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2008年10月1日 13:10

PC ゲームを変えてしまった Spore と DRM

あなたが火星の岩陰で耳をふさいで生きてきたのでもない限り、EA 待望のゲーム、「Spore」に対する消費者の激しい反発の声は絶対に耳に入っているはずだ。

きわめて簡潔に言うと、この冷淡な反応は、このゲームのフレームワークに組み込まれた DRM (Digital Rights Management)メカニズムに対するものだ。これがあるために、ユーザーは1つのシリアルキーにつき1つしかアカウントを設定できず、ゲームは最大3台の PC 上でしかアクティベートできない。3台でアクティベートしてしまうと、EA に電話をかけて回数を増やしてもらわない限り、それ以上のアクティベートができなくなってしまう。

(注:9月19日現在、EA はインストール制限を5台のマシンに拡張したことを発表した。さらに、EA では PC の許可を解除することで、EA に電話をかけなくても Spore を別のコンピュータに移動できるようにするシステムの用意を進めている)

Amazon.com のレビューのページには、Spore に対する厳しい批判があっという間に集まった。2年前から大きな話題になっていたゲームは、リリース直後に評価を星一つに落としてしまった。

先日の段階で、Amazon.com には2,713件のレビューがあったが、そのうちの2,368件は、このゲームに対して最低ランクの評価だった。また、同ゲームの標準版には遠くおよばないものの、「Spore Galaxy Edition」も否定的な感想に苦しんでいる。

これらの苦情はどれも同じ問題に起因している。制限のきつい DRM、制限のきついアカウントポリシー(そのマニュアルでさえも、1枚の CD キーで複数のアカウントを持てる、とユーザーに誤って伝えている)、50ドルではゲームをレンタルしているにすぎず、50ドル分楽しんだら DRM に締め出されてしまう気分になるところだ。

だが、正直に言えば、DRM が存在するからといって Spore の評価を下げるのはあまりフェアではない。Spore 以前にも制限のきつい DRM モデルを採用したゲームはいくらでもあった。BioShock がすぐに思いつく。筆者は「Will Wright’s Spore」はゲームマニアが数年にわたって溜めてきたフラストレーションの矢面に立たされたのだと感じている。

確かに、ユーザーのコメントを読んでみると、その大半が Spore の DRM だけに怒りを爆発させているのではないと感じる。自身もゲームマニアである筆者は、ゲームの DRM にはうんざりしているし、DRM があるためにダウンしたゲームを適切に動作させようとして、システムが不安定になったり、ゲームが全く動かなくなったりなどの問題に何度も遭遇してきた(筆者はこれらの問題を必ず修正してきたが、問題解決に時間を取られてゲームを楽しむ時間がなくなってしまった)。今もゲームは購入しているが、以前ほどは購入しなくなってしまった。

さて、ゲームの著作権侵害を止めさせるのが DRM のそもそもの目的だ。多くの人々はこのメカニズムがあるのは大規模著作権侵害の阻止だと誤認しているが、実はそうではない。実際、厳格な DRM を用意した Spore は、正式発売の数日前からインターネットに流出し、DRM の回避方法まで明かされていた。

これを考えると、EA が DRM を大失敗だとして除去するのではないかと思うかもしれない。だが、そのようなことにはならない。それは、平均的なユーザー(法を守る正直者か、調べるところさえ分かっていればデジタル化されたものはほぼなんでも無償で入手できることを知らない人々)が気軽にゲームの著作権を侵害するのを防ぐことが DRM の目的だからだ。

■PC ゲームを変えてしまった Spore と DRM
「3回インストールしたらもうおしまい」や「CD キー1つにつきユーザーアカウント1つ」というルールは、すでに50ドル支払ってゲームを購入したユーザーに打撃を与えるもので、DRM の壁にぶち当たったら再度財布のひもをゆるめてくれることを期待している。

Spore で遊びたい子どもが2人いて、それぞれにアカウントが必要だと100ドルが必要になる。そして、3人いたらあきらめるしかない。

さて、筆者はつい先ほど、ゲームの中で使われている DRM は正直者や The Pirate Bay のような不法サイトを知らない人々を縛り付けるために用意されたと述べた。DRM を不適切な形で用意すると、人々は突然、正直者は損だと考えたり、ゲームクラックサイトに行き始めてしまう可能性がある。

Spore の場合にもちょうどこのようなことが起こった。あっという間に歴史上最も著作権を侵害されたゲームの称号を得たのだ。EA は、ほかのゲーム開発会社やスタジオと共に、以下のようなことを考えなくてはならない。

A)これらの人々の中で、トレントサイトからこれまで無償コピーを不正入手したことのない人は何人いるのか?
B)トレントサイトを知ってしまった人のうち、何人がゲームを二度と購入しないのか?

これは、DRM が業界を守るメカニズムから、その逆に変貌してしまったことを意味する。

筆者メモ:筆者は決して著作権侵害を許す訳ではないことを明確にしたい。自分が欲しいものには絶対に対価を支払うべきだし、筆者の私見では、DRM が気に入らなければゲームで遊ばなければよいと思う。DRM に反対だからという理由だけで無償コピーを不正入手することは正当化できるものではなく、DRM 反対運動には少しも役立たない。

一部のゲーム企業は、DRM では問題が解決しないことに気付き始めている。そのような会社の1つが Stardock で、同社はゲーマーの権利宣言まで用意した。以下にその一部を紹介する。

・ゲーマーには、ダウンロードマネージャやアップデータがゲームをプレーするために実行や読み込みを強制しないよう求める権利がある。
・ゲーマーには、隠しドライバなどの潜在的に危険な各種ソフトウェアをゲームが同意なしにインストールすることはないと想定する権利がある。
・ゲーマーには、自分が所有するゲームの最新バージョンをいつでもダウンロードし直す権利がある。
・ゲーマーには、開発者や出版社によって潜在的犯罪者扱いされない権利がある。
・ゲーマーには、1人プレーゲームが毎回強制的にインターネットに接続しないよう求める権利がある。
・ゲーマーには、ハードディスクにインストールされたゲームをプレーするのに CD/DVD をドライブに挿入しておかなくてもよいよう求める権利がある。

筆者は、ゲームマニアとして、ゲームスタジオがゲーマーの権利宣言を採用し、消費者に相応の敬意をもって接するように期待したい。そうしないと、PC ゲーム業界が数年後に存続しているかどうか疑わしい。

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