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2009年8月20日 12:30

ソーシャルメディアのクチコミパワーが変えた、生活者の新しい購買行動パターン“AIPUT”

クチコミは、最も古く最もパワフルなメディア(情報伝達の媒介手段)だ。

古今東西、クチコミの恐るべきパワーを示す例には事欠かない。三大宗教は人類最大の成功事例と言えるだろうし、さらに遡れば日本語など言語の成り立ち自体もクチコミの成果と言えるかもしれない。

しかしながら、マスメディアの発達した現代において、クチコミパワーは軽視される傾向にあった。伝言ゲームは数名経由すれば情報が劣化してしまうし、クチコミ経路もその効果も見えにくいという欠点のためだ。何より手間のかかるクチコミより、瞬時に数百万人にメッセージを伝達できるマスメディアのほうが楽でわかりやすいではないか。

それがここにきて大きく変わりつつある。クチコミ・パワーがマスメディアを凌駕し、マーケティングの本流に復権しつつあるのだ。「ソーシャルメディア」が、リアルタイムに、情報劣化することなく、大人数にメッセージを伝えることのできる「完璧なクチコミツール」として登場してきたからだ。

Social Feedback コンセプトチャート…Social Media Marketing(未和訳)を一部参照
Social Feedback コンセプトチャート
…Social Media Marketing(未和訳)を一部参照

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生活者はインターネットという万能情報ツールを得て、AIDMA 時代から大きな進化をとげている。商品を知って(Awareness)から購入(Purchase)するまでの時間は大幅に短縮された反面、その間にある検討(Inquiry)局面は、従来とは比較にならないほど緻密で効率的になっている。

特に強力なのは、使用(Use)後に発生するクチコミ(Tweet)や再クチコミ(ReTweet)だ。これが“Social Feedback”というクチコミパワーであり、ソーシャルメディアの真価なのだ。

ソーシャル時代の購買行動パターン AIPUT
ソーシャル時代の購買行動パターン AIPUT
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こちらは上記コンセプトをもう少しわかりやすい図にしたものだ。従来の“AIDMA”や“AISAS”では企業視点の用語が持ちいられているのに対して、この“AIPUT”の各段階はあくまで生活者視点の言葉遣いであらわしている。

では具体的に、“AIDMA”と“AIPUT”の相違を考察してみたい。

20年ほど時間を遡り、インターネットも携帯電話もない時代に戻ってみよう。“AIDMA”全盛期だ。「ミノルタα7000」という一眼レフカメラが一世を風靡したことがある。大して写真など撮る習慣のない筆者までなぜか惚れて買ってしまったものだ。このとき、私自身が実際にとった行動パターンを思い出してみた。

(1)Attention…テレビで、一眼レフカメラ「ミノルタα7000」を知る
(2)Interest…雑誌等を見て、話題になっている「α7000」のコンセプトやスペックに興味を持つ
(3)Desire…秋葉原の電気街に行き、実際に触ってみる。競合製品も一通りチェックする
(4)Memory…欲しいという気持ちが高まり、「α7000」を買うためのお金の工面をはじめる
(5)Action…秋葉原で丸一日かけて数店を回り、値引き交渉の末に購入する

さて、これに対してソーシャルメディア時代の新しい行動パターンではどうなるか。こちらはごく最近デジカメを買った当社副社長の行動を追って調査してみよう。

(1)Awareness…TV番組かCMか新聞かネットか何かで刺激されて、デジカメの買い替えを検討しはじめる
(2)Inquiry…ネットで検索。スペック、クチコミ、価格感等を、様々なページを往復して綿密に調査する。気になるページはブックマークで記録。結局、一番人気の「Panasonic Lumix」に決める
(3)Purchase…複数ショップを比較し、送料も含め最も安くてサービスの良い店から購入する
(4)Use…体験し、使用感を得る〜「感動した」 「満足した」 「不満を感じた」 「怒りを感じた」など
(5)Tweet…ネットでクチコミする〜「感動した」「怒りを感じた」など強い印象は書込比率が高い

