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2009年7月4日
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Webビジネス2008年5月29日 10:00

「注意散漫ウィルス」に治療法はあるか?

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われわれは、だれもがみな出世したいと考えている。

最低16年学校に通い、深夜まで勉強して試験に合格し、卒業証書を手に入れる。実習に参加し、独学で新しいスキルを習得する。業界カンファレンスに参加して知識を蓄え、人脈も広げる。生産性に関する書籍やブログを読み、少ない時間で多くの仕事を片付けようとする。場合によっては夜や週末も仕事をする。成功はわれわれにとって重要なことなのだ。

だが、そこにつきまとうのが気を散らせる YouTube であり、FaceBook だ。BoingBoing や Slashdot、そして Digg もしかりだ。Fark、Drudge Report、Neatorama、Apple の「Movie Trailers」ページ、eBay、Flickr ―(筆者の原稿料は単語単位で支払われるので、ここはとにかく書き続けさせていただく)― Break.com、Wikipedia、Craigslist、Amazon.com もある。そうそう、Google もだ。(一流である本サイトでは、アダルト関連、ギャンブル、きわもの系動画サイトには触れないでおく)。

われわれは、何かをしていて飽きる、魅力を失う、あるいは行き詰まると、一息つけて簡単で、楽しく、面白くて魅力的なコンテンツにすぐにアクセスできることを知っている。

インターネットは、前代未聞の膨大な量の情報にアクセスしたり、大勢の人々とコミュニケーションがとれる驚異的な生産性ツールだ。しかし、これは気が散る元でもある。ものすごく気が散る。さらに驚いたことに、これは日を追うごとにますます気が散るものになっているのだ。

エッセイスト、プログラマー、そしてプログラミング言語デザイナーの Paul Graham 氏は、ブログへの最近の書き込みで、インターネットから発信される気の散るもとは「道ばたの石のように回避可能な固定された障害物ではない。気を散らせるものの方からあなたを見つけ出してくるのだ。気を散らせるものを1つ回避する方法を学んでも、薬に抵抗力を持つ細菌のように新しいものがひっきりなしに現れてくる」という、深みのある洞察を披露している。

同氏はまた、気を散らせるものと仕事は、見た目や、場合によってはその感覚まで同じことがある、とも指摘する。あなたも、6時間連続でコンピュータの前に座り続けたことがあるだろう。そのうちどれだけが生産的な作業で、どれだけが遊びだっただろうか? 正確に切り分けるのは難しい。

インターネットから発信される気の散るもとが、われわれの職務遂行や出世の妨げとなり、われわれを見つけ出し、ウィルスのように抵抗し難く、中毒性のあるものへと進化することは何を意味するのだろうか? 

以下のようなことが考えられる。

1. われわれは「子ども達を将来に備えさせている」のではない。
ネットに接続された PC を学校に設置して「将来に備えさせる」ことが世界中で叫ばれている。このような取り組みの一環となっているのが、貧富の間の「情報格差」を埋める活動だ。

しかし、ビデオゲームや PC のない部屋で育つことは利点なのかもしれない。未来のスーパー注意散漫ウィルスに対抗する力は、子ども時代にインターネットの注意散漫中毒にかからない「富裕層ではない方」が「富裕層」より強いのかもしれない。

筆者にはインド人の友人がいる。IIT (インド工科大学)を首席で卒業し、10年前からシリコンバレーにいくつも新興企業を設立しているやり手の天才肌だ。彼には現在2人の幼い子どもがいて、将来は彼らに自分の跡を継いで欲しいと考えている。

彼が育った’70年代や’80年代のバンガロールには、気の散るインターネットコンテンツはなく、テレビやラジオにもさほど魅力的な番組はなかった。十代の子どもは自分の車など持っていなかったし、仲間がたまり場にするショッピングモールもなかった。彼の教養に影響を与えたのは教師、両親、祖父母(数人が博士号を持っていた)、そして同じ私立校に通う成績優秀なクラスメートだけだった。また、人生で最も面白かったのは数学の宿題だった。

