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2009年7月4日
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Webビジネス2008年12月16日 13:00

パンはトースターで焼く、メールはアプライアンスで配送する――ミラポイントジャパン

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Mirapoint は1997年米国で起業したメールアプライアンスの専業メーカーだ。現在世界中で1億2,000万個以上の Mirapoint 製メールボックスが使われているそうだ。日本の人口が約1億2,800万人というから、驚くべき数字である。

今年、三井ホームが社内メールシステムを Mirapoint に変更した。

そこで、Mirapoint Software, Inc.日本法人であるミラポイントジャパン SE マネージャの信川茂久氏、コーポレート&チャネルマーケティング マネージャの東藤貴子氏、それに実際にシステムインテグレーションを行ったシーティーシー・エスピーの企画本部 営業推進部2課課長の片岡幸嗣氏にお話を伺った。

まずは、三井ホームの導入事例について、信川氏から全体的な話を伺った。以下はその概要である。

■トースター的アプライアンス

ところで、アプライアンスはなぜいいのだろうか。答えは、その機能に特化しており、パフォーマンスもチューニング済みだからだ。実装も運用も簡単で使いやすい。

“アプライアンス”とは“家電製品”という意味だ。たとえばトースターはパンしか焼けないが、パンは上手に焼ける。パンを焼くことに特化した製品だからだ。そういう意味で、メールアプライアンスもメール配送しかできないが、それは上手にできる。

Mirapoint のメールアプライアンス製品は大きく3つに分けられる。

1つ目はメールのスプールサーバーだ。メールボックスがあるところで、POP サーバーとか IMAP サーバーとか呼ばれる。このメールのスプールサーバーをアプライアンス化しているのは、Mirapoint だけだ。(Message Server

2つ目は、Eメールセキュリティ、アンチウイルス、アンチスパム対策のアプライアンス。(RazorGate)

そして3つ目がメールアーカイブのアプライアンス製品だ。(RazorSafe)

今回、三井ホームでは1番目のメールスプールのアプライアンスに加え、メールアーカイブのアプライアンス製品も採用した。

Mirapoint 製品
Mirapoint 製品
Message Server
・IMAP/POP/HTTP/SMTP/LDAP アプライアンス
・Webメール、Webカレンダー
・5,000から500万ユーザーに対応
・内蔵またはSANストレージ (90GB−8TB)、N+1に対応
・障害災害復旧対策(リモートサイトレプリケーション)
RazorGate
・メールセキュリティ アプライアンス
・アンチウィルス、アンチスパム、コンテンツフィルタリング
・JMM(ユーザーごとのスパムフォルダを搭載)
・最大 600GB の内蔵ストレージ
RazorSafe
・メールアーカイブ アプライアンス
・Web ベースのメール検索機能
・ユーザーライセンス不要
・1U -  1TB メールデータ
・2U - 3.7TB メールデータ


旧メールシステムが抱えていた問題

さて、今回 Mirapoint メールアプライアンスを導入した三井ホームであるが、これまでも、何度かメールシステムの改善を行っている。

同社では1994年にグループウェア Lotus Notes を導入したが、このときのユーザー数は300だった。1999年にインターネットメールの運用を開始した時点で、ユーザー数は2,400に膨れ上がっていた。

そこで、2002年にはメールシステムをグループウェアから分離、メールシステムとして新たに商用 Sendmail を採用した。メールはメール専用システムのほうがうまくいく、という結論に達したからだ。

しかしながら、その後 商用Sendmail でもいくつか問題点が出てきたため、今回、再度 Mirapoint に切り替えることになった。

Mirapoint 導入前、三井ホームのメールシステムは 商用Sendmail でどのように運用されていたかというと、外部のデータセンターと社内のデータセンターと、2つのデータセンターを持ち、社外のデータセンターにメールゲートウェイやアンチスパム、アンチウイルス対策などのセキュリティ関連のものを置き、実際のメールサーバーは社内のデータセンターに置いてあった。

このメールシステムでは、運用していくうちに問題点が3つ浮上してきた。POP サーバーの性能、アーカイブサーバーの容量や運用、自社データセンターでの継続的な運用に関するものだった。

1番目の、POP サーバーの抱える問題は深刻だった。三井ホームは建築関連の企業であり、メールに添付するファイルも図面などの大容量のものが多かったのだが、POP サーバーの性能が十分ないために応答が遅くなったり、場合によっては停止することもあった。この POP サーバーは全部 Linux ベースだったが、高負荷時には応答しなくなっていた。

