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中国〜台湾間の直接往来が間もなく解禁へ 注目される台湾 IT 産業―Part 3中国と台湾による「両岸両会」のトップは11月4日、航空、海運、郵政、食品安全に関する4大協定に関する署名を行った。これにより、中国と台湾は一部運行が開始されていた直行チャーター便を週末のみの運行から平日まで拡大し、半年以内には定期便の運行を開始することとなる。また、海運では両者で許可された船舶が両岸貨物、国際貨物、トランジット貨物の混載運行を行うこととなり、今後は制限を受けることが無くなる。
今回、「両岸」(中国大陸と台湾を示す)で合意された内容は、俗に「三通」と呼ばれているもので通信(通郵)、航空海運(通航)、通商の解放を意味するものだ。過去、産業界を中心に早期の締結が待ち望まれていたが今年に入って誕生した台湾・馬政権以降、両岸での協議が一気に進んだ。 ● 台湾企業による中国投資がさらに活発化、ハイテク分野も視野へ 「三通」達成後は台湾にとって、中国へのさらなる投資機会が訪れる。しかし、中国の人件費上昇、環境保護に向けた各種規制の厳格化、人民元高の加速に伴い、輸出向けローエンド製品製造業者の利益確保は次第に厳しくなっており、これら産業の発展は今後さらに厳しくなっていくだろう。このような現状を打開する方策として、内陸への工場シフト、ローエンド産業からの脱却、を図る必要がある。 すでに中国政府は内陸部発展に向けた積極的な投資を進めており、西部大開発プロジェクト等によるインフラ建設を含め、投資環境は日々改善している。事実、この数年間に数多くの台湾企業が内陸部への移転を進め始めており、湖北、湖南、四川などが台湾企業の新たなる投資目的地となり始めている。 具体的に多くの投資が見込める市場は、メディア産業ならびに IT 製品の販売である。現在、台湾企業の中国投資では、電子製品製造、科学材料製造、金属加工が絶対的な比重を占めているが、海外市場全体で見ると情報メディア産業、IT 製品販売がより大きなシェアを占めているのは明らかである。これまで、台湾企業による中国への IT 産業投資については台湾政府から厳しい投資規制が課せられていた。しかし「三通」実現の暁には、対中国投資に関わる規制が大幅に緩和されると見られている。具体的には、液晶パネル生産の上流工程、IC 設計、ハイエンド IC 製造などの投資が行われるだろう。 また、「三通」によって地理的に台湾に最も近い福建省沿海地区に中国の四大産業経済開発区(或は都市圏)−「海峡西岸経済区」が形成される。これは台湾企業および福建省沿海地区が享受する最大の利益の一つだ。 2008年3月に開催された中国両会(人民代表大会、政治協商会議)期間中に、福建省が提唱する海峡西岸経済区についての実行案が作成された。現在作成中の政府文書では、同地区を改革開放の新たなモデル地区として位置づけている。海峡西岸経済区は福建省を主体とし、浙江省南部の温州地区、広東省の潮汕地区、江西省の合計20都市を含み、福州、泉州、厦門(アモイ)を中心都市とする。 同案が認可されると、海峡西岸経済区は長江デルタ、珠江デルタ、北京・天津・河北を主とする環渤海地区に続く、4番目の大都市となることが期待されている。 ● 「三通」に向け、海峡西岸経済開発区が各種インフラ建設を加速 2008年4月、厦門市は4億人民元を投資し、「海峡西岸電子生産手段市場」を建設することを決定した。同市場内には台湾電子館を設け、台湾電子企業による中国市場での販売に向けた展示と取引の為のプラットフォームを提供する。海西経済区に電子製品購買と物流の最大拠点を建設し、台湾電子製品販売業者と電子機器メーカーの中国市場向け販売の中心とすることが目的である。 「海峡西岸電子生産資料市場」は厦門市湖裏区に位置している。第一期の敷地面積は1.49万平方メートルで、第二期には7万平方メートルを拡大、総面積10万平方メートルに達する予定だ。交通面では、「第11次5カ年計画」で定められた高速道路、鉄道、港などの国内外向けの交通道路網建設が、すでに海峡西岸経済開発区で進められている。今後5〜10年間で、福建省の鉄道総距離は4,800キロメートル、投資額が1,200億人民元に達する。また2010年までに、他省に跨る鉄道が6本以上増設される予定だ。 鉄道を例にとると、長江デルタと珠江デルタを結ぶ温福鉄道や福厦・厦深鉄道、中西部地区を結ぶ龍厦鉄道、中北部地区を結ぶ向フ鉄道の建設を進め、海峡西岸鉄道網、国家高速鉄道、幹線鉄道網との連絡を強化する。その他、都市間の旅客輸送、都市レール交通、海洋・鉄道輸送を積極的に発展させる。将来的には、福州と厦門を中心とする都市圏(1時間、2時間、3時間の経済圏)を形成する。 エネルギー供給関連では、電力施設建設を積極的に推進する。寧徳と福清の原子力発電所も2008年に相次いで建設を開始する予定だ。産業分野では台湾ハイテク産業、石油化学産業、機械製造の三大産業との結合を進める。この内ハイテク産業に関しては、福州と厦門のソフトウェア工業区とショウ州インテリジェント家電産業工業区を開発し、PC、デジタルTV、通信、光電気関連の新型部品、ソフトウェアなどの産業育成を行う。 現在、すでに台湾 FPD(Flat Panel Display=フラットパネルディスプレイ)大手メーカーの AUO(友達)、CPT(中華映管)、TECO(東元電機)、Goldpoly(金保利光電)は、厦門に進出済みであり、同地は中国と台湾の FPD 産業推進の重要地区となっている。2010年の厦門フラットパネルディスプレイ産業拠点の生産高は1,000億人民元に達する見通しで、上・中・下流産業チェーンを垂直統合した一連の産業群が形成されると予想されている。 その他、同産業拠点では半導体照明産業の発展を推進する計画だ。現在は厦門を中心に、福州、泉州、ショウ州などへ拡大し、進出済み企業数はすでに80社余りに達し、一連の産業チェーンが完備されつつある。2010年には、厦門における LED 産業の生産高は200億人民元に達する見通しだ。 間もなく稼働が始まる「三通」、海峡西岸経済開発区と台湾ハイテク企業を結びつける流れは日増しに明らかになるだろう。すでに電子機器製造で最大の生産量を誇る中国、そしてその工場を司る台湾企業。今後、日系企業は台湾企業とより緊密な関係を早急に築き上げる必要があるのは明らかだが、現状を見る限り一部を除いては未だ十分な体制を築けていない。 昨今、ようやく日本の新聞でも日系企業と台湾の受託製造企業との協力関係が取りざたされ始めたが、経済不況で設備投資が難しい現状、台湾 EMS あるいは ODM 企業への生産委託はドミノ式に増える可能性がある。 ※次回のコラムでは、「三通」によってどのように産業構造が変わるか、各方面から分析します。 記事提供:EMS One
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