だが彼の子ども達は、Xbox 3060(バーチャルリアリティー対応ヘルメット付き)、5000局の選局が可能なテレビ、ホログラフィー携帯電話で真夜中にビデオテックス電話をかけてくる友人、そしてすさまじく中毒性が高く気を散らすオンラインコンテンツに囲まれた別世界で育つことになる。彼の子ども達が彼と同じような成功を収めるためには何が必要になるのだろうか? 彼らは成功したいなどと考えるのだろうか? 「将来に向けた準備」が良かったのはどちらなのだろうか? 

2. 注意の散漫に対処するメカニズムを学習するトレーニングも必要だ。
企業のトレーニングプログラムでは、アプリケーションや、場合によっては生産性のことまで教えている。しかしそろそろ、気の散るネットコンテンツへの対処をはっきりと支援するトレーニングプログラムも用意すべき時期かもしれない。

3. 節約した分の時間を無駄にしてしまったら生産性の意味はない。
Lifehacker、43 Folders、Web Worker Daily、Get Rich Slowly、Zen Habits などの生産性に関する素晴らしい Blog は、生産性の概念を意識を持つ人たちに伝える役割を果たしている。しかし、節約した分の時間を無意味に気を散らせて無駄にしてしまったら生産性の意味はなくなってしまう。新しい生産性関連テクニックで5分節約する場合も、その5分を生産的もしくは有意義に使う方法を考えなくては何も得られないことになる。

4. 注意散漫に対する各個人の対処方法を考え出さなければ、われわれは注意散漫に負けてしまう。
今と比べて15年前(1993年)のインターネットがどれだけ気の散るものだったか考えていただきたい(答え:あまり気が散らない)。そして、今から15年後を考えていただきたい。Web 2.0サイト、SNS、ビデオストリーミングサイトがどんどん登場し、生産的な作業に集中しようとするわれわれを襲ってくる。Web 2.0、4.0、そして5.0はどれだけ魅力的で中毒性があり、気が散るものになっていくのだろうか? 今日うまく使えているテクニックも、明日になると十分ではなくなるかもしれない。われわれは、絶えず進化する必要があるのだ。

5. 将来の注意散漫を回避するのがうまい個人、法人、国家は、競争の激しい市場において非常に大きな利点を持つことになる。
肥満の問題を考えると良い。一世紀前の米国は、世界で最も健康で、身長が高く、食事が良かった。それが今日は、量の増加に伴い食べ物の品質が低下してしまった。現在、アメリカ人の60%は太りすぎで、4分の1は医学的に肥満だとされている。

低品質の食事が身長も低くしているのだ。何が起きたのだろうか? 

食料品のマーケティング(広告、パッケージング、ブランド開発)はウィルスのように進化した。米国の巨大食品業界は、われわれを過激な過剰消費に誘い込む手段を学んだ。

この進化に、われわれは対応が追いつかないでいる。子どもたちは、まだ自転車にも乗れない年齢のうちから砂糖、人工調味料、スナック菓子に夢中になっている。大人も、ニュースが毎日悪影響を警告しているにもかかわらず、いやおうなしにパッケージ食品や加工食品を消費する。スナック菓子ウィルスが文字通りわれわれの命を脅かしつつあるのだ。

気の散るネットコンテンツは、われわれをどちらの方向に向かわせているのだろうか? 知的もしくは精神的な「肥満の流行」が近づいているのだろうか?  それとも、われわれはもう手遅れなのか?

これらの疑問に対する答えは分からないが、筆者には、進化を続けるオンライン注意散漫ウィルスは過小評価された脅威であり、実際にはだれ一人これに対処していないのでは、という悪い予感がする。

治療方法はあるのだろうか? おそらくないだろう。しかし、どの中毒症状でもそうだが、まずは問題の存在を認識することが第一歩である。

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