また、アーカイブは、Linux サーバーでテープに逃がしていく、ほとんど手作り状態に近いもので、1か月分を検索しようとすると半日かかる、非常に手間がかかるものだった。しかも、1か月分のアーカイブとして 280GB 程度しか用意されていなかった。実際には月平均アーカイブ量は 300GB にのぼり、容量的に立ち行かなくなっていた。


さらに、社内のデータセンターからメールサーバーを移動したい、という要求もあった。メールサーバーが社内にあると、年1回の法定点検のために全館停電になる影響をもろに受けてしまうのだ。休日、深夜など無人時間帯の障害対応にかかる社員の負担も大きかった。メールシステムを停止することはできないからだ。

これらは早急に見直す必要があった。そこで、これらの問題を解消する次なるメールシステムの選定が開始された。

LDAP と連携する POP サーバー Mirapoint Message Server

選定のポイントは、十分な性能が出る POP サーバー、しっかりしたアーカイブ、簡単な検索だった。

これまで POP サーバーとして使われていた Sendmail Switch でも、ある程度チューニングすると、Mirapoint Message Server と同程度の性能は引き出せるが、
Message Server はアプライアンスなので、専用の独自OS「MOS」へのパッチを適用すれば、すべてのパッチ作業が完了する。

Linux であれば、パッチのどれをあてるべきか検討しなければならないし、また、それぞれのソフトウェアも、どのパッチをあてるのか、ユーザー側で悩まなければならない。

それから、観点は違うが、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)を複数のシステムで共有したい、という要望もあった。システムごとにユーザー管理を行うのは大変なので、LDAP で一括管理しようというのだ。Mirapoint の製品には LDAP とうまく連携する仕組みがある。

POPサーバー比較
POPサーバー比較


アーカイブは届いた後で、Mirapoint RazorSafe

次はアーカイブの問題だ。

三井ホームでは、新しいアーカイブサーバーとして、Mirapoint RazorSafe、それにフィルタリング方式の製品、パケットキャプチャ方式の製品を検討した。

RazorSafe では、外部から届くメールに対して、入り口のメールゲートウェイに置かれたセキュリティアプライアンスでスパム/ウイルス検出を行った後のメールをアーカイブしていく。アーカイブは、メールが来る途中ではなく、メールサーバーに届いた後行われる。

RazorSafeは各メールサーバーにあるジャーナル機能(メール複製機能)とうまく連携してアーカイブを行う。具体的には、ユーザーAさんにメールが届くと、ジャーナル機能で複製されたメールがアーカイブ専用のメールボックスにも届く仕組みになる。

RazorSafe のアーカイブは、この、アーカイブ専用のメールボックスにたまったものを、後ろから吸い上げていく方式だ。仕組みも簡単だし、コストもそれほどかからない。また、設置場所の自由度も生まれる。

ところが、他社の製品であれば、POP サーバーの前(SMTP 経路上)にアーカイブサーバーを置く必要があるので、メールの取りこぼしが出る可能性がある。取りこぼしがないように完璧にアーカイブしようとすると、冗長化が必須となり、高い機器を購入しなければならず、コスト高になる。

また、フィルタリング方式の製品には監査目的の機能が多数あり、その分高価になる。今回、三井ホームではシンプルな検索が目的で、監査機能への要件は低かった。

アーカイブサーバー比較
アーカイブサーバー比較

導入後のシステム構成

Mirapoint 導入後のシステム構成では、これまで自社のデータセンターの中にあったメールサーバーやバックアップサーバーなどのほとんどが、外部データセンター側に移された。

一方、少々停止しても問題ないアーカイブサーバーは、かならずしも外部データセンターに置く必要はない。そこで、自社データセンターに置かれた。

導入後のシステムでは、POP サーバーが新しくなって容量の大きいものになり、性能が向上した。またアーカイブサーバーの操作性が向上すると同時に、アーカイブサーバーの設置に関して自由度が増し、メールサーバーの後方に置けるようになった。さらに、LDAP でユーザーを管理できるようになった。