20年前に比べると、ユーザーの調査能力とその効率性、つまり Inquiry 局面の進化に隔世の感があることがわかる。まさにこの局面こそが製品競争力に決定的な影響を与える戦場と言えよう。生活者は企業の広告など片目でしか見ていないし、テレビの連呼も耳に入っていない。そのかわり、驚くほど緻密な分析能力で「良くて安い商品」をすばやく探しあてているのだ。

この Inquiy 局面をさらに細かく記載すると次のようになる。

AIPUT - Inquiry 局面分解図
AIPUT - Inquiry 局面分解図
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商品調査の際に必要な機能な「機能調査」「評判調査」「価格調査」「情報ストック」は、いずれも多様なサイトが大量で質の高い情報を提供している。

・機能調査…企業サイト、コマースサイト
・評判調査…クチコミサイト、Blog、SNS、Realtime Stream(ミニブログ)、ソーシャルブックマーク、動画投稿サイト
・価格調査…クチコミサイト、コマースサイト
・情報ストック…ソーシャルブックマーク

では、ユーザーはクチコミ情報としてどのような情報源を信頼しているのだろう?

最も役に立つと思うネット上のクチコミ情報
最も役に立つと思うネット上のクチコミ情報
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この調査は「クチコミブログ広告市場に関する調査 2008年版」(矢野経済研究所 2008/2/20) から転載したもので「最も役に立つと思うネット上のクチコミ情報」についてのアンケートである。生活者の購買行動に多様なサイトが影響を与えていることが見てとれる。

また、このようなデータもある。

最も信頼できるサイト
最も信頼できるサイト
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こちらは「インターネットとクチコミに関する調査」(第二回 MSN 生活者アンケート 2008/1/22)からの転載であり、やはり「最も信頼できるサイト」という質問に対しての性年齢別回答である。

生活者は企業が提供するサイト情報を重視はしているが、同時に多様な情報源から、その信頼性をチェックしているし、ニーズにあわせて情報を補完している。特に10代から30代の女性はクチコミに敏感なことが読み取れる。

21世紀に入り、生活者は格段に賢くなった。企業サイドの情報操作やフェイクは通用しないし、発覚したときに致命的なブランド失墜が待っている。逆に言うと企業が考えるべきテーマは実にシンプルになったわけだ。「良い商品サービスを開発・提供」し、「その体験談をいかに多くの人にクチコミしてもらうか」という商売の原点に戻るということである。

ここで「良い商品サービスの開発」にもソーシャル Web を活用した顧客共創型コミュニティが大変に有効であるが、それは別機会とさせていただき、今回は後者である「いかに生活者に効率的にクチコミしてもらうか」にテーマを絞ろう。

ポイントは上記のような多様なソーシャルメディアをいかに有機的に結合させながら「統合くちこみシステム」としてデザインするかである。

例えば、筆者が考えているのは、次のような顧客コミュニケーション・システムだ。

ソーシャルメディアを有機的に結合させた顧客コミュニケーション・システム
ソーシャルメディアを有機的に結合させた
顧客コミュニケーション・システム

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マスメディア、企業ホームページ、Blog、最近は SNS アプリや Twitter など、場当たりで個別にアプローチしても投資効率は悪く、企業からのメッセージは届かないし、生活者のクチコミ伝達も非効率となってしまう。統一されたコミュニケーションストーリーのもと、マスメディア、ソーシャルメディア、リアルの場をすべて有機的に統合することが大切なのだ。

この「統合くちこみシステム」の具体的な内容、つまりマスメディア・ソーシャルメディア・リアルの場の効率的な統合の方法や、個々のソーシャルメディアの効果的な活用方法については次回コラムにて掲載したい。

なお、このコラムは、当社ホワイトペーパー「ソーシャルメディアをフル活用したクロスメディア・コミュニケーション」(2009/8/20第一版)をベースにしている。

ご興味ある方は参考にしてほしい。

筆者 Twitter はこちら。ご意見、コンタクトなどお気軽に。


執筆:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
監修:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造

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