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2009年7月9日 10:00

Twitter の快進撃がとまった!?〜スローダウンの要因を分析する

■Twitter 驚異的成長、そして米国でのスローダウン
Twitter の驚異的成長、それも昨年後半からの信じられないような伸びは、ネット界最大の話題となっていた。

今年に入ってからはその勢いにさらなる拍車がかかった。comScore のユニークユーザー数調査によると、2月の約1,000万人から4月には約3,200万人と、2か月で300%という驚きの急成長を遂げている。

サービス開始が2006年7月なので、わずか3年足らずで世界のトップサイト入り(Alexa ランキングで現在21位)を果たしたわけだ。この成長力は Facebook(Alexa ランキングで現在4位)のそれを上回っているといってよい。

さて、注目の Twitter であるが、ここにきて米国での成長に減速感が出始めたようだ。下記は、comScore、Compete、Google Trends、それぞれの Twitter 米国ユニークユーザーの推移図である。

Twitter 米国ユニークユーザーの推移(comScore)
米国ユニークユーザーの推移
(comScore)

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Twitter 米国ユニークユーザーの推移(Compete)
米国ユニークユーザーの推移
(Compete)

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Twitter 米国ユニークユーザーの推移(Google Trends)
米国ユニークユーザーの推移
(Google Trends)

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推定値のため精度には限界があるが、いずれにも同様の傾向値がおり、米国での成長減速は確実と言えるようだ。

なお、Twitter 全ユーザーにおける米国比率は約30%(ちなみに日本は約3%で、米国、英国についで第3位)であるが、グローバルで見るとまだ明確な減速感は出ておらず、引き続き成長している様子である。

グローバルでの Twitter ユニークユーザーの推移(Google Trends)
グローバルでの Twitter ユニークユーザーの推移
(Google Trends)

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■Twitter の独特なトラフィック特性
米国でのスローダウンは何故おきはじめたのか?大きな原因としては Twitter の再訪問率の低さが挙げられよう。Twitter は、そのサービス観が独特なため、楽しみをわかる前にやめる人が多いことが知られている。

Nielsen 調査では、Twitter の再訪問率は Facebook の3分の2程度に留まっている。また Harvard Business の調査では、10%のヘビーユーザーが90%のつぶやきを書いているという結果もでている。

ここで、米国の Web アクセスを多様な視点から分析している Quantcast の情報をもとに、Twitter のトラフィック特性を、Facebook、Google と比較してみたい。

トラフィック特性(Twitter)
トラフィック特性(Twitter)

トラフィック特性(Facebook)
トラフィック特性(Facebook)

トラフィック特性(Google)
トラフィック特性(Google)

Twitter は、Facebook と比較すると Addict ユーザー(ヘビーユーザー)が1%と極めて少なく、その層が35%ものトラフィックを生み出していることがわかる。また Passers-By ユーザー(一見ユーザー)が72%と、他と比較して非常に高い。つまり Twitter は、一部のユーザーしか定着しない、一般人向けと言えないサービス特性を持っているのだ。

■Twitter はキャズム(Chasm)にハマったのか?
では、一部のユーザーとはどのような人たちか。マーケティング視点で考察すると「イノベータ」ないし「アーリーアダプター」にあたるタイプだ。

Twitter のキャズム(Chasm)
Twitter のキャズム(Chasm)

【出展:@IT 情報マネジメント用語事典】

イノベーター (2.5%):「技術」に惚れて採用するハイテクオタク
アーリー・アダプター(13.5%):技術ではなく「実利面に惚れて初期採用」するビジョナリー
アーリー・マジョリティ(34%):「先行者の成功事例」を確認してから採用する実務者
レイト・マジョリティ(34%):「みんなが使ってから使う」慎重な人々
ラガード(16%):ハイテク嫌い

ここで、この「キャズム理論」(Geoffrey Moore、1991)を簡単に紹介しよう。ハイテク製品技術が市場浸透時する際、ユーザーには5つの採用タイプがあり、その移行期にギャップがある。中でも「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間には深く大きな溝、キャズム(Chasm)があるという理論で、IT 業界では実践的と評価されているものだ。

この理論では、キャズム(Chasm)を超え「アーリー・マジョリティ」に採用されることが、新技術が広く普及するためのキーであると説かれている。例えば音楽メディアでいくと、超えたのは CD や DVD、超えられなかったのはレーザーディスクや MD ということになるだろう。