以上で、三井ホームがメールシステムを刷新するに当たり、課題になっていたことはほぼ解決された。

新メールシステムの構成
新メールシステムの構成

メールアーカイブ市場は成長期にある

今回三井ホームのメールシステム導入を担当した CTCSP の片岡幸嗣氏からは、メールアーカイブ市場に関して、以下のようなコメントがあった。

「米国では、メールアーカイブの市場は、ポリシー制定が進まないという未成熟な企業が多数存在しつつも、法的規制の観点から導入が進んでいるが、リーダー的なベンダーはまだ存在していない。市場規模は拡大傾向にあるようだ。

一方、日本市場の様相はかなり異なっている。日本国内には世界市場とは異なるメールアーカイブのプレーヤーがいる。この中でミラポイントは積極的に活動しているベンダーだ。

メールアーカイブのアプライアンス製品は小規模市場で優勢で、中規模市場にも参入しており、今後大規模市場にも参入していくだろう。

出荷金額で見ると、2006年度から2008年度にかけて218%増加した。一般に市場が伸びると1件あたり単価は下がる傾向はあるが、メールアーカイブに関しては、そうではないようだ。2006年度は1件当たり286万円だったのが、2008年には294万円に伸びた(*1)。今後もまだまだ伸びていくのではないだろうか。
(*1)株式会社ソースポッド『メールアーカイブ市場分析レポート 2008』

今回の三井ホームへの導入では、Mirapointがアプライアンスであるため、導入、運用にいたるまでのワークフローがすでに考慮されており、構築期間は非常に短いものであった。当初、1か月強での移行も検討されたが、入念な移行を計画し、構築開始から約3か月で実環境における動作が開始された。ハードウェア導入から、OSやミドルウェア、アプリケーションの接続検証などが必要な汎用システムに比べると、工数面でははるかに少ない手間で構築を完了したことになる。

導入後のサポートも CTCSP で行っているが、ソフトウェアは最適化されているので運用上さほどサポートは必要ないが、ハードウェアはどうしても劣化していく部分がある。

しかし、一度 Mirapoint 製品を使い始めたユーザー企業では、そのまま4年か5年継続するところが多い。メール専用のアプライアンスであるMirapoint 製品ではかなりのワークフローが軽減されるので、他の製品に置き換えるのが難しくなるのだ。そこで、9割近くのユーザーが Mirapoint 製品を使い続けることになる。

最近の IT トレンドとして仮想化が注目されている。仮想化でサーバーの物理的な台数を削減できるからだ。

確かにアプライアンスだと仮想化は難しい。アプライアンスは仮想化の流れに逆行しているように見えるが、汎用的なサーバーを数台使うところを1台に集約できる点では、仮想化で得られるのと同等のメリットが得られると思う」

■グループウェアのメールとメールアプライアンスという、ハイブリッドモデル

ミラポイントジャパンの東藤貴子氏は、グループウェアとのすみわけと今後の日本市場での展開について、以下のように語った。

「たとえば、Exchange などのグループウェアにも力をいれるメールサーバーだと、さまざまなメールコラボレーション機能が搭載されるが、費用も弊社よりも3倍以上の高さにまでのぼる(*2)。そこで、TCO(総保有コスト)削減を目的に社員の業務内容やメール利用形態によりメールサーバーをすみわけるハイブリッドモデルという方法が存在する。
(*2)The Radicati, Group, Inc. 『Mirapoint Message Server Total Cost of Ownership』

このハイブリッドモデルには、米国の某保険会社の例がある。米国全域に散らばるこの保険会社の外交員は、仕事でも、Yahoo! やAOL などの個人のメールアドレスを使っていた。既存のExchangeで全外交員にメールアドレスを提供することになると、膨大な費用になり現実的ではなかった。そこで、全社員の業務内容とメール利用形態を徹底的に調査し、グループウェアなどのハイコラボレーションを必要とする社員にはExchangeを、それ以外の社員にはMessage Serverでメール環境を整えた。結果として、全外交員にメールアドレスを配布するという目的の達成以外に、大幅なTCO削減も実現することができた。

今後ミラポイントとしては、メールサーバーアプライアンス製品を日本市場で強く打ち出していこうと考えている。

メールの需要が高まり、セキュリティ要件も多くなる一方で、経営においてはメール運用管理費の削減を求められているが、教育機関など、IT 予算を確保するのが難しい組織では、職員が本職の傍ら運用している状況だ。

こういう状況に対処できるメールアプライアンスの再認知を図っていきたい」

編集部注:この記事は、2008年11月12日開催の「Email Security Conference & Expo」で行われたセミナー聴講後の取材に基づいている。

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