会社は突然私たちの前に現れた。サーチエンジン専門会社だったはずの Google が、最大手の Web 広告会社のひとつに成長してインターネット業界に君臨し、“Web 2.0”という言葉が新鮮さを失いつつあった、2007年10月のことだ。同社は無料英語学習サイト「iKnow!」β版を開始した。 しかしながら、セレゴ・ジャパンの設立は2000年3月にまでさかのぼる。 セレゴ・ジャパンの創設者で代表取締役社長の Eric Young 氏と代表取締役会長 Andrew Smith Lewis 氏は、セレゴ・ジャパン以前も、「アゴス・ジャパン(旧ザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパン)」という、米国大学院入試対策予備校を経営していた。このころ、iKnow! のもとになるアイデアが考え出された。つまり、日本人に、受験英語だけではなく"使える英語"を身につけさせる方法だ。 その後、研究者や科学者との研究開発の結果、iKnow! 学習エンジンが生み出されたが、当初は社員教育用有料サービスとして、企業に販売していた。成長のスピードをさらに加速するため、同社はビジネスモデルをコンシューマに無料で提供する広告モデルベースのサービスへと変更、無料英語学習サイト iKnow! β版を開始する。 ビジネスモデルの変更は、現在のところ成功しているようだ。2007年10月のサービス開始以来、ユーザー数は驚異的に増加、5月12日現在で16万4,000人。英語学習コンテンツ内のチャネルも、着々と増加している。
■使用している技術は? 実際に iKnow! を使ってみるとわかることだが、学習用アプリケーションが非常に軽い。マイケル長谷川氏によると、「ごく普通のサイトで使用されている Web アプリケーション技術と Flash しか使用していない」という。 「iKnow! サイトのある Web ブラウザに、もうひとつウィンドウを開けて Flash ベースのアプリケーションを動かしているだけだ。特殊な使い方は全然していない」 軽さの秘密は、サーバーとのデータのやり取りのタイミングにある。学習の1セットであるセッションの開始時と終了時のみのやり取りで、セッション開始時に学習に必要なデータをロード、また、終了時にユーザーの学習データを集めてサーバーに送る。セッション中はサーバーにデータをつど送信しないので、応答速度が速いのだそうだ。 「これが、一昔前のモデム経由であれば、大変だっただろう」と、長谷川氏は漏らす。「現在のブロードバンド環境ならではの軽快さだ」 ■メモリプロフィールは1か所に ユーザー側のローカル PC にはデータを残さない。その理由は明白だ。Eric Young 氏は以下のように説明する。 「同一ユーザーがインターネットカフェの PC、携帯電話、iPod、Wii、自宅の PC など、複数からアクセスできるが、このときローカルに保存してしまうと、ユーザーのメモリプロフィールがあちこちに分散することになるので、非常に不便だ。サーバー側で1か所に保存、管理することで、ユーザーは毎日ダイナミックに更新されるメモリプロフィールにアクセスできるようになる」 ところで、iKnow! 学習エンジンの要となる"BrainBank"は、どういう仕組みになっているのだろうか。 ■BrainBank の仕組み Eric Young 氏によると、「"Brain"は脳で"Bank"は銀行だ。BrainBank とはユーザーの、学習に関する銀行口座のようなものだ」そうだ。「BrainBank はユーザー固有のメモリ口座であり、銀行口座と同様、他のユーザーのメモリは混入しない」 「iKnow! の機能を使ってたとえば1,000単語学習を開始した場合、今週100単語、来週100単語というように、学習が進むにつれ、ユーザーのメモリ口座にデータが蓄積されていく。一方、脳には忘却線というものがあり、忘れたものは出て行く。ユーザーのメモリの出入りも銀行預金の入出金と同じだ」 学習したものを忘却し、再学習で蓄積されていく。この繰り返しで、学習すればするほど、メモリプロフィールは膨らんでいく。 iKnow! では語彙ひとつ一つに対するユーザー固有の認識の程度を、データとして保存する。例えば、「Dog」という単語に関して、最初五択で、次は十択で質問が繰り返される。そのたびにユーザーの「Dog」に対する記憶定着率はアップしていくのであるが、その各ステップで、定着率をデータベースに格納する。 時間の経過による忘却も考慮し、記憶の劣化を、さまざまな学習で補足していく。BrainBank では単語ごとの記憶定着率を管理しているので、忘れそうなものだけを、忘れそうな時期に再学習を促し、ユーザーは、無駄のない学習を常に行うことができる。 これが BrainBank の核心だ。 ■BrainBank に蓄積されるデータ それでは、実際に BrainBank に蓄積されるデータは具体的にはどういうものだろうか。 Eric Young 氏は以下のように説明する。 「ある言葉に対するユーザーの"記憶強度"が主なデータポイントだ」 「ユーザーの、例えば"Car"に対する記憶強度がどれだけ高いか、脳科学に基づいたテストを行う。正解、不正解、回答までの速度、自信の有無、五択あるいは十択から選択はできるが、自分からは答えられない、などのいろいろな要素がある」 「また、不正解にもいろいろある。"知らない"と答えるのはいいが、"知っている"と答えたにもかかわらず不正解だった場合、"知らない"よりもひどい間違いとみなされる。このような小さな要素をアルゴリズムでランキングし、ユーザーの記憶強度を計算している」 ■学習コンテンツ ところで、Andrew Smith Lewis 氏は、「セレゴ・ジャパンは教材コンテンツ会社ではない」と明言する。 「そもそもの最初のコンテンツである英語学習教材は、一番よく使われる一万程度の熟語をリスト化、音声、例文をつけて制作した。これがベースのコンテンツとなるが、今後は、コミュニティおよびパートナーに参加して頂き、学習コンテンツを増やしていきたい。 この夏に開始を予定している英語圏のユーザーに向けた日本語学習サイトも、基本のフレーズから開始するが、日本語の文法に関する説明は、ユーザーやコミュニティに期待したい。文法に関しては、弊社は基本的にノータッチだ」 Eric Young 氏も、「これからは、出版社のもつコンテンツをセレゴ・ジャパンの Web ページにリンクしてもらうことを考えている。セレゴ・ジャパンは、コンテンツ制作ではなく、違う方向にエネルギーを注いでいく」と考えている。 とはいえ、「コンテンツ制作から全面的に手をひくわけではない。たとえば、先日開始したビジュアル事典など、面白いコンテンツは今後もやっていきたい。コンテンツをセレゴで全部そろえる、というコンセプトではなく、セレゴがリーダーシップをとって、面白いものを展開していく、ということだ」と、マイケル長谷川氏は語る。 「たとえば先日出版された『プロの英語』という会計用語の本だが、実は数年前に出版されたもので、当時2冊分だったのを今回1冊にして、それに対応した金融・会計用語のコースを開設した」 現在、iKnow! ビジネス英語チャネルの下のほうに、書籍の章ごとの、キーワード学習コンテンツが並んでいる。 「最終的には、どの出版社でも、英語に関する書籍を出版するときに iKnow! とリンクするようになればいい、と思う。iKnow! とリンクしていれば、 iKnow! ユーザーもその書籍を購入するだろうし、逆に書籍を購入した人たちも iKnow! を使おうという気になる。そういう互いにメリットのある方向に行きたい」と、Eric Young 氏は今後のシナリオを描く。 ■Web で誰も手をつけなかった"教育"という分野 「個人向け、法人向けの教育コンテンツ販売はかなりあったが、ただ、テキストブックをコンピュータに載せるという形のものが大変多く、eラーニングに対する印象はあまりよくなかった。大半が、コンピュータを生かした学習ではなく、単に英語教材を PC に搭載して、Eバージョンにする、という発想に基づいていた」と、マイケル長谷川氏は語る。 「セレゴの優位点は、学習エンジンを長期間にわたって開発してきた点だが、もうひとつは、ユーザーは何を必要としているのか、と考えた点だ。日本では中学から英語教育を行っているのに、英語を話せるようにはならない、という現状がある。単語力さえついていれば、そこから先に進めるはずなのに」 Eric Young 氏も、以下のように続ける。 「Google は、探そうとする情報がある程度わかっていれば、探し出してくれるが、膨大な情報のうちのどれが重要なのか、どうやってその情報に到達するかは、個人のユーザーが知るのは困難だ。われわれセレゴのスタンスは、情報を知識に変えることだ。一見英語教育会社のように見えるわれわれが提供するのは、情報を知識にするツールであり、アルゴリズムだ」 「われわれの脳の仕組みは、多少の個人差はあるが、ある程度同じだ。脳の仕組みにあった情報提供方法がわかれば、ツールとして使える、というアイデアから、われわれは入った。これまでの英語学習とは発想自体が全然違う」 「セレゴには、いいコンテンツはあり、無料で利用できる。通学の必要もなく、機械なので24時間対応してくれる。だが、この機械は、ユーザーひとりひとりのために動き、個々のユーザーを助けてくれるものだ」 Eric Young 氏の現在の最終的な結論は、「英語学習はひとつのモデルだ。次は日本語だが、いずれ、例えばワインについても、地理、その他、同様の方法で学習できるものであれば提供していく。これがセレゴの姿勢だ」というものだ。
関連記事 最新トップニュース
|
japan.internet.com 10周年記念
インターネットコムマーケティングセミナー ROI を最適化するパフォーマンスマーケティングの最前線 【12/16(水)13時〜 東京・赤坂】 申込はコチラ>>
|