2009年4月28日に、eMarkter から発表された資料に基づくと、全米での Twitter 普及率は 2009年で7.4%(1,210万人)、2010年で10.8%(1,810万人)と予想されている。

全米での Twitter 普及率
全米での Twitter 普及率

これらのデータを見る限り、Twitter の利用者は、先進ユーザーである「イノベーター」や「アーリーアダプター」が利用しているのみで、一般ユーザーにリーチする段階ではないように読み取れる。また Twitter の「つぶやき」は90%を10%のユーザーが発信しており、情報発信者は「イノベーター」レベルを脱していない可能性が高い。

■ソーシャル・テクノロジー全般へのキャズム理論の適用
ここでひとつ注意しておきたいのは、このキャズム理論が想定するハイテク製品サービスは、(1)有償である、(2)製造元が企業である という特徴がある点だ。

一方、ソーシャルの世界では多くのサービスは無償であり、かつコンテンツを制作するのは企業ではなく利用者(エンドユーザー)である。したがって、例えばコンテンツ供給者と利用者のバランスが普及の前提となるなど、市場浸透のメカニズムに差異があることが予想される。ただし今回はこれらを考慮せず、単純にこの理論をソーシャルテクノロジー全般に当てはめて考察してみたい。

ソーシャル・テクノロジーの日米における普及状況
ソーシャル・テクノロジーの日米における普及状況
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この図は「グランズウェル」(翔泳社 2008年)に記載されている「ソーシャル・テクノロジーの日米における普及状況」を抜粋(情報元は 2007年 ForresterResearch)し、表にまとめたものだ。分類および色分けは、上記のユーザー5分類にそって筆者が加工している。

これによると、すでに Blog や動画共有、Wiki、レビュー、フォーラム、SNS などは「閲覧」という観点では、キャズムを超えて一般に普及していると言える。それに対して「投稿」という観点で見るとまだキャズムを超えたものはなく、一部ユーザー(グランズウェルでは「創造者」「批評者」と呼んでいる)に限られている。また、RSS、Pod-Cast、タグといった技術は、その「利用」自体がキャズムを超えておらず、初期採用層に留まっていることが読み取れる。

Twitter は新しいソーシャル・テクノロジー「ミニブログ」にあたる。ただこの技術における Twitter のシェアは圧倒的であり、「ミニブログ」技術全体としてみてもマジョリティにはリーチしていないと推定できる。

ベースとしているのが2007年と多少古いデータであるが、この推論には一定の納得感が感じられる。私見では、キャズム理論はソーシャル技術にもある程度あてはめられるように思う。

■Twitter と「ミニブログ」の今後
あくまで短期的なデータに基づいた推測だが、米国 Twitter の普及状況に関して、次のような仮説が成り立つのではないだろうか。

「米国では、IT 業界やマーケティング関係に従事するイノベータやアーリーアダプターが、話題となっている新しいソーシャルメディアを実体験するためにこぞって参加し、驚異的な伸びを示してきた。しかし、その独特のサービス観から、一般ユーザーであるアーリーマジョリティに普及・定着するレベルにはいたっていない」

さて、最後になるが、この「ミニブログ」普及に重大な影響を与えるであろう最新ニュースがある。

それはソーシャルメディアの覇者である Facebook が、Twitter 対抗として、矢継ぎ早に「ミニブログ機能」(リアルタイムニュースフィード、ユーザーコンテンツ検索、Web 全体への公開の3機能)を取り込んだことだ。

おそらく多くのソーシャルメディアもこの流れに追従するだろう。これにより、すでにマジョリティにリーチしている Facebook のユーザー層(Twitter 層より明らかに若いデジタルネイティブと呼ばれる世代)に「ミニブログ」が一気に普及し、Twitter の普及にも新しい展開を生む可能性がある。

私個人としては、Twitter は IT 業界のきらめく希望であり、さらなる快進撃を続けて欲しいと切に願っている。

ということで余談になりますが、筆者個人も今週から Twitter につぶやきをはじめています。
http://www.twitter.com/toru_saito

こちらには、プライベートなものとともに、当コラムのメイキング(作成途中のつぶやきですが)も含めはじめています。ご興味ある方はぜひ toru_saito をフォローいただけると幸いです。(スパム以外ほとんどフォロー返しいたします。よろしくお願いします)

執筆:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
監修:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造

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