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2009年5月21日 12:10

mixi オープン戦略の背景 〜Facebook vs Google のソーシャル・プラットフォーム戦争〜

mixi が発表した「mixi Platform」は、「mixi OpenID」「mixi アプリ」「mixi Connect」の3つの異なるオープン施策で構成されている。日本のメガ SNS 初のオープン化戦略として注目されているが、実はすべて世界的なオープン化の潮流にそったものである。

その背景にあるのは、Google vs Facebook/Microsoft を中心とした次世代ソーシャル・プラットフォームのめぐる激しい覇権争いであり、今後はその流れが日本国内に変形して伝播していく可能性が高い。

今回は、この「mixi Platform」をもとに、それぞれが異なる源流を持つ3つのオープン施策につき、その骨子と背景、参入の狙いを説明したい。

mixi-developper-center
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1.mixi OpenID:mixiID で他のサイトにログインできる仕組み
OpenID は、mixi のみならず、すでに Yahooや!楽天なども参加している ID 共通化の仕組みだ。ユーザーがいくつも ID やパスワードを持たなくてすむように、mixiID や Yahoo! ID で他のサイトでもログイン(つまり個人認証)できるようにするための技術である。

OpenID 規格は、当初 URL ベースの ID を前提としており使い勝手に課題があったが、OpenID2.0で通常 ID 利用が可能になり、米国を中心に一気に普及がはじまった。日本においてはこれからだが、mixi はすでに実装済みで、So-net SNS 等に採用されている。

この規格は「OpenID Foundation」という組織がリードして仕様化されているもので、後述の「Data Portability Working Group」と同様、主要な大手プレイヤーはほぼ参加している。オープン性が高い仕様で誰でも ID 提供者になれるが、セキュリティ等の関係もあり既に ID を普及させているサービスが圧倒的に有利である。

日本においては、まず月間アクティブユーザー数で2,400万人を誇る Yahoo! Japan が大本命、次点で mixi と楽天だろう。特に Yahoo! Japan はこの分野で先行しており、すでに多くの Yahoo! ID 提供事例を積み上げている。

そもそもこの OpenID は、後述 Connect とも通じる機能であり、参入企業の狙いは Connect 同様、個人情報の独占だ。Yahoo! の狙いは、日本人ユーザーの個人情報、特にお財布(課金決済)を握ることだろう。mixi の OpenID 参戦も同様だ。そのため昨年、三菱商事と課金決済分野で戦略提携をしている。

2.mixi アプリ:mixi 内のコンテンツを開発する仕組み
mixi が公開したプログラム API(API:Application Program Interface、プログラム開発の関数や規約を整理したもの)をベースに、開発者が自由に mixi 内で利用できるアプリケーションを開発できる仕組みだ。すでにβ版は公開されており、8月に正式サービスとして開始される。

例えばモバゲーや GREE ではゲームはすべて自社コンテンツであるが、このようなコンテンツを自由に制作し、mixi 上で公開できる。課金や広告による収益プラットフォームも同時に用意されるため、参入する開発者はアプリで稼げるわけだ。

この背景には、Facebook Platform(Facebook アプリ API を公開した体系) vs OpenSocial(Googleが提唱しているオープン API 体系)があり、mixi アプリは後者の OpenSocial に準拠している。そのため、mixi 用に開発されたアプリは、同様に準拠する Myspace、Hi5、Friendster、Orkut、Bebo、LinkedIn、Plaxo、Ning など世界のメガ SNS への移植も極めて容易となる。一方の Facebook も、自社以外に、Friendster、Bebo(彼らは二兎を追っている)などに API 提携をはじめている。

mixi アプリは、ユーザー許諾を得た上で、mixi の持つ個人情報を入手できる。具体的には(1)ID と認証結果(2)プロフィール(3)ソーシャルグラフ(友人関係)(4)メディアとアクティビティ(コンテンツや行動履歴)であり、それらを活用したソーシャル・アプリを作成し、mixi 上で稼動させることができるようになる。

この分野のトップランナーは50,000以上のアプリを抱える世界最大の SNS である Facebook だが、Google 主導の OpenSocial も猛追しており、激しいデットヒートが繰り広げられている。Google の狙いは、OpenSocial によってメガ SNS 内に Adwords/Adsense を侵入させ、その巨大なアクセスから広告収入を得ることであろう。実際にアプリ開発者が巨額の収益をあげる事例も増えてきている。これは別途コラムにて紹介したい。

3.mixi Connect:外部ウェブから mixi データを活用する仕組み
「mixiアプリ」が mixi 内のコンテンツを開発する仕組みなのに対して、「mixi Connect」は mixi 外のサイトで mixi の持つ個人情報を利用するための仕組みだ。この「mixi Connect」API を活用すると、他の Web や Widget、別デバイス等で mixi 内の個人情報を利用したコンテンツを簡単に開発することができる。

同様の仕組みを持つ Friend Connect(Google版)の動画を見ると、何ができるのかとてもわかりやすいので紹介したい。

・Google friend connect 紹介動画(日本語訳あり)
http://www.youtube.com/watch?v=N94s7ix0JPo

・コメントガジェットの紹介動画
http://www.youtube.com/watch?v=4HQ81jgnvBQ

・レコメンデーションガジェットの紹介動画
http://www.youtube.com/watch?v=9jJI-9fqhz0

やはりこの背景には、前述2社に Myspace を加えたソーシャルウェブ界の3強、Facebook Connect(Facebook のもつ個人情報ベース) vs Friend Connect(Google の持つ個人情報ベース) vs DataAvailability(Myspace の持つ個人情報ベース) で壮絶な規格争いがある。

そもそもは SNS のデータポータビリティについては主要プレイヤーにより創設された「Data Portability Working Group」において共通規格をすすめる予定だったが、Myspace が突然、2008年5月9日に DataAvailability を発表したを皮切りに、Facebook が翌日の5月10日にFacebook Connect を、さらに Google が5月13日に Friend Connect を発表するという過激さで、激しいつばぜり合いがはじまった。

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この争いこそソーシャル・プラットフォームにおける本丸であり、関が原の戦いだ。つきつめると「誰が世界中の人々の個人情報を独占するか」という次世代覇権戦争なのだ。mixi も、mixi Connect によって日本のソーシャル・ウォーズに参入したことになる。

ちなみに今回は、mixi の発表にしたがって「mixi OpenID」「mixiアプリ」「mixi Connect」を並行的に記載したが、実際にはそれぞれ技術的な関連性がある。この点をわかりやすく示している Google の friend connect のコンセプト図を紹介しよう。Friend connect コア部分と、openID および OpenSocial が連動している。OpenID と OpenSocial は広義での friend connect の構成要素とも言える。

friendconnect-concept
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このソーシャル・プラットフォーム・ウォーズを一望できるよう図式化したものがこちらである。

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この戦いは極めて熱く、そして激しい。その勝者は、IBM、Wintel、Google とリレーされてきた主導権バトンを受け取り、次世代IT覇権にリーチする可能性が高いだろう。

執筆:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
監修:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造

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