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2009年2月25日 16:00

ソフトウェアエンジニアを「プログラマー」と呼ぶのは侮辱か?

著者Eric Spiegelオリジナル版を読む海外海外発
「侮辱だ!」

これが、以前に書いた記事のなかで「エンジニア」としてソフトウェアのコードを書くことを職業としている人に言及した筆者に寄せられた感想だった。コンピュータサイエンスやエンジニアリングの学位を取得した人の多くは、ソフトウェアを開発する人にまで範囲を広げて「エンジニア」の肩書きを使う人を不快に思っているようだ。

これらの高学歴の人たちに共通するのは、コードを書く人は必ずしも全員が「エンジニア」という高尚な肩書きを保証する適切なエンジニアリング技術や手法の教育を受けていないという点だった。

どうやら傷つけたようだったので「『ソフトウェアの専門家』にとって肩書きは本当に重要なのか?」という疑問を投げ掛けた。

しかも、筆者は正式な職名のことを言っているのではない。もしマネージャがソフトウェアの成果物を事業部にプレゼンテーションしながら「わたしのエンジニアチームが」と言うのと「わたしのプログラマーチームが」と言うのとでは、成果物に対する聞き手の評価が肯定的もしくは否定的に変わるのだろうか?

あるいは、採用担当のマネージャと初めて話をするヘッドハンターがだれかを指して「エンジニア」と呼ぶのと「プログラマー」と呼ぶのでは、候補者に対するマネジャーの認識に影響があるのだろうか? 実際の面接が行われたあとでも給与が下がるようなことになりえるのだろうか? 

筆者が知り合いの技術系の人たちにこのことを聞いたところ、人それぞれだが興味深い反応が返ってきた。

Tony Basile 氏は IBM Global Services の国際プロジェクト担当幹部で、米国オリンピック委員会の CIO 経験者でもある。同氏は筆者に対し、「大学の工学部を卒業しており、エンジニアリングの作業をしているならエンジニアリング関係の肩書きを与えられるべきだと思う。ソフトウェア開発者をエンジニアと呼ぶのが適切ではないと思うのは、その肩書きが単により高い格式と給与に値するものだからだ」とコメントした。

Basile 氏はさらに、会社に与えられた肩書きを超えた自分自身のブランド作りの重要性も強調した。

Basile 氏は、「自分独自のブランドを作り出すことで自分で名前を勝ち取ろうと試みるべきだ。たとえば、LinkedIn ではプロファイルの一番上の場所に専門家としての独自性をまとめた専門的な「タイトル」を作っておくべきだ」と語っている。

筆者もそれは理にかなうと感じたので、早速 LinkedIn に行ってソフトウェアを書くことを仕事にしている人が自分にどのようなブランドを付けているのか見てみた。数百人分のデータを見て抽出した代表的な例を以下に示す。

・シニアソフトウェアエンジニア/アーキテクト
・主任ソフトウェアエンジニア
・コンピュータソフトウェアコンサルタント/プロフェッショナル
・情報システムエンジニア

確かに、これが秩序立った科学的調査でないことは認める(なんと言っても筆者は情報科学の学位しか持っていないのだから当然だろう)。

とは言うものの、「開発者」や「プログラマー」という言葉が全く使われていないことに気付かれただろうか? 

「ソフトウェア開発者」には「プログラマー」とは機能的に異なるニュアンスがあるのだろうか? 筆者は常々、個人的には「開発者」の方が「プログラマー」より響きがよいと思っていたので、コードを書くことを仕事にしていたころの自分の履歴書の肩書きは「プログラマー II」から「シニアエンジニア」に変更しておくことにしよう。

ソフトウェアを開発するのとソフトウェアのプログラミングをするのとで実際に違いはあるのだろうか? 

そうは思わないが、ソフトウェア開発者の求人に応募する際に第一印象損ねるようなリスクは避けたい。また、ほかの多くの人たちも「プログラマー」は率直に言って侮辱だと感じている。

John Otroba 氏は CadenceQuest の人事部長で、職務内容説明書の作成を担当している。同氏によると、技術スタッフの大半は「ソフトウェアエンジニア」もしくは「ソフトウェア開発者」の肩書きの方を好むという。

「プログラマーという肩書きを使うのは、『エグゼクティブアシスタント』とか『オフィススペシャリスト』と呼ばれたい『セクレタリー』をそのまま『セ○○○○○』と呼ぶようなものだ。とにかく、もはや政治的にも社会的にも受け入れられないことなのだ」という。

採用時の判断や給与に影響を与えたかどうか聞いたところ、同氏は絶対になかったとした上で、それは社員の「虚栄心的なものに過ぎない」とだけ加えた。

ソフトウェアを書く仕事をしている人たちと話をしたところ、コンピュータサイエンスやエンジニアリングの学位取得者には共通の認識があることが分かった。ペンシルバニア州ピッツバーグ市の IT 部門でコードを書く仕事をする Justin Pihony 氏がそれをうまくまとめている。そう、スーパーボール覇者であるあの Steelers が本拠地を置くところである!

失敬、つい筆者のふるさとびいきがでて脱線してしまった。コンピュータサイエンスの学位を持ちながらプログラマーアナリストの肩書きを持つ Pihony 氏に話を戻そう。同氏をはじめ、筆者が話を聞いたさまざまな人たちは、自分の肩書きに「アナリスト」が入れば、それが「プログラマー」部分の埋め合わせになり、もっと立派に聞こえるようになるという。

Pihony 氏はさらに、ソフトウェアの設計を手がけるかどうで彼らの分類に差が出るとまで語っている。

「建築分野にたとえると、ソフトウェアエンジニアは設計が悪ければ建築物全体の崩壊を招く可能性があることを念頭に置いて設計図を作成する建築士のようなものだ。それに対し、プログラマーは設計図を見ながら建造物を建てる建設作業員のようなものだ」、と Pihony 氏は語っている。

「プログラミング言語を覚えて設計をインプリメントするだけでよいコーディングより、設計にははるかに多くの知識が要求される」という。

では、プログラマーはブルーカラーでエンジニアはホワイトカラーだというのだろうか? 

そこで筆者は、最近のあらゆるものの公式情報源となっている Wikipedia にアクセスしたところ、プログラマーの説明は以下のようになっていた。

「プログラマーとは、コンピュータソフトウェアを書く人を指す。コンピュータプログラマーという言葉は、コンピュータプログラミングの一分野の専門家たちのことも、あらゆる種類のソフトウェアのコードを書く万能な人たちのことも指す。プログラミングの形式的手法に携わる、あるいはそれを唱える人たちはプログラマーアナリストとも呼ばれる。」

おおっ、今のところ的中である。しかし、これからが見物だ。

「プログラマーは、ソフトウェア開発者でも、ソフトウェアエンジニアでも、コンピュータ科学者でも、ソフトウェアアナリストでもない。これらの職種は一般に、プログラミングスキル以外にもソフトウェアエンジニアリングスキルを身に付けた個人を指す。このような理由から、プログラマーという言葉は侮辱的あるいは軽蔑的にこれらの職種を極端に簡素化したものだと見なされる場合がある。これが開発者、アナリスト、コンピュータ科学者、プログラマー、そしてこれらの職種のわずかな違いに困惑し続ける素人の間で大きな議論を呼んでいる」

おやおや、侮辱的や軽蔑的だと来た。さあ、議論の先が見物である。

筆者は、品質保証部門(QA)に所属し、毎日ソフトウェア開発者と一緒に仕事をしなくてはならなかったある人物に話を聞くことにした。

ところで、QA 担当者のほとんどは、大変興味深いことに一切コードを書かないにもかかわらず「エンジニア」と呼ばれる。QA に何年間も籍を置いた筆者の(匿名希望の)友人の1人にソフトウェアを書く人たちの肩書きについてコメントを求めたところ以下のような答えが返ってきた。

「彼らのことは単純に『気分屋、ほら吹き、自己中』などと呼んでいる。」

おやおや。もしかすると、QA と開発の両部門の関係についてはいつか改めて書いた方がよいかもしれない。

だが、メリーランド州を拠点に活動するコンサルタントの Tim Jackson 氏のコメントでこの認識に対する確証が得られた。Jackson 氏は何十年もの間ソフトウェアを書いてきており、自身をソリューションアーキテクトと呼んでいる。

そこで筆者は、同氏が「ソリューションアーキテクト」を選んだ理由を聞いてみた。

以下が同氏の回答だ。

「『全能の神』という肩書きはすでにだれかが使っていたからだ。」

著者紹介:Eric Spiegel は、Citrix などの各種仮想化プラットフォームのプランニング、管理、および監査を行うソフトウェアを販売する XTS の共同創業者兼最高経営責任者(CEO)